・『バトルロワイアヤル』 − 2004/02/27
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原作を読み終えて思ったのは
「設定は(日本では)珍しい傾向だけど、それ以外はなぁ… 」
ってコトぐらいだけだった。
『華氏451度』+『走る男』とか、海外でこういう設定のSFって珍しくないし、
小説的に見ても古典的なビルディング・ロマンス以上のものではないし。むしろ
マンガの原作のような説明文の多さと描写の無さ、描き分け出来てないわ名前
の安直さも含めた登場人物も含めて
「あぁ、こんなに売れるってのはそれだけ本が読まれていないって事なんだろうな… 」
としか思えなかったのと、いくら宣伝の為とは言っても田原総一郎や野坂昭如
や筑紫哲也の終戦当時子供だった世代の恨み節…
「僕達は戦争の時、それが終わった時の大人に騙された」
ってな事を深作監督がを言ってた事もあって、正直言って観る気にはなれない
でいたし、公開されると大ヒットしたのも余計に観るのを避けていた。
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しっかしこの映画、アメリカの映画マニアの間では結構な評判となって、更にこの
映画への出演によって『キル・ビル』でゴーゴー夕張なる女子高生殺し屋役へオファー
となったという栗山千明目当てで観てみたんだけど…
この映画の撮影で、確実に寿命を縮めたね、深作さん。
多分、『仁義なき戦い』シリーズとかのように、無名の若手の有象無象の連中で
あってでも映画を作れてきた自負もあったろうが、多分初日でその自負もフッ飛んだ
んだろうなぁ… と偲ばずにはいられない学芸会映画。
あのカット割りやテンポは相変わらず、ってのは凄い事だとは思うけれど、それを
もってしても演技以前の素勝負、ってのはねぃ… 本来キモっか重要な核になる筈の
北野武も、私が観てきた彼の出演作品の中でも最悪の出来だったし、情けないのが
女の子らが技量も下地も才能も何も無いけど勢いだけはあったのに比べると男の子ら
はそれも無くてもぅグダグダもいいとこ。
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原作にあったカッタルくて薄い描写や心情とかをあそこまでバッサリと切ってテンポを
アップしても結構ツライもんがありましたな… いや、映画としてはカッタルイ出来じゃぁ
ないんですよ。とにかくテンポだけはあるから。
でも、それしか無い。
それこそ一昔前のアイドル主演青春映画と同程度の質、程度の学芸会映画でしかござ
いませんな… あれで衝撃を受けるなんて、余程映画や本を読んでない証拠だよ。
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栗山千明、確かに惹きつけるものはありましたな。
あの眼の力ってのは天賦のものでしょうねぇ… ホント、印象に残りましたから。でも、
この作品以降も滑舌が悪いのを直そうとしてはいないトコも含めて
「もっと頑張れ〜 」
と思いますけどね。
いかな天賦の才があってもまだまだ原石。カットして磨いてこそナンボであって、あのまま
では… って思いましたが、それにはちょっと惜しいんですよね、彼女だけは。