『CABIN FEVER』 − 2004/04/06


 去年の夏の終わり頃に公開されてそれなりのヒットとなった、ってのよりも
デ・パルマの筋でスプラッター、ってのに惹かれて購入した『CABIN FEVER』。
 やっと通しでちゃんと観終えて
「まぁ、普通の人にはオススメしないが、80年代にスプラッタ映画が好きだった
人には一見するのも悪くないなぁ〜」

 と甘い評価をしてしまう私。


 内容はあって無いようなもんで、ザッと書くと
「バカな若者達が得体の知れない細菌に感染して、さぁ大変」
 って一行で済むしこのテの映画、とってつけたような道徳的部分もあって
「狙ってる女との旅行は二人っきりにしとけ。」
「バカは誘うな。」
「未成年が飲酒や喫煙やセックスすな。」
「草とかも勿論すな。」
「危機にある友人を見捨てる自己中は死ね。」

 ナドナド、その塩梅・匙加減も含めてかつてのスプラッタ映画へのオマージュ的。
まぁ、昔のそのテの映画と比べたら映像の綺麗さや音楽の使い方など比べ物に
ならん程に巧いんだけど、単に小手先で真似するだけの最近のスクリーム系とは
違ってこの映画のように製作者が本気で観客に嫌がらせをかけるの楽しんで作って
る、って姿勢の方がずっと好きだな。


 ザッと観た時と同様、無駄な登場人物やシーンや台詞が多いのは難点だと思うが
予想以上にタルくないのは構図やカッティングや編集が纏まっているからで、確かに
原形であろう『死霊のはらわた』に負んぶしているとは言ってもサム・ライミの場合は
本質的に【コミック】の人なのに対して今作のEli Roth監督の場合は【映画】の人だから
かなぁ… と思わないでもない。


 普通、このテの細菌を扱う場合、安易な凶暴化やモンスター化をする事でのパニック
やサスペンス、ショッカーになるもんなんだけど、予算が少ない分、知恵を絞ったせいか
兎に角、皮膚感覚的な悪寒を抱かせるシーンの嫌らしさはかつての映画のオマージュ
だけではない独得の陰湿さがあって非常にキモチワルイ。生理的と言うより皮膚的なコレ、
男性より女性の方が嫌気がさしやすいのかもね。

 逆に
内臓どっぱどっぱ!とか血糊ブッシャーッ!って
なのでは無いんで、そういうのが好きな人はパスする方がいいかもしれません。あくまでも
じくじくと陰湿に細菌に犯されていってどうしょもなくなって追い詰められる… って映画で、
そここそがこの映画の『味』、と言えましょうかね … ってのは、あくまでもスプラッタ映画の
ファン的に、だけど(笑)。


 細菌感染って時点でハンセン氏病騒動の事もあるから日本での公開は難しいでしょう。
まぁ公開する程のモノとも思いませんが、個人的には満足の一歩半前までいってた映画
なんで全然オッケーです。

 ビッグバジェットの『DAWN OF THE DEAD』も気になりますが、こういうのもやっぱり気に
なりますな、私は…


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