Studio: Koch Vision 　DVD Release Date: March 7, 2006 　Run Time: 350 minutes 　Aspect Ratio: 1.78:1 　Available Audio Tracks: 　English (Dolby Digital 2.0 Stereo)

　・人類とポルノグラフィーについて文化史的な立場からまとめたドキュメンタリー番組。
　出演者のアクセント、題材からイギリスのものと思しきこの番組、全６章立てになってまして、
　[ THE ROAD TO RUIN ]で古代ローマに残る壁画や塑像等から当時既にセックスは情愛の
　行為だけでなく娯楽としての快楽追求行為にもなっていた様を解説、というスタートから
　[ THE SACRED AND PROFANE ]　…　印刷技術の発明に伴っての書籍ポルノの発展。
　[ THE MECHANICAL EYE ]　…　カメラの登場と性表現の社会的意味合いの変化。
　[ TWENTIETH CENTURY FOXY ]　…　ポルノ映画の登場と発展。
　[ SEX LIVES ON VIDEOTAPE ]　…　ＡＶ登場による性産業、性意識の変化。
　[ FUTURE SCHLOCK ]　…　インターネット時代とその未来の考察。
　　っと、ポルノというマスターベーションと交接の為の素材、題材をその時代とメディアで分け
　てあって解り易いものになってはいますが、実はそここそが難点で、メディアによる社会の
　変化はあるけれど、メディアで表現されるものも社会構造や意識とは無縁ではないし、様々
　な要素による相互干渉と影響は否定出来ないってのに番組はメディア毎になっている為に
　各々のメディア、表現方法、時代との関連性と時系列がちょっとボケちゃったものになってる
　んですよな…　特に[TWENTIETH CENTURY FOXY]以降が顕著でしてちょっと勿体無い。
　　加えて、あくまでこれが放送されたイギリスを中心とした史観ですんで、東洋は現代の東京
　でのについて今一生がいい加減な事をチラっと言う程度（しかし誰がコーディネートしたんだ
　ろう？）で、それもあくまでイギリス等の西洋の情況への補足程度で対比にまではなっていな
　いんですな。また、UndergroundのポルノとしてあったHardcoreが、何故アメリカでは市民権
　を得るだけのものになったのか？　とか、まぁ言い出すとネタなんてキリが無いのは解るんで
　すけど、食い足りない部分がメチャクチャ多いんですよな。
　　そして最終章はねぇ…　放映された2000年当時ならば斬新なものだったかもしれませんが
　流石にバーチャルの概念がもぅ劣化してます。シナプスの交換・交流までネットでやるなんて
　このネット時代にゃぁ怖すぎますって。完全クローズのLAN体制下でも疑問なのに…
　
　　…とか、回を追うに従ってツマラナイものになっていったように思えます。
　出来ればメディア別ではなく、単純に時系列順にしてもうちょっとパースっか視点を広めにし
　語るべきだったんじゃぁないのかなぁ…　無理からメディア別にしたって、結局インターネット
　というメディアによって個人の嗜好にと細分化されて拡散していくんだから扱う情報を追って
　みたって収拾つかなくなるのは解ってたんじゃぁないの？　っと、ちょっと残念なシロモノで
　ございましたわ。

　　でも、結局古代ローマの時代に既に交接のバリエーションや技巧なんてのは既に確立して
　いて、大衆化した後にまた個人へと戻っていってるって見方は個人的に面白かったですよ。
　ただ、円を描く軌跡は収束っか閉塞へとの螺旋になっていて他者とのコミニュケーションから
　ナスシシズムとしてのオナニーへと至るしか無いのか？　ってのは私も考えてしまいます。
　そこまで人間というのは個人として独立、自立出来るものなのか？　インタラクティブが所詮
　自分の嗜好の中からだけの選択でしかないのを思うとコミュニケーションの方法ですら無い
　ワケで、そうするってぇとメディアとしてのポルノの行き着く先はメディアのイメージも物語も
　ファンタジーも無い、肉体のリアルも必要としない、ただただ電気信号として己が脳味噌の
　シナプスをイジってのマスターベーションなのだとしたら…　とか、この番組は色々と考える
　素材になって楽しかったですけどね。

　・画質、音質は良好でございます。
　そうそう、あくまで学術系ドキュメンタリーなんで扱う素材に対して期待をして観ると馬鹿を見
　ますよ〜　まぁヘアーや乳くらいは出ますがあくまで素材、歴史的な遺跡、文献としてのもの
　なのでポルノそのものが観たいのであれば素直に密輸しましょうネ（笑）。