・『Fearless (DTS Version) (2006)』 - Region 3


 Studio: Edko Films Ltd. (HK
 DVD Release Date: March 14, 2006
 Run Time: 104 minutes

 Aspect Ratio: Widescreen - 16:9
 Available Subtitles: Traditional Chinese
 Available Audio Tracks:
  Mandarin (DTS,  Dolby Digtal Surroun EX)
  Cantonese (Dolby Digtal Surround EX)

 電影資料館
 ・製作特報 (8:14)
 ・電影廣告 (2:00)
 ・電視廣告 (2)
 ・相片集 (10)
 ・導演及演員介紹

 ・元々香港版でさえ40分以上カットした版というのが気にはなっていたがジェット・リー、いや
 リー・リンチェイ最新主演作にて最後の主演武術映画となれば、ネタが日本人に毒殺された
 ってお話になってる霍元甲であっても是非劇場で観よう! っと思っていたんですが、どんな
 都合や事情があったにせよオリジナル『霍元甲 Fearless』を更にカットし、EDを日本の若者
 のバンドの曲に差し替える改竄、改悪をして『SPIRIT』なんてのにした日本の配給会社には
 ビタ一文も払いたくないので香港版DVDで鑑賞しましたが… ん〜…

 
「泣ける映画」宣伝してた馬鹿、斬首。
 士道不覚悟なら切腹だけど、改竄改悪をした馬鹿と一緒に斬首だ斬首。

 ファミ通No902号のインタビューにて

 2003年、中国では23万人の若者が自殺してしまった。仏教徒の僕としては残念でたまら
 ないよ。生命や人生とは何か理解しない和解うちに自殺してしまうなんて! 僕にできるの
 は、映画を通して反暴力をアピールすることだけ。暴力では問題解決にならないと思うし、
 他人の心を動かすの、感動やハートだけだからと思うから。


  と製作の動機を語っていたジェット・リー。そのキーワードとして「自強不息(自分に克つ)」
 をあげていたのだが、劇中の霍元甲は列強に支配されてしまった政府への何ら批判も無い
 ままにただ最後まで国の威信回復の為に自己犠牲をしたからこそ尊い、としているとしか
 観れなかったし、それで動かされる人の心の行き着く先って去年の中国の反日デモ程度の
 歪んだ愛国心にしかならんのじゃぁなかろか?

  成る程、田中安野(中村獅童)は武士のように高潔な人ではあったかもしれないが、しかし
 実行したのは中国人?でも結局は原田眞人演じる日本人の差し金で霍元甲は毒殺されて
 しまって尚、「恨みを抱くでない」って言われてハイそうですか、日本人とも外人さんともこれ
 からは仲良くしましょう! と言える人なぞ劇中にいねぇじゃん。ホント、お調子者ばっかりで
 幼少の頃からの親友とてそう言える人物とは見えないし。おまけに折角試合に勝ったんだ
 から早く病院に連れて行けば助かったかもしれないのに取り囲んで大騒ぎしてる様の方が
 よっぽど怖いわけで、そんな図を観ると
 「国の危機に己が命を捧げて誇りを取り戻して殉死した霍元甲」
  って以外に観れますかいな。
 それのどこが「自分に克つ」なんです。恨みを赦してやる、その先にあるのが「外敵排除」って
 スローガンを言わせていた人の言う「自強不息」がわが国がかつて唱えていた「富国強兵」と
 ダブってしゃぁないんですけど私…

  思えば『HERO』『LOVERS』もまた君子(施政者、統治者)には君子の事情があり、君子なら
 ぬ人民があれこれと君子について思いを巡らしたり批判するのではなく、まず従うべきだと
 いう中国共産主義肯定プロパガンダ映画ではあったが、そんな作品のプロデューサーから
 すればこれでいいのかもしれませんが… それこそを良しとしたジェット・リーは、そりゃぁ政
 治や国家や民族に対してよく言えば現実的、悪く言えばシニカルなツイ・ハークと喧嘩別れ
 もするわなぁ… っと思ったですよ。

  まぁそういう点を除いてみても映画としてどうもエピソードを端折ったようで随分と足りない
 印象を受けましたが駆け足になっていても余分、無駄なシーンが多過ぎて結局テンポを悪く
 感じてしまいましてのぅ…
  アクションシーンがアクセントになってくれりゃぁ良かったんですが往年のキレが無い動作、
 所作といい、ワイヤーによる自重の喪失、均一化によって色々な相手が出ていてもメリハリ
 がつかなくなっちゃってるんですよな。
  加えて、どう見てもボクシングや西洋槍術の動きでなかったり、1930年という時代設定の
 日本武道ではあり得ない多彩な蹴り技、日本刀じゃなくて十手等でやるべきだったシーン等
 バリエーションが多い分だけかえって武闘シーンが漫画的になってしまってるのが非常に勿
 体無いんですよな… ワイヤーとアクション担当のダブルを多用しているせいで動きも似て
 しまっていて、結局どれも似たような印象を与えてしまっています。

  しかし最初と最後の演舞シーンがあまりにも美しいが故に、余計にガッカリした映画でした
 なぁ… ホント、舞のようで美しいんです。だからこそ劇中の格闘シーンが酷く見えてしまう、
 ってのもね…

 ・って感想はさておき、画質・音質共に良好だと思います。
 デジタルカメラでの撮影でしょうからソフト化も非常に相性が良かったんではないかと。まぁ
 出来れば英語字幕くらいは欲しかったんですが(涙目)、まぁ小難しい話ではないんでそれ程
 の苦労はしませんでしたしね。

  特典も全部中国語ですが
 「製作特報 (TV用の特報番組)」、「電影廣告 (劇場用予告編)」「電視廣告 (インターネット
 用予告編?」「相片集 (フォトギャラリー)」「導演及演員介紹 (キャスト&スタッフ紹介)」、と
 一通り揃っていますんで、値段から言っても充分お手頃なソフトだと思いましたよ。


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