・『Jeans (1998)』 - Region All


 Studio: Eros International Ltd
 DVD Release Date: 9 Feb 2004
 Run Time: 177 minutes

 Aspect Ratio: Widescreen - 16:9
 Available Subtitles: English,
 Available Audio Tracks:
 Hindi (Dolby Digital 5.1)

 DVD Features:
  ・SELECT SONGS
  ・OTHER ATTRACTIONS

 ・日本でも劇場公開された作品でAishwarya Rai出演映画って事でAmazon.UKにオーダーを
 して、サイトでもPAL版表記だったのにいざ届いたブツを観たらばNTSCで。大体ジャケが
 いい加減で本編166分って書いてあるのに177分もあるわ、Japanese Subtitleって書いて
 あるけどEnglishオンリーだわワケわかんねぇよインド人のやる事って… っと、いささか観る
 前にゲンナリした本作ですが…

 ・
VishuとRamu(Prashanthの一人二役)は双子の兄弟。父Nachiappanの方針で髪型も服装
 も全く同じで同じ医大に通っている。ある日、祖母Krishnaveinyの手術の為にインドから来た
 Madhu(Aishwarya Rai)と出会う。Krishnaveinyの手術ミスからの回復というトラブルを共に
 乗り越える事でVishuとMadhuはお互いに好きになった事に気がつくものの、父Nachiappan
 はそれを知ると穏やかな態度から一変、「友人としての付き合いならば兎も角、結婚は別。
 双子の息子には双子の嫁しか認めない!」と言う頑なな態度の理由には父Nachiappanの
 過去があった…


  …ってお話。基本はロマンチック・コメディなんですがベタベタに撤したロマンス、コメディ、
 悲劇等のお様々なエピソードをあまり力まない繋ぎ方で一本のお話として紡ぐこのやり方、
 出鱈目っか適当っか場当たり的と言えなくも無いんですがなんかこぅスルスルと観てしまうん
 ですよな。緩急、緊張と弛緩のバランスのせいかテンポのせいかもしれませんし、あくまでも
 基本はMadhuとVishuの恋愛物語っ〜メインから外れない、サブエピソードが邪魔してない、
 って構成になっているのも観易い印象になったのかな? って気もします。
  ただお話としては無茶なエピソードも多く… 序盤のお婆ちゃんの医療ミス、患部ではなく
 正常な部分を切除してしまったから二度と目覚める事の無い植物人間と化した筈なのに、
 Vishの告発を受けて発覚したミスに対する贖罪として院長が再度手術したら次の場面では
 お婆ちゃんがもぅ普通に生活してる(笑)シーンになったり、ミュージカルシーンで何故か一曲
 の間で舞台が中国やフランスになったり、ユニバーサルスタジオとディズニーワールドとラス
 ヴェガスをごっちゃにしてみせたり、整合性とか言うだけ野暮なつくりはさながらちょっと前の
 週刊少年漫画の長編連載のコミックスを読んでいるような感慨を抱いたものです。

  その一方で、盛り上げるだけでなく心情や情況の説明や描写でもあるミュージカルシーン
 がロケ地が豪華でその景色を見せる為にと引きが多いうえにダンスそのものがイマイチな
 せいもあって個人的にはあんまり盛り上がれませなんだし、役者として双子の父を演じてる
 Nasser氏が巧い役者だったのを除くと他の出演者の演技は物足りませんな。特にメインで
 あるAishwarya Rai、翌年以降の様々な作品で魅せてくれたレベルと比べると、演技も踊りも
 ちょっと落ちるんですよな… いや綺麗でありつつ可愛らしいんですがそれは演技として、
 ではなく地のもの以上ではないなぁ…

  …っと、インターミッションまでは好印象だったのですが
後半があきませなんだ。
 前半が言わば人物紹介と問題の提示という展開だったのをいかに収束するか、ストーリー
 の展開で引っ張ってゆくか、ってすればいいものを無駄に登場人物のエピソードを増やす
 ものだから収拾がつかなくなったままでシメもオチも無いままに二人は結婚出来ましたよ〜
 メデタシメデタシのハッピーエンドですよ〜ってされたら只の御都合主義以外の何物でもない
 でしょうに。結果としてMadhuとVishuの以外の人々はロクにフォロー出来てないんで素直な
 気持ちでのカタルシスを感じられない、っか、若者の我侭・自己中心主義がゴリ押しされた
 だけのような嫌ぁな後味が残ったようでスッキリしねぇんですよ。 

 
【ネタバレ感想区間開始】

  っか、何が気に入らないって一番気に入らないのが父Nachiappanが自分の双子の息子を
 何故全く同じように育て、
「双子の息子には双子の娘」の理由となったシャム双生児だった
 弟とその奥さんとの問題が根本的な解決をしていないままにクライマックスを迎えさせたまま
 収拾もつけずなし崩になっちゃったのが気に入らんのですよ私は。
  親子の軋轢が解決されなかったばかりか、自身の中にあったちょっと鈍い弟に抱く優越感
 や嫌悪感についての自覚と反省をハッキリ見せる事もせず、息子の結婚を許す場面すら無
 いままで、次のシーンになったらみんな舞台でニコニコってそりゃぁねぇんじゃねぇかと。こう
 いう部分をキッチリ出来なかったらハッピーエンドも安っぽいものにしかなんねぇでしょうが…
 折角あれだけの演技が出来る人を父親役に配しておいたんだから、多少無理や強引だった
 としても場面と台詞さえつければそれなりに説得力も感情も上がると思うんですが、ちゃんと
 改心もしてない性悪極悪の弟の嫁が説教して、Madhuの父親にありがちな言葉をちょっと
 かけられた次のシーンがもぅ結婚披露パーティ(そう、結婚式の後!)ってのはねぇよ…


 
【ネタバレ感想区間終了】

  ホント、連載が続いてグダグダになって無理矢理終わらせたマンガのよう。無理に風呂敷
 を広げなかったかわりにキチンと畳めもしなかった、題材や着眼点も悪くはない映画だった
 だけに、この後半の失速っか散漫さは非常にガッカリしましたな… だって3時間近く付き
 合ってこんなオチなんかいな… っとな。

  CGを使っての一人二役のシーンは非常にお上手で、特に絡んでのシーンなんぞはインド
 映画界の技術も含めた層の厚さを感じましたし、楽しい場面も面白く思った場面も少なくは
 ないんですがしかしね、やはりこういうのはちょっと辛いですな… っと。

 ・さてDVDソフトとしましては…

  
 ・
画質はイマイチ。作品が8年前ってのもあるんでしょうが全体的に色褪せ気味でシャープ
 さに欠けてますし、マスターに因るフィルムノイズだけでなくブロックノイズも散見しましたし。
 あと「VOBの設定ミス!?」と思うようなガタついた繋ぎの箇所があったりと、とても褒める
 気にはなれませぬ。まぁ『Aishwarya Top 25』に比べりゃぁ全然マシですが、普段欧米版を
 見慣れていると… ね。

 ・音質は画質に比べればマシなんですがしかし… この映画のオリジナルはタミル語だった
 のにヒンディ吹替え版なんで音声と口の動きが合ってないし、吹替え故にどうしても台詞が
 浮いてしまうのが個人的にはとても残念でありました。容積的には余裕あるんだからオリジ
 ナルのタミル語音声も収録して欲しかったんですけどね…

 ・字幕は英語のみ、なんですが、コレが結構難アリでして… タイミング的にはまぁ問題無い
 かとは思いますし、若干表示と切り替えが速くてもわりと解り易い翻訳(超訳?)かとは思う
 んですが

   英語のみの会話 → 英語字幕無し。
  「ナマステ」等、挨拶など → 英語字幕無し。 
   ヒンディ語の台詞 → 英語字幕アリ。
   ミュージカルシーンでの歌詞 → 英語字幕無し。

 
  …ってのではちょっと困るんですけども。
 特になにせインド映画に限らずミュージカルシーンはただの心情描写だけだなく状況説明等
 も兼ねているんで、この映画のように恋愛話にしても全く歌詞表示が無いと何やってるのか、
 どういう心情でそれが進行してんのか変化してんのか深化してんのかサッパリ解りませんの
 で、ちょっと観ていて困るですよ。

 ・特典はソングチャプターだけのセレクトと、同社の商品紹介です。個人的には本作の劇場
 予告編が欲しかった気もしますが… ま、本編の出来が出来だけに、この程度でいいや…
 っと思いましたな。


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