・『The Shaolin Temple (1982)』 - Region ALL


 Publisher : Mei Ah Entertaiment (HK)
 DVD Release Date : Augast 10, 2003
 Run Time: 95 minutes

 Aspect Ratio(s):
 Anamorphic Widescreen - 16:9

 Available Audio Tracks:
 Mandarin (DTS, Digtal Dolby Surround 5.1, 2.0)
 Cantonese (Digtal Doly Surround 2.0)

 Available subtitles:
 Tradutional Chinese, Simplified Chinese, English

 DVD Features:
  ・ Synipsis (中文, 英文)
  ・ Cast & crew (中文のみ)
  ・ Best Buy (『少林小子』予告編)

時は中国の昔。地方で暴虐の限りを尽くす悪の将軍に父親を殺された主人公が… って粗筋
を書いてもあんまり意味の無い、一応歴史上の実話を元にしたって事になっていますが物語の
形式としてはオーソドックスな、実にオーソドックスな功夫映画で

 
悲劇。 → 功夫。 → 復讐。

 ってこのスタイル、よくありましたでしょ? ですんで私の思い出とか感想をば。

・1968年生まれの私はブルース・リーもジャッキー・チェンもTV放送された時ですらまだ小学生
だったので思い入れを抱くって感じではなかったし、凄いんだけど映画である以上、見世物的な
解りやすい型って印象が強いのと、映像的にどうにも貧乏臭い(色褪せたかのようなフイルムの
色とかね… )雰囲気と基本は

 悲劇。 → 功夫。 → 復讐。

 って暗いパターンばっかだわ、見せ場の繰り返されるスローモーションと早回しに馴染めないで
いたのですが、この映画に関しては
「全中国武術大会5連覇のリー・リン・チェイをはじめ様々な拳法の達人がこの映画の為に集結
した本物のカンフー映画!」
「これまで許可されてなかった中国本土で撮影!」

 といった宣伝文句につられて行ったんですからいい加減なものですわな。

 で、物凄く感動しましてなぁ…

 よく私より上の世代の人が極道ものやカンフー映画を観て主人公の強さの気分に酔ったまま
映画館を出て… ってなエッセイとかあるんですが、私の場合はこの映画で呆気にとられた後で
物凄く感動して満足したんです。でも、技がとても凄くて感動した分、自分の立つ地平との距離の
あまりにもな遠さがよく解ったのと、修行シーンなど功夫の場面に笑いを入れていない分、余計
に主人公と同一化なんて出来なかったんですよ。まぁこれは私だけかもしれませんが…

 例えばそれまでのクンフー映画の主人公は筋肉の凄さも含めて実に観て分かりやすい「文法」
でもあったと思うんですよ… 蹴りや拳の動きも含めて。しかしその分だけどうしても攻めにしろ
受けにしろ「文法(スタイル、でもいいかな?)」であるが故にマス大山じゃありませんが振り付け
ダンスにしか見えない部分があるんですよ。相手の足を止める蹴りなら何故膝を、内側を狙わな
いのか? ブッ飛ばせる程の拳で何故眼や顎や喉ではなく頬を殴るのか? 華麗で、観る技と
して凄ければ凄い程、よりリアリティが感じられにくく思えていたヒネクレモノの私でしたが、こと
『少林寺』での動きは派手さも分かりやすさでは劣るもののリアリティに満ちたモノに映ったんで
すよ。踏み込む前からのフェイント、放ってからの防御も考えた攻め、喉をはじめとする急所を
前提にした攻撃ポイント、どっしりとした腰… ってので喜んだから嫌な中学生ですな(苦笑)。

 そして武芸だけでなく、本物の少林寺をはじめとする中国の風景の美しさ、大きさったら…
後に『天山回廊』でも思うんですが、その景色、風景の見事さには感動しかなかったですな。

 しかし…

 そういう本物が揃っているだけに嘘が余計に目立ってしまうのが嫌でねぇ…
逆回しや足場を見せないようにカット割りしたジャンプの表現なんてもぅ気持が冷める冷める。
セットでのシーンがあまりにも安っぽくてテンションが下がる下がる。
「そんなんええんや! 本物だけでええやん!」
 ってね。

 その後リー・リン・チェイが出演した有象無象のカンフー映画と比べたら実に豪華でお金も手間
もかかった作品だと思うんですが、それをさっ引いても私の中では実にイビツな、愛情と感動と
失意と残念さが混じった作品でしてな… 加えて劇場で観た時もそんなに画質が良いとは思えな
かったのもあって、なかなかに再見する気にはなれないでいた映画だったんですが、たまたま家
でゲームキューブの『ソウルキャリバー2』をPLAYしていた時にフツフツとこの映画で得た感動
が甦ってきて、いてもたってもいられずオーダーして観たんですけどねぇ…

 
いやぁ、面白かったッ!(笑)

 劇場で観てから23年、自分でも呆れるくらいにストーリーをよく覚えていた事よりもそれからの
間に観た様々な格闘技の映像と比較してもコレ、私には充分面白かったんですよ。そりゃまぁ、
当時気持ちが冷えたりテンションが下がった部分は今も同じように感じましたが(苦笑)、最近の
香港映画だったらワイヤーとCGと合成で済ませているような部分も純粋な自力の人力だけで、
ごくごく当たり前にやってみせている姿には素直に感動しまして、格闘技好きでない妻でさえ
「うわぁぁぁ… 棒術、習いてぇ… 」
 って燃えさせるくらいリー・リン・チェイらの動きは凄く、美しかったですなぁ…

・… という長い感想はさておき
DVDソフトとしてはいいんじゃないんでしょうか、コレ。
デジタルリマスターされた画像は美しく、当時劇場で観た時より綺麗かもしんないです。ただ若干、
工程にムラがあると言うか補正がかけ過ぎな場面やかけなさ過ぎの場面も散見出来ます(特に
夜のシーンがチト辛いかな… 剣の反射光なんて白抜きみたいだったし… )が、トータルで言え
ばノイズも殆ど無く製作年度からいっても充分なんじゃぁないんでしょうか?
 音質はちょっと低音部に不足を感じなくもありませんが、これも元の素材がモノラルだった事を
思えば、下手に無理矢理左右に散らしたりもしていませんしノイズもありませんから十分な出来
で再生だと思いますよ。

 それと比べると
DVD特典は物足りませんなぁ… まぁ中国はいまだVCDが主流、現役のお国
ですんで、それに倣ってるってのもあるからなんでしょうけども、せめてこの映画の予告編くらい
収録してくれてもいいんじゃぁない? Cast & Crewってあるけど劇中のスチルに「李連傑」って
出るだけだしなぁ… って事で、かつて憧れた人は日本語字幕&吹替え音声だけでなくちゃんと
予告編も収録して05年8月に出る日本版を購入された方がいいかもしれませんが、私にはこの
版で充分満足しましたよ〜 って言うか、この映画で昔のリー・リン・チェイ憧れが再燃しそう(笑)

 


輸入版 MOVIE Index

Index