・『La Marche de l'Empereur - Edition Collector 2 DVD (2005)』 (PAL) - Region 2


 Origine : France
 Date de parution : 26 juillet 2005
 Editeur : Buena Vista Home Entertainement
 1 b 25 mn

 Format image :
 Widescreen anamorphic - 1.85:1

 Langues et formats sonores :
 Francais (DTS 5.1, Dolby Digital 5.1)

 Sous-titres : Francais

 Bonus :
 DVD 1:
  ・Le commentaire audio de Luc Jacquet
  ・L'introduction, la presentation de Luc Jacquet
  ・Les Bonus en cours de visionnages :
  carnet de route, images du making of,
  cartes topographiques...

 DVD 2:
  ・Documentaire Luc Jacquet
   "Antartic Printemps Express"
  ・Interview de Romane Bohringer,
   Charles Berling et Jules Sitruk
  ・La Musique : Interview de Emilie Simon
  ・Nouveau Makig-of exclusif
  ・Galeries de photos
  ・Court-metrage: "Hector et la Manchotte"
  ・Promotion: galerie d'affiches, bande-annonce...

 大雑把に訳すと「皇帝の歩み」って意味らしいが、素直に『皇帝ペンギン』とした邦題は良いん
ではないんでしょうか。
 TVの映画情報番組で観た予告に惚れて調べてみたら、日本での劇場公開とほぼ同じくらいの
時期にフランス本国でのDVDリリースがなされるのを知ってオーダー、日本での公開一週間目
にフランスから届いたので早速観たんですが…
 
「手間も暇もお金かかってはいるのはよく解るが、愛も無ければセンスも無い
とても残念な作品」
 という感想になりますかのぅ…
 
 南極の皇帝ペンギンの繁殖シーズンに絞ってのドキュメンタリー、と思っている人も多いのかも
しれませんが、(宣伝とか映画雑誌とかでもドキュメンタリーって言ってましたが)実物は
監督が
ペンギンを擬人化しての親と子のドラマって編集&加工した『映画』
なんですな。
 だから、南極の美しさも厳しさも中途半端ならペンギンに対する情もあまり無いんです。むしろ
それらは背景や要素でしかなく、どこまでいっても監督にとっての親と子の情、ってので、監督に
必要であればフイルター効果などによる着色やらもバンバン行ってるし、ナレーションもどんどん
入れて… ってのが基本ですし。
 
 だからドキュメンタリーではないし、と言って自然を利用した創作物として観るに画面の凡庸さ
が何とも。まぁ監督の求めた親子の物語に舞台となる自然や対象そのものを美しく撮る必要は
無いんだろうけどなぁ… でも、あの手間と暇と金をかけておいて、こんなのしか出来ないのか?
 って思っちゃうんですよ、私は。勿体ねぇじゃん、って。
 
 私も妻もフランス語がカケラも解らないからまだ救われましたが、劇場等で字幕なり吹替えで
観たら多分、その心情説明が鬱陶しくて腹が立っていただろうな… っと思うくらい、ナレーション
っか意味的にはダイアローグか、の台詞の挿入が多かったのもどうかと思うんですが、それより
酷いのがBGM。安いシンセと陳腐なメロディに稚拙なヴォーカルってのだから素材そのものの
時点で画面に負けているってのに、それで場面やらの演出にしようとしてるのはハナから無理。
なのに、あえて効果音を付け足してまでやるから作品世界に入り込めなくて白らけちゃうんです
よ。あの安っぽさのせいで作品の奥行きとか重みとか無くなっていますからなぁ…
 
 自然の雄大さ、過酷さ、そして優しさへの畏敬をも抱いた『DDEP BLUE』などと比べると、この
作品はあまりに監督の一人よがりの世界なんじゃぁないか? それが独自だったり物凄く美しい
とか面白いのならばまだしも凡庸だし、自然への思い入れがあってもこの作品には不要、ってな
ってるんで、いくら素材のペンギンらの様子がよく撮れていても… 大体、子供が誕生するまでの
長さと子供が生まれてからの短さといい、なんか「親は苦労してんだぞ!」って言いたいだけなん
とちゃうんかコレ… っと思ったんですが…
 
 …って印象があながち間違いでもなさげなに思えたのが特典ディスク収録のメイキングで、フラ
ンス語はサッパリ解りませんが、兎に角、監督のアップでの喋りが大半で、もぅ俺様世界全開。

Luc Jacquet

 音声解説だけでは語り足りないのか、撮影場所を作る事の手間や凍傷の事など俺様の苦労
語りが延々と続いて、別にそんなの興味無い私には邪魔くさいものでしかありませんしのぅ…
 
 それよりも撮影の合間にペンギンの傍で煙草をふかしてたり、

特典メイキングより。

 監督だかスタッフが現地で誕生日を迎えたからって事で行う現地南極でのパーティで3メートル
くらいの大焚き火をしている様とか

メイキングより。

 必要だと思えば夜中でもシッカリとサーチライトをあてて撮影したり、

メイキングより。


 繁殖期の真っ只中や卵を温める時期、子育ての時期に、わざわざペンギンの群れの中にまで
ズカズカとカメラを持ち込んでの撮影とか、

「お前ら一体何をしとんのじゃ!」
 っと怒りすら感じましたが… まぁ自然とか環境とかどうだっていいんでしょうな、この人は。
だから声をあてているペンギンも場面によって違っていてもいいし(っか見分けがついていないと
思う)、自分にとって必要な絵を撮る為ならばどんな「演出」も「加工」も構わないし、当たり前って
事なんでしょうな… と、観ていて本当に不愉快になる程の俺様っぷりぶりでしたな。
 
 そりゃまぁ創作、表現は自分語りでもありますがねぇ…
 これはちょっと私には残念な作品、でしたがメイキングを観たら怒りすら抱いた、ってのは私的
には初めてかもしれませんな… っか、心が痛む…

・DVDソフトとして画質は普通。
PALで本国版だから… って期待をしていたんですが、画面をイジり過ぎているせいか全体的に
色合いが薄い感じがします。そのせいかフィルターをかけている部分が濃く目立つ感じでどうも
チグハグな印象があります。
 また、フィルムからデジタルへのコーディングするソフトの質が悪いのか、あれだけ近くで撮影
してんのに
全体的にザラついて奥行きも鮮明さも欠けていて、撮影物の質感を感じ難い画質、
って言えば何となく伝わりますかね?

 ですんでノイズが無い、って意味で「普通」ではないかと。
まぁ日本版よりは綺麗かもしれませんが、正直、これまでPAL版オリジナルで味わってきた色彩
の美しさや鮮明さでの感動はこのDVDにはありませなんだな。ビットレートが低いとも思えない
んですが… 何せ90分無いんですし… 元々の値段の高さも含めてこれには本当にガッカリ。
 
 音質は良好。と言っても安いシンセのBGMがメインですからあまり意味も無いかな、と。無理
にスタジオで整えた音響設定といい、ライブラリーから引っ張ってきただけかのようなSEを強調
してるのといい、加工物としての強調が強いのは私の好みじゃぁないんで厳しい言い方かもしれ
ませんが、画質よりは良いモノではないかな? って印象ですかね。

 ケースの安っぽさも含めて、期待値が高かった分だけガッカリしておりますわ…


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