・『Thriller - A Cruel Picture (1974)』 - Region 1 ?


 Studio: Wea Corp
 DVD Release Date: September 28, 2004
 Run Time: 107 minutes
 Keep Case

 Aspect Ratio(s):
 16:9 Anamorphic Transfer (1.78:1)

 Available Audio Tracks: Dolby Digital 2.0 Mono
 Swedish(Original),English

 Subtitles: English

 ・DVD EXTRA
  ・Extensive Still Galleries
  ・Original TV Spot
  ・Theatrical Trailers
  ・Outtakes
  ・Fight Sequence
  ・Filmographies

 ・Liner notes

 ASIN: B0002VEUIK

・『KILL BILL』でダリル・ハンナ演じるエル・ドライバーの元ネタになった映画だと言われている
が、厳密には『Thriller - en grym film』というスウェーデン・オリジナルからポルノ&ゴアシーン
を20分以上カットしたアメリカ版の1つが『THEY CALL HER ONE EYE』、で、他にも同じような
カット版で『Hooker's Revenge』『Thriller: A Cruel Picture』ってのがあるそうで… まぁ、タランテ
ィーノの事だからスウェーデン・オリジナル版を持っていても全然不思議では無いけれど(笑)、
「原則として買ったdvdは妻と観る事」
 と言い渡されているにしてもワリに陰惨なモノをねぇ… でも主演のクリスチナ・リンドバーグ
は私よりも上の世代には有名なポルノ女優さんなんだけど実物を一度も観た事が無いしなぁ…
とか、購入にはちょっと逡巡があったのも事実ではあります。

 いやね、この映画の後になりますが『ウィークエンド』や『発情アニマル』とかレイプシーン以上
に復讐シーンが陰惨なトラウマ映画って一杯あったやないですか。おまけにファッション的にも
ダブってる梶芽衣子の『さそり』シリーズなんか全部トラウマもんやないですか。別に私、今更
善人ぶるつもりは全く、一切ござんせんが、自分がやろうと思えば簡単に出来る事であっても、
ああいうトラウマ映画の印象が強くてどうも苦手なんですよ、『イルザ』シリーズも駄目なヘタレな
んですよ、自分がバイオレンスな人間なもんで一人っきりのエロの時くらい凡庸な『エマニエル』
とかそんなんボケーって観てる方がいいんですよぉ…

 …ってのはまぁ冗談(?)ですが、レイプが映画でしか観られない諸外国と違い、ポルノのジャ
ンルとして堂々と棚に並んでいる我が国においては映画としての出来が良く無いとなぁ… って
思ってるのは事実ですし、「エル・ドライバーの元ネタ」ってのが無ければ果たして入手していた
かどうかは疑問であります。私は日活ロマンポルノでなら『黒薔薇昇天』、とかエロでもコメディの
方が好きですしねぃ。

・さて。
限定25000枚生産、もし観たくなった時に売り切れだったらバカみたいなプレミア価格がつい
た新品か、涙モノの傷&ホコリまみれ&日焼けしまくりの中古か、どちらかの選択になるのが嫌
なもんでとっととオーダーしたブツでございまして、改めて
『暮逆京助』様、ありがとうございます。

・と、長い前置きはさておき本編でございますが…

幼少の頃にペド爺にレイプされた事により唖になってしまったクリスチーナ・リンドバーグ嬢。
実家のお手伝いをしつつヒッソリと暮らしていたのですが、そこに悪いオヤジがやって来て、口
八丁で信用させておいてヘロイン漬けにした挙句、売春を強要するも抵抗したために罰として
左眼を潰され、どうせもぅヘロ漬けだしどうにもなんねぇや… と人生を丸投げしかけた時に…


 ってな復讐モノでございますが、
「『さそり』だよなぁ… 」
 と思っていたのは復讐の為の訓練開始まででございました。
『さそり』の影響があったのかどうかはdvd封入のパンフの英字を読むのが面倒なんで解りま
せんがアレは男社会に搾取されて、欲望の為にボロ屑のように捨てられる女達の怨念の貞子
みたいなもんで、それがヤクザだろうが官憲だろうが性別も関係無く、自分と虐げられし女達へ
と害を成す者は成敗される… という怨念の物語であって、都市伝説みたいなもんじゃないです
か。その体現として監督が選んだ梶芽衣子=松島ナミであり、「あの時代の映画」としか呼べな
いモノになってるんだけど、この映画の場合は復讐モノの系譜に入るけれど個人的には
「クリスチーナ・リンドバーグの為の(アイドル)映画」
 って印象が強いんですな。
「レイプされてヘロイン漬けにされて眼ぇ潰され売春強要されて… って映画のどこがアイドル
映画なんだよ!」
 というツッコミは自分でも思うんですが、でもコレ、絶対ポルノじゃぁないしクライム、復讐モノ
たぁ私にはどうしても思えなかったんですよ。

・なんっ〜か、写真だけではよく解らなかったんですがこのヒト、眼に妙ぅな雰囲気というか味が
ある。この作品の監督ってそれを解っていて、より引き立たせるために片目にするってのを思い
ついたんじゃないのか? って気になるくらいに、本来の目的である筈のポルノシーンが雑っか
いい加減で、いくら強要された売春婦っても前戯無しでのっけから合体ドUPばっかりで構図も
殆ど同じ、ってねぇ… 本編の
無駄な爆発とか流血とか火薬の量間違えたとしか思えない銃撃
シーン
さながら着せ替え人形のようにシーン毎にチェンジする衣装、って手間と執念と比べる
とファックシーンは本当にいい加減。っか、コレでヌケるの小学生でも難しいような…

 それと確信犯的なのが格闘、銃撃シーンのヘナチョコさ加減(笑)。
鍛錬によって強くなっていって、そして強くなったとはどうしたって見えなくて、なんか可愛いんで
すよホント。受け手(ヤラレ役)側が巧いのを通り越して無駄に派手な動きに見えるくらいにヘナ
チョコさ加減が堪らないですよ。加えて銃撃シーンは『リーサル・ウェポン』のメル・ギブソンのよう
に射撃時に眼を閉じてるなんて可愛いじゃぁないですか! もうちょっと黒色火薬減らしてやれよ
美術さん! 発火用火薬イコール炸裂音じゃぁないでしょ!(笑)

 っと、言いたくなるくらい… って、褒めてるんだか貶してるんだか解りませんが、観る前に恐れ
ていたような「トラウマになりそうな映画」ではなく、悲惨な話ではあるんですが、例えば修行中の
空手の道場にて、一服の代わりにヘロ一本キメて破門とか、なんか牧歌的っかノンビリしてるん
ですよ、この映画…

 これと比べたら『ロサンゼルス』とか『処刑教室』や『タクシー・ドライバー』の方が遥かにキツイ
映画だと思うですよ。そういう意味では
「なんか変、っか妙な映画だなぁ」
 っという感想が一番なのかもしれません。

 キッチュとかシュールとかじゃぁなくて、クリスチーナ嬢の眼の如く、妙な雰囲気、感触の映画だ
な、っと。っかキャラクターの異質さはクリスチーナ嬢のものであっても、この妙ぅな感覚って監督
の趣味なんだろうなぁ… んで、それは嫌いじゃぁないです、ハイ。

画質、音質は制作年代の事を思えば十二分にクリアーだと思います。
と言うか、まず元のフィルムの保管状態が良かったのと、dvd化の為のエンコードが巧くいって
いるdvdだと思いますよ。コレと比べると日本映画の日本版dvdによくあるマスターの保管状態
の絶望的な悪さと比べると段違いですね… なんか羨ましいですよ。
 


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