・『タラデガ・ナイト -オーバルの狼- (2006)』


 原題:
 Talladega Nights: The Ballad of Ricky Bobby
 Theatrical Release Date: August 4, 2006
 製作国:アメリカ
 製作年:2006
 字幕翻訳:松崎広幸
 吹替翻訳:中村久世

 販売元:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
 発売日: 2007/06/20
 時間: 121分

 音声仕様: Dolby Digital 5.1 サラウンド
 字幕: 日本語/英語
 音声: 英語、日本語

 画面サイズ: スクイーズ/シネスコサイズ

 映像・音声特典
 ・監督とお友達らによる音声解説
 ・未公開シーン集 (9)
 ・NGシーン集 (2:28)
 ・アダム・マッケイの撮影日記 (11:44)
 ・ウィル・フェレル、再びタラデガへ (5:25)
 ・リッキーとキャルのCM (1:38)
 ・ボーナス映像・レースシーン (1:18)
 ・ギャグ集 (5:30)
 ・ウォーカーとテキサス・レンジャー (5:44)
 ・オーディション風景 (4)
 ・インタビュー集 (3)
 ・オリジナル劇場予告編集 (4)

 ・誕生の瞬間にスピードに生きる事を宿命づけられた男リッキー・ボビー(ウィル・フェレル)は
 NASCARにデビューするやその才能を開花、瞬く間に頂点に君臨。様々な雑誌の表紙を飾り
 TVCMにも引っ張りだこの国民的ヒーローとなるもチームのオーナーはチームの将来も見込
 んでF1で活躍していたフランス人ドライバーのジャン・ジラール(サシャ・バロン・コーエン )と
 も契約。リッキーは闘争心むき出しでジャンとバトルを繰り広げるも大クラッシュ。ショックの
 あまりレースが怖くなってしまったリッキーの順風満帆の生活はそれを境に一気に風向きが
 変わりはじめ…


  期待をするも日本ではDVDスルーというのも主演がウィル・フェレルのせいか、それとも
 題材がNASCARという日本ではマイナーなカーレースだからか。それでも元々言葉遊びも
 得意の1つとしているウィル・フェレルの映画は英語が得意ではない私にとっては日本版の
 リリースは嬉しく、どうせ半年もしないウチに廉価版がリリースされるであろう事は解っては
 いても購入したのはヤッパリ今年ガッツリと笑わさせてくれるコメディを観ていない、ってのも
 あったからですが… さて、本編。

  ウィル・フェレルが演じるキャラクターのクドさって点では随分ソフトと言いますか、シレっと
 して酷い事やトンチンカンな言うというある種オーソドックスなコメディの形式となっておりまし
 て、流石に冗長版、もとい長尺版だけに間延びやモタついた印象が結構残りましたがその
 ルーズさは休日の午後、ビールでも飲みながらダラダラ〜っと観るに決して悪いモノではご
 ざんせんでした。っか前作『俺たちニュースキャスター』があえてちょっと前の時代を舞台に
 する事で男らしさ、アメリカ的マッチョニズムをもギャグにしていたのをアメリカ文化そのもの
 のNASCARを舞台にする事で舞台が現代でも通じるようにしてあるのはわざと、なんでしょう
 なぁ… だけどやってるギャグそのものはベタベタなんですけど、それをシレっとドライにやら
 れるのに私は弱いんで最後まで普通に楽しめましたな。個人的にはもっと盛り上げられる筈
 なのをあえてそこまで持っていかず、ほどほどなリアルさを随所に配置、そしてマイケル・クラ
 ーク・ダンカンの配置といい何となく『ロクスベリー・ナイト・フィーバー』を思い出したりもしまし
 たが今回のリッキーはスティーブやチャドらと比べれば本当にマイルド、ソフトですんでウィル
 初心者でアメリカで大ヒット(2006年のアメリカ年間興行成績第12位!)ってのですから
 興味を持たれた方はレンタルでの視聴も悪くないんじゃぁないかな?っと思いましたよ〜

  まぁ個人的にはちょっと引っ掛かる部分もありましてな。

  結局コメディであっても家族回帰になる、ってのが風潮なのは仕方無いにしてもしかしラスト
 で家族でまとめる必要ってあったのかなぁ? って思う気持ちもあるんですよな。男根主義と
 でも 言うか、女性差別的な部分もギャグにしているのは結局現代の文明社会における男子
 の復権っか意識の復興ってのの裏返しでもあるんだろうけど、その行く先は家族なのか?
 ったら必ずしもそうではないじゃぁないですか。だけどそうまとめる事で確かに多くの観客には
 安心感を得られるのでしょうし商売としては正しいしあのエンディングそのものは私も悪い気
 分にはならなかったものの、しかし

 「でも、それでいいのかなぁ?」

  って引っ掛かる気持ちも無くはないんですよな… まぁ考え過ぎなのやもしれないんですけど
 ストーリーとしての家族という構成への回帰(とその指向っか趣向)、そしてマッチョニズムって
 のは特に去年からのハリウッド映画によく出るんですけども、それが枷や枠になってお話と
 してはある程度綺麗に収まってもコメディとしての笑いってのはアナーキーさもあってナンボで
 その破壊、否定対象には「家族」ってのもあるんじゃぁなかったっけなぁ… と思わなくもない
 んですけどね… ってコレも私の考え過ぎなのやもしれませんが、かつて程にはアメリカ映画
 への期待やらをあまり感じれなくなってる理由でして、それが911に因るものなのは解っては
 いてももうちょっと、って思ったりもするんですけど、ね…
  まぁこのDVDは13分長いUnrated版が元なんで、劇場オリジナル版のPG-13版での視聴
 だったら感想も印象も違っていたんでしょうけど、ね。

  …ってのはさておき、DVDソフトとしましては…

 ・画質、音質は良好ではないかと思います。
 去年だかに買った『Bewitched (2005)』『Doom (2005)』やらのソニーピクチャーズ製DVD
 の品質がイマイチだったんで期待をしていなかったんですが普通に綺麗と思えましたから。
 まぁ若干フォーカスが甘いっかちょっとボケ気味、シャープさにやや欠ける映像かとは思った
 んですがジャギってるよりはマシですし日本版DVDなら普通の品質ではないでしょうか?

  字幕は普通。流石に細かいアメリカ人向けのTVネタなんかをイチイチ翻訳しても解らない
 でしょうからかなり上手い匙加減でのバランスになっておりましたが所々奈津子ちっくっか
 下品なシモネタはチョイとスルー、特に子役の二人の台詞は結構マイルドなのになってるの
 はちょっと残念、でしたかな。吹替翻訳も同様。服買え声優陣は普通に上手い人達で安心
 出来ますが人物と合っているかは個人的にはイマイチ。上手いんだけど声優としての演技が
 上手過ぎるのでもちっと、面白みを殺ぐ感じはしなくもありませなんだがこれは吹替では仕方
 ない事、ですからねぇ…

  んで特典。

  US版に入っているNASCAR関連の「Daytona 500 Spot」「NASCAR Chase for the Nextel
  Cup Spot」「DVD-ROM link to NASCAR.com」が無いのはちょっと残念。確かにもぅ時期は
 過ぎてしまいましたが舞台であるNASCARの雰囲気やらを伝えるのは悪くない素材だと思う
 んですけどねぇ…

  で、残った特典を列記しますと、

 
「監督とお友達らによる音声解説」は真面目なのではなくネタですね、あれは。まぁダルな
 テンションで大袈裟に語ってみせるタイプですがオッサン連中のダルダルなネタ故に最後まで
 ちゃんと聴いてないんでオチは知りませんが。
 
「未公開シーン集」、これはどちらかと言えば没テイクですかな。大枠のストーリートシーンは
 あっても台詞はアドリブで色々やらせた中からの採用ってので同じシーンでも違うパターンが
 いくつも観られるというもので、役者によっては非常に嫌な映画制作の現場の雰囲気がよく
 解りますね。
 
「NGシーン集」は文字通り、俳優が噴出してしまうのをヴァーッとまとめてあります。
 
「アダム・マッケイの撮影日記」は1つ1つは短い撮影素材を繋げたもの。撮影の情況や現場
 や裏方さんの事等を監督がダラ〜っとか語ってくれます。
 
「ウィル・フェレル、再びタラデガへ」は多分DVD用に新規に撮影してくれたものでしょう。再訪
 して語るという形式ではありませんが、これはこれでアリなのやも。
 
「リッキーとキャルのCM」「ボーナス映像・レースシーン」「ギャグ集」「ウォーカーとテキサス・
 レンジャー」「インタビュー集」
は先の「未公開シーン集」同様、採用しなかったカット集ですな。
 
「オーディション風景」は本当にただのオーディション時素材のもので、子役二人、奥さん、
 チームメイト、リッキーのお母さん役の4人の演技が観られます。
 
「オリジナル劇場予告編集」はソニーピクチャーズでのウィル・フェレルの出演作4つのUS劇
 場版予告編が観られます。これは地味に嬉しかったですね…

  語るべきもの、やるべき事は全てやったという事か? それとも単にソニーピクチャーズの
 伝統なのか正直言ってDVD特典としてはそんなに面白い、興味深いものはありませなんだ。
 ぶっちゃけ定価も日本語吹替えがついているにせよ割高な印象もしますし、まぁ今購入って
 のじゃぁなくて廉価版待ちかレンタル視聴でいいんじゃぁないんでしょうかね? 


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