・『Wild Hogs (Widescreen Edition) (2007)』−Region 1


 Studio: Buena Vista / Touchstone
 Theatrical Release Date: 2 March,2007
 DVD Release Date: August 14, 2007
 Run Time: 100 minutes

 Aspect Ratio: Widescreen − 2.35:1
 Available Audio Tracks: English, French, Spanish
 (Dolby Digital 5.1)
 Available Subtitles: English, Spanish, French

 Special Features:
 ・Audio Commentary by director Walter Becker
 and writer Brad Copeland
 ・"Bikes, Brawls, and Burning Bars: The Making
 of Wild Hogs" (16:19)
 ・How to Get Your Wife to Let You Buy a
 Motorcycle (2:49)
 ・Alternate ending / Deleted scenes (2:49)
 ・Outtakes (2:34)
 ・Sneake Peakes (6)

 Doug(Tim Allen)は歯科医。美人の奥さんと子供、収入と特に問題は無いものの高脂血症
 の為に食べたい物を食べられず、年頃の息子には何となく敬遠され奥さんとも何となくギク
 シャクしたものを感じなくもなく。
  Bobby(Martin Lawrence)は1年前に読んだ「自分の人生を成功する方法」という本に啓発
 されて自宅でのビジネスを始めるものの上手くいかず、アルバイトのトイレ修理等でお金を
 得る情況に奥さんからは責め立てられ、二人の娘にも馬鹿にされている毎日で。
  Dudley(William H. Macy)はプログラマーでオタク系で独身。収入は問題無いものの自分に
 自信が持てず、知識でカバーをしようとしているのだがあまりそれも上手くいってなくて。
  Woody(John Travolta)は奥さんがモデルで充実していた生活を送っていたものの、その奥
 さんに離婚を迫られ自分のビジネスも失敗。子供にも嫌われていて。

  そんな人種も仕事も環境も何もかも違う彼ら4人の共通の趣味はバイクを乗り回す事。と
 言っても4人で御近所を流した後でBiker Barでダラダラとお喋りをするぐらいなのだが、自分
 達を『Wild Hogs(「Hog」とは豚、であり、ハーレー等の大型高級バイクの事)』だとお揃いの
 皮ジャケット&マークまで用意していてそれなりに一人の時間を楽しみそれぞれの息抜きを
 していたのだが、今日もBiker Barで一杯を飲っていた時にWoodyが
 「バイクに乗って旅に出ようぜ! 何物にも束縛されない気侭な旅! 道をひたすらに走り、
 風を受けて… そう、それこそ自由!」
  と提案し、残る3人もそれぞれに思う所があって彼の提案に乗り、かくして『Wild Hogs』達は
 とりあえず南へと向かう旅を始めるのだった…

  中年の現実逃避のロードムービーっ〜と『Sideway (2004)』等が思い浮かびましたがそれら
 と違って予告編の明るさに期待をしてのオーダーだったんですが… ん〜…

 トラボルタの嘘を誤魔化す為のはしゃぎっぷりやティム・アレンの神経質なんだけどどこか
 抜けたトコやマーティン・ローレンスのお調子者っぷり、ってのは彼らがコメディにもよく出演
 しているんである程度想像がついてはいたんですが、私には『ファーゴ (1996)』での印象が
 一番強いウィリアム・H・メイシーがnurdっぽいのをサラッとやっていてまたそれが変で可笑
 しかったんですけども、あくまでもそれは役者に限っての話で、お話における役の設定年齢
 は子供等の家庭状況から推測にするにもうちょっと低い… 多分、40代中盤? って筈なの
 ですがティム・アレンの54歳、トラボルタの53歳、ローレンスの42歳、メイシーの57歳って実
 年齢の方が近く見える演技とお話との相性があんまり良くないんですよな。

  監督のWalt Becker、脚本のBrad Copelandも多分同じくらいの歳なんでしょうけど彼らの
 描く中年のオヤジのバイク乗りと旅のイメージってのは80年代っぽいもので、だから劇中で
 流れる曲がWhitesnakeやBon JoviであってSteppenwolfやJimi Hendrix等ではないんですよ。
 お話通り大体40代、いっていても半ば程度であればそれは違和感は無いんですが、決して
 そういう画面になってないんで音楽とのミスマッチ感があるんですよ。そのうえ標識にぶつ
 かったり牛に跳ね飛ばされたりする場面が香港映画ばりのブッ飛び方にしてみたりするん
 だけどそのちぐはぐさが可笑しさってよりはずっと違和感アリアリのまんまでね… なのに
 騒動のまとめ役に登場する伝説のライダーBlade役に
Peter Fondaってしておいても、特に
 コレという事もせず、せめて登場シーンん時にあのリフの1つも流すなりせめてバイクがあの
 アメリカンモデルだったりするような事もしないんでPeter Fondaである必然性が無いし…
 と、監督と脚本家が頭で想像して作ったであろう「バイク乗り」の「お話」の「世界」と主演四人
 の演じた「空気」とがずっと混じり合わないままではねぇ… 「バイクが走っているシーン」は
 多いし、主演四人がそれを楽しんでいるのはよく伝わるんですけど、広大な土地を走るとい
 う自由や開放感が映画として撮れていないんでオヤジ四人がずっとはしゃいでいるって図に
 しかなってないんで、奥さんの立場からの事情や意見も説得力があるのに比べて男達が旅
 に出た理由がそれぞれそれ程逼迫していない分だけ余計に開放感に繋がらないんですわ、
 「これってオヤジ達の我侭じゃん」
  って。

  勿論、特別に逼迫、窒息しそうな状況でなくても旅に出たくなる気持ちは解りますし、旅先
 での開放ってのも解るんですよ。別に中年の自己再発見や再確認や新たな誠心の自立とか
 発見が無くてもそれはそれで構わないんですよ。でもこの物語では誰の問題も解決していな
 い、特に一番現実逃避をしたくて旅を提案したWoodyについて何一つ触れないままに迎えた
 エンドロールで、自分達が起こしたトラブルを結局金で解決しちゃったってオチになられると
 流石に私はノれませなんだわ… 自分達だけが苦労したり悩んだりしながら遊んで楽しくて、
 そんでオシマイっとするんなら兎も角、結局家族だけでなく他人に迷惑をかけ倒して我侭して
 はしゃいで迷惑かけた分は金で解決してメデタシメデタシ、って… しかも一番深刻な状況の
 Woodyのエピソードは全く無しで他の3人だけメデタシメデタシってなってからのエピローグで
 
結果として金で面ぁ引っぱたいてアメリカ万歳を言わせて乾杯、って、どんだけ思い上がった
 話なんだと。体裁としてハッピーエンドになってるけど実は、って苦さも無い能天気さといい、
 これは私にはノれるようなもんではありませなんだ。

  これが三、四十代の役者でのものならばここまでの違和感は抱かなかったと思うんですが、
 そうではない本作は私には楽しく思えた場面も多いんですが一本の作品としては「ノれませ
 んでした」っと。
 「二十代の人間ならそんなに違和感は感じないのかな?」
  とか
 「オヤジを愛でるのが好きな人には悪くないかな?」
  とか思わないでもないですが… 何て言うんですかね?
 監督や脚本家の世代の言い訳に彼らより上の世代を使った、って感じがするんですよな。
 しかも、さんざ言い訳に使っていつつも上の世代に対する尊敬や憧れがあまりにも薄いし、
 だからと言って同世代や下の世代にもっか他者に向いてないお話では、いくら俳優がいい
 空気、演技をしていても私にはどうもノれませんなぁ… っと。むしろ、俳優が良かった分だけ
 余計にお話に苛々させられた、って感じでしたわ。

 ・さて、DVDソフトとしましては…

  紙製の立体仕様のアウターケースから取り出した本体ケース内にハーレーダビットソンの
 広告が入っているのが洒落てますな。そう言えばアメリカではこのDVDのオマケに劇中仕様
 のバイク模型が付いた版もあったようですが、そういう遊びは面白いと思いますね。

  画質、音質は良好。流石に最新作品のソフト、Buena Vista社製の事はありますかな。

  んで、特典なんですが…

 
「Audio Commentary」は監督と脚本家だけのもののようなので聴いてません。撮影裏話とか
 本来の意図とか色々話しているんでしょうね。興味無いんで聴いてませんが。
 
「"Bikes, Brawls, and Burning Bars: The Making of Wild Hogs"」は文字通りメイキングなんです
 が… 主役四人についてバイク指導をした人と当人らのコメント以外は… まぁ今時本当に
 バーの建物を爆破したのは珍しいんですが、と言ってCGでも同じ絵は出来たであろう事を
 思うと長々と爆破の模様を収録するのはどうかと思うんですけども。
 
「How to Get Your Wife to Let You Buy a Motorcycle」はまぁ要するに「バイクって男の子の
 乗り物だよね」話ですか。挑発的な題名になってますが、これも題名倒れなコメント集ですか。
 
「Alternate ending / Deleted scenes」は監督と脚本家による音声解説のon&offが可。個人的
 にはこっちに収録されているエンディングの方が気に入ってはいますが尺が短いんで何とも。
 
「Outtakes」はNG集。短い尺なれど主演四人の楽しげな雰囲気がよく伝わってきますな。
 
「Sneake Peakes」はBuena Vista社がリリースしているDVDの予告編集です。

  んで、
何で予告編を収録してくれなかったんでしょうかねぇ?

  3種類の音声&字幕分のデータの事もあるんでしょうが100分の本編であと2分半の予告編
 を収録出来ないワケは無いと思うんですけども。それに協力してくれたハーレーダビットソン
 社のCMとか入れてくれたって良いでしょうに… っと、まぁ本編を楽しむだけなら悪くはないん
 ですがDVDソフトとしては、今年ヒットした映画のソフトだっただけに、もぅちょっと特典が欲しい
 所だと思うのですが…


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