・『Envy (2004)』 - Region 1
Studio: Umvd/Dreamworks Theatrical Release Date: April 30, 2004 DVD Release Date: September 28, 2004 Run Time: 100 minutes Aspect Ratio(s): Full Frame - 1.33, Anamorphic Widescreen - 1.85 Available Audio Tracks: English (Dolby Digital 5.1) French (Dolby Surround) Subtitles: English, French, Spanish DVD Features: ・BEST OF BLACK (10) ・PHOTO GALLERY (35) ・PRODUCTION NOTES (英文のみ) ・CAST (英文のみ) ・FILMMAKERS (英文のみ) |
・同じ職場、住まいも向かい同士のニック(ジャック・ブラック)とティム(ベン・スティーラー)。
家族ぐるみで付き合いがあり、お互いに親友としていい関係を築いていたが、ある日ニックが
『飼い犬のフンを消してしまうスプレー』を思いつき、親友として協力して欲しいとティムに頼む
ものの、普段の夢想癖に加え非現実的過ぎると断ったが、それでもニックとティムの友情は
続いていた。しかし、遂に発明は成功。発売と同時に大ヒットした御蔭でニックは大金持ちに
なるのだが…
・実はこの映画、01年か02年だかには殆ど完成していたものの、DW社内や試写会での反応
があまり良いものではなかったので公開延期しまくって実質お蔵入りだったが、(多分)03年秋
にジャック・ブラックがあの『The School of Rock』の大ヒットを飛ばした事を受けてかやっと04年
春に公開されたものの、そういう経歴の映画だけあって評論家や観客の評価もあまり良くなく、
興行成績も惨敗ではないが決して良いものとは言えぬ結果に終わった映画でございましたが、
コメディ好きな私としてはチェックしておいてもいいかな… どうせ日本版、出ないだろうしなぁ…
っと思ってオーダーしたら『隣りのリッチマン』って邦題でビデオスルーだそうです、そうですか。
…って事で、観てみたんですが…
・en・vy[nvi]
〔名〕(複en・vies)
1 〔U〕(…に対する)ねたみ,そねみ,しっと;うらやましさ,羨望(せんぼう)
《at, of, toward...》.ofのあとは物・事のみ;envyは人の幸運・能力などを見てあやかり
たいと思う気持ち(jealousyはそれが自分にないのは不当だとして相手を憎む気持ち)
2 [the envy of A]〈A(人)の〉羨望の的
…という題名からもっとイジけた(ウッディ・アレン系って言えばいいですか?)ものかと思って
いたんですが、まぁ普通以下の失敗作ですなぁコレ。1番の理由はベンとジャックが役の設定
上である「The Best Friend」って見えないってのがねぇ…
状況説明である冒頭のシーンのやりとりにしても北部出身でスノップげなティム(ベン)と南部
出身でレッドネックげなニック(ジャック)のすれ違いの面白さはあってもそれ以上ではなく、なん
となく家も向かいでなんとなく同年齢でなんとなく同じ会社に通っているからなんとなく家族ぐるみ
での付き合いをしてはいるけど… ってのにしか見えないトコからのスタートであっては題名にも
ある『envy』と友情との間でティムが揺れる、ってこのテのコメディにとって行動や言動の説得力
が無さ過ぎなんですよな。だからこぅ、追い込まれ感も薄いし、ドタバタもハジけない。
まぁそういう反省もあってかdvdジャケット、映画公開時のポスターとは違うのですが…
加えて予算が中途半端なせいか、ニックが建てる御殿がパーツ(セット)単位では豪華なんだ
けど、それが1つの家の大きさ、スケール感に繋がっていない、ってのもノれん理由で… もっと
狭い敷地内に無理無理メリーゴーランドやカートレース場なりがみっしり建っているって画1つで
もあれば印象が変わってる筈なんですけど、映画ではそういう方面に気を使っていないせいで、
1つの家に見えないんですよ。別に図面が欲しいワケじゃぁないんですが、そうしないとニックの
成り上がりっぷりがイマイチ伝わらないんですよね… それ以外のシーンでも生活感やニックの
思想性が建物や衣装に反映されてるとは言い難いんでイマイチお金持ちとも成金とも観れない
のに加えて、ティムの環境の変化も見せきれてないんではねぇ…
だからこのジャケットもあんまり内容と一致してないんですよな…
そしてエピソードがバラ撒かれてはいるが、それがキチンと繋がっていない。
伏線かと思いきやただのエピソードで終わったものも少なくないし、オチに繋がる結構重要な筈
のエピソードがあまりにも印象が薄いのと扱いが普通過ぎて、
「あ、そうい言えば… 」
って程度なんで拍子抜けした、ってのもあるかな。
って言うかバランスが悪いんですよね、エピソード配分が。中盤、共同経営者として一気にリッチ
になった、って事を示す為のイタリア旅行の部分は明らかに長いし、J−MAN(クリストファー・
ウォーケンが地味だけどいい味してます)の登場と絡みにしても後の展開から行けば不適切なく
らいに長い。もっと脚本をシンプルにして、台詞でなく情況で笑わせるべき筈なのに、明らかに
出演者の演技と喋りにお任せっきりだからどうしても無駄が多くなるし、その分カッティング等で
見せないから地味に、凡庸に… って悪循環を起こしているんですよ。
で、それに加えて音楽がイマイチ。一応色々なバージョンの『Envy』のテーマソングを使う事で
状況や心情説明(&補足)をしようとしてますが、『メリーに首ったけ』の方がそれ自体もネタにし
てしまったのと比べると明らかに落ちますなぁ…
多分、この責任は役者や脚本ではなく監督のせいだと思う。
EDロールで流されるTVCMの場面でも、ベンとジャックにフリーで演じさせてるんですけど、それ
があんまり上手く噛み合ってないんですね。元々、笑いで狙う傾向が違う二人だからしょうがない
事ではありますし、噛み合っていないなりにそれぞれオトナらしく合わせてはいるけれど… 劇中
でのキャラクターのブレ具合といい、あんまり監督には明確なビジョンも無かったし指示もしなか
ったんじゃぁないかなぁ… って気がしましたな。
その分、奥さんとか(勝手に)頑張った人が光ってるんですけどね…
って事で、笑えなくはないんですが佳作でもない、って私は思いましたなぁ。
よく、小説の書き方やマンガの描き方なんかで
「(説明、状況を)喋らせるな、描写しろ」
ってのがありますが、役者が頑張ってもそれを活かして描写にしてないで音楽などで説明させ
るのはコメディに限らずどうかなぁ? って思う私からすれば、元々期待はしてなかったにしても
出演者の豪華さや惜しい要素が少なくないだけに残念な作品、でしたなぁ…
・んで、dvdソフトとしては… あんまり良くないかな。
画質は落ち着いたトーンのつもりかもしれませんがややシャープさに欠ける印象ですし、それは
音質も同様で一応ノイズとかは無いもののごくごく普通の範囲ですし音響的に凝った印象も無い
ですし。
それに特典の寂しい事!
「BEST OF BLACK」は本編内のジャック・ブラックのギャグシーンを再生するだけだし、後は静止
画と英文のみ… 確かに定価約$15ってチョイとお安い価格帯ですし、ヒットしなかった映画の
ソフトだから、ってのもあるかもしれんが本編同様なんか価格も特典も中途半端なんですよな…
ま、片面にFull Frame版とWidescreen版を詰め込んだせいかもしれませんけど、ねぇ…
…って事で、映画としてもソフトもしても残念な出来でした、っと。