・『The Best Of Not The Nine O'Clock News - Vol. 1 (1979) 』 (PAL) - Region 2


 Studio: BBC Worldwide Publishing
 DVD Release Date: August 18, 2003
 Run Time: 98 minutes

 Available Audio Tracks: NICAM Stereo
 Main Language: English
 Hearing Impaired: English

 ASIN: B00009V900
 Catalogue Number: BBCDVD1285

  

・ジョン・クリーズ曰く、
「パイソンズを終えた後で、自分達が出ていない番組の中で最も笑った」
 と評したのがこの『Not The Nine O'Clock News』だそうな。
イギリスではこれもコメディのクラッシックの1つに挙げられているこの番組、BBC1の9時の
ニュースの裏で丁度9時からBBC2放送されていて、時事ネタを多く扱っていた番組だったと
『モンティパイソン大全』等で紹介されていましてたが…

・実際には確かに時事ネタもありますが、普通にスケッチ番組でした。
ベストという事で編集版なのかも? と思ったのですが、普通にOPとEDロールが出ているの
で、4シーズン・全27エピソードの中からのセレクションのようです。が、収録されているのが
一体どのシーズンの何話なのかはこのdvdを観るだけでは不明です。

 さて、内容ですが…

・コメディ番組の(当時の)制約やお約束から
 1・Punch-Line(オチ)をつけない
 2・ゲストやホスト役を呼ばない
 3・関連の無いスケッチを繋いで一本通してのものにする
 という事をしてからこそ『MONTY PYTHON』は革新的であった歴史から言えば『Not The Nine
O'Clock News』は正当な後継と言えるスタイルですんで安心して観られる反面、この番組なら
ではのテイストは希薄な分、物足りない印象が残りました。
 まぁパイソンズにしても実質第3シーズンで終わった理由の1つに「強化され続けたBBC側
の検閲」ってのがありますから、その流れを汲むこの番組の製作にも色々あったのやもしれま
せんが、例えば「オーディオ店スケッチ」を例にとると…

 オーディオの事に詳しくない客がマニアの若造の店員に苛められる、ってネタなんですけど、
 客 「これはレコードが聞けるよねぇ」
 店員「あぁ聴けるよ。33、45(回転)も大丈夫だよ」
 客 「78年ヒット集は大丈夫かね?」
 店員「だはははは! おめぇ、今、面白い事言わなかったか!」
 客 「い、いや、その別に…」
 店員「78年ヒット集は大丈夫かね? だってよ、腹イテー!」
 って、ただ物を知らない客が罵倒嘲笑されるの繰り返されるだけのスケッチって面白いとは
思えないんですよ、私。客が高慢ちきだったり貴族階級のバカ、とか客に攻め(責め)られる、
笑いものになる理由なり権威なりがあればまだ別ですが、このスケッチの場合、客はあくまで
一般人であり、且つ、現実にありそうな事しかしていないのでは駄目だと思うんですよね。

 勿論、笑えたスケッチもいくつもありますが、全体的に寸止めというか、もう一歩踏み込むか
飛んでくれたらナァ… っと笑った後で思っちゃうんですよね、どれも。

 加えてサッチャーやレーガン、フルシチョフや王室イジリも面白いんだけど、表層的っか浅い。
その意味では実にライトなテイストで楽しめるんですがその分、印象に残るか? と言うと、ある
程度色々なコメディを観てきた身には物足りなく、薄い印象しか無いんですよね… それこそ
ムキになって権威、伝統、歴史をネタにして笑いものにしていったパイソンズが好きな私には、
お上品っか優等生的で破綻が少ない分だけ面白みに欠けるんですよ。

・また音痴が多かったパイソンズに比べるとパロディPVもよくやるんですけど、パロディ元の曲
が解らないのは仕方無いとしても、曲としての魅力にも乏しい上、歌詞もチンコマンコウンコ等
の連呼系が多く安直なんですよ。音や韻を踏んでいたり、ハジけてたり、トンデモだったりするの
はまず無く、唯一「スコットランド人のデバガメの歌」はテンポと言葉遊びの面白さがあった以外
はねぇ… 数と尺の長さのワリに退屈なんですよ。だからあれだけ素材がある筈なのに本国で
CD化されてはいないんでしょうかね… っと言いたくなるくらいにツマラナイ。

・しかし、この番組の、このソフトの価値、見所と言えば
ローワン・アトキンソンでしょう
この番組で初めてTVに出演&脚本、とは思えない程に実に色々なキャラを演じていて、どれも
巧いんですよ。他のメンバーが役柄やパーソナリティ、パターンがほぼ固定だったのと比べ、
司教ゴリラ政治家パンクスに一般人って様々なキャラで、ボケもツッコミも歌もこなせて無理の
ないってのは生半可な事ではありませんって。まぁその巧さ故に便利に使われ過ぎ、且つどれも
巧くこなしているからこそ逆にどれも印象に残らない、って部分もあるんですが、コレ以降ずっと
他のメンバーと違って中心で、顔で、ピンで彼がやっていけたのもよく解るくらい、彼の『芸人』と
しての多彩さがよく出ていますよ。

画質、音質共に制作年代の事を思えば充分ではないでしょうか。多少、音声に微小なノイズが
ずっとあるように感じましたマスターの保存状態と言うより、当時の記録方式&方法でのレベル
だと思うんで仕方無いかと。

英語で、ですが字幕もあるし値段もお手頃、パイソンズと比べれば全体的に解りやすいかな?
って事でイギリスコメディの入門編としてはいいんじゃぁないんでしょうか? 時事ネタの劣化は
相当に厳しいものがありますが、解りやすさの点ではこちらの方が好みだ、って人も多いかも
しれませんね。

▼ 参考URL
『The bbc.co.uk - Guide to Comedy』
英語

 BBC製作のコメディ番組についてのガイド。それぞれの番組の成り立ちや見所、出演者の主
な経歴などが簡潔かつ解りやすくまとめてありますよ。勿論、コメディ番組はBBCグループだけ
で製作されているワケでもありませんが、これだけの分量があり、且つ、BBC以外やラジオや
舞台での活動まで簡潔ですがフォローしてありますし映画の出演作に関しても触れられている、
って点でイギリスのコメディ好きな方は一度見ておいて損は無いと思いますよ。


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