・『THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション (2006)』


 製作国: 日本
 製作年: 2005
 劇場公開日: 2006/01/14

 販売元: 東宝
 時間: 136 分

 音声仕様:日本語
 ・Dolby Digtal 5.1chサラウンド(本編)
 ・Dolby Digtal Stereo(音声解説)

 字幕: 英語/日本語

 画面サイズ: ビスタ 16:9 LB

 ・2枚組み


 ・DVD特典は下記参照

 ・公開に際しての宣伝量には
 「え〜 『踊る大捜査戦』シリーズみたいな出来なのかなぁ… 」
  っと心配したものですが、流石に三谷幸喜作品でありますから、あんなクズと比べた事自
 体を恥じたくなりましたな… いやぁ、素直に面白かったですよ。

  確かに脚本の出来という点では『ラヂオのじかん』の方がよく出来ているとは思いますし、
 物語の核・柱となる役者(とその見せ方)という点では『みんなのいえ』ってなるんでしょうけど
 ね… でも、三谷監督が… 舞台もTVも知っている彼があえて『映画』でやりたい事、っての
 を考えれば今回の作品が三谷監督作品の映画としての現時点でのベストなんではないんで
 しょうか?

  貧乏&説教臭くなく、ウェルメイドではなく、無理から笑わさせようともせずテンションの高さ
 で誤魔化すのでもなく… 三谷監督が昔のアメリカの喜劇が好きなのがとてもよく伝わって
 きますし、そういうのがお好きな方には非常に心地良い時間を得られる映画なんじゃないん
 でしょうか? 特に役者の配役と配分が非常に巧くて、実はストリーそのものよりも、そういう
 映画の作りに私、喜んでましたから。

  そりゃまぁ欲を言えばキリが無いもので
 「出来ればゲームの『街』のように、20人の主役が全てどこかで絡むエピソードがあれば…」
  って思ったのも事実ですよ。

  しかし、出来たであろうけれども、それをする事での無理やテンポが悪くなったであろう事を
 思えば、ね… って事で、私はこの作品、とても楽しかったですよ〜

 ・と、観た時の好印象があったのと、これまでスペシャル版を購入してきたんで今回も一応
 この版を購入したんですが…

 ・まず豪華な特装本のような厚い紙製のアウターケース、手触りも重みもありまして手に取る
 楽しさがあるかと。開いた部分が小窓になる仕様は面白い試みですが、それならば開ける
 小窓の数は23個にしておくべきだったのではないかな? って気はしますが。
  個人的にはこれまでの三谷作品『ラヂオの時間』『みんなのいえ』を旧版のジュエスケース
 仕様で持っているんで、今回トールケースサイズになってるのは収納の際に監督別に並べ
 られないのでちょっと嫌でしたな。

  あと、三谷氏からのメッセージしおり同封はいいんですが、ケースを開いた時に展開される
 スチルはロビーにして欲しかったかな… 『アメリ』や『ファイト・クラブ』といった似た仕様の
 ケースと比べると、ちょっと寂しい気がしました。

 ・
本編の画質、音質は良好かと。
 これまでの三谷監督作品のと比べれば綺麗な方ではないかと思いますが、他の美麗な作品
 と比べると「普通」かなぁ… っと。もともと色合いを調整して統一感を持たせているのはこの
 DVDでも綺麗に再現されていますし、無理にシャープにしてエッジ立ちまくられても困ります
 から総評としては良好、でいいんじゃぁないんでしょうか。

 ・んで、それぞれのディスクの特典、となりますと…

  ・MAIN DISC分DVD特典
   ・コメンタリー(三谷幸喜 VS. 高島彩)
   ・BONUS
    ・特報 (0:32)
    ・予告編 (1:56)
    ・マナー特報 (0:38)
    ・テレビCM集 (1:52)
    ・大晦日CM (2:04)


 「コメンタリー」は出来が悪いです。
 前作までの八木亜希子さんと比べると高島彩さん、話の受けや引き出しが出来ないだけで
 なく話の腰を折ってしまう事が何度もあり、三谷氏が凄く話し難そうで楽しめません。色々な
 事情があるからこの人選は仕方ない部分もあるとは思うのですが… これだけ出来の悪い
 コメンタリーはちょっと例が無いかと。

 「BONUS」は普通ですね。「マナー特報」と05年末のPRIDE男祭りで放送された「大晦日CM」
 が異色で面白かったですが、後は殆ど素材が一緒なんで…

  ・SPECAIL DISC
   ・メイキング (3)
    ・23人の主役たち (19:56)
    ・三谷幸喜、長回しへの飽くなき挑戦 (10:12)
    ・ホテルアバンティの世界ができるまで (12:18)

   ・イベント (8)
    ・完成披露記者会見 (7:01)
    ・インタビュー集 (役所浩司、松たか子、佐藤浩市、篠原涼子)
    ・完成披露舞台挨拶 (6:05)
    ・大晦日カウントダウン (2:46)
    ・成人の日 (7:12)
    ・初日舞台挨拶 (9:30)
    ・大ヒット御礼1月 (6:46)
    ・大ヒット御礼3月 (4:11)

   ・未公開シーン (19)
    ・未公開シーン (18)
    ・『私の苦悩』

   ・製作四十周年記念特別インタビュー (19:51)

   ・老け顔講座 (4:18)

   ・HOTEL AVANTI (3)
    ・ヒストリー(静止画1)
    ・ロケ地紹介 (19)
    ・ペーパークラフト(DVD-ROMコンテンツ)

   ・キャスト (23)

   ・ギャラリー (2)
    ・フォトギャラリー (57)
    ・映画評 (3)

   ・スタッフ
    ・オールスタッフ
    ・メインスタッフ プロフィール
    ・DVDスタッフリスト


 「メイキング」はどれももぅ少し、あと5分の尺が欲しかった。ロケ地やセットの材料の調達、
 ダブダブ、スケジューリング等の苦労やらがもう少し、観たかった。

 「イベント」は何故に製作発表記者会見をここに収録していないの? また「インタビュー集」
 がたった4人だけな上に役所浩司(1:52)、松たか子(1:52)、佐藤浩市(1:36)、篠原涼子(1:39)
 っと短いので面白味無し。せめて3分、あと香取慎吾氏、オダギリジョー氏、そして伊東四郎
 氏くらいは収録したって良かろうに…

 「未公開シーン」は通常再生と三谷幸喜監督による音声解説付きでの再生が選択できるの
 は良し。ただ「私の苦悩」は全くの蛇足。「赤い洗面器」でしたっけ? あと麒麟の怪談掴み
 とかと同じであえて見せないままでいた方が良かった… 想像してた通りとは言え、いざ実
 際の画像になると矢張り陳腐過ぎてかなり興醒めしてしまいましたな…

 「製作四十周年記念特別インタビュー」はネタとしてもイマイチ。こんな企画よりもちゃんとし
 たインタビュワーなりを据えてのモノにした方が良かった筈では。

 「老け顔講座」もねぇ… 特殊メイクの過程とかの紹介なんですが、確かに本編でも使われ
 た技術ではありますが、それならばメイキングにキチンとした形で収録しておいてくれた方
 が良かったのでは?

 「HOTEL AVANTI」はヤッツケっか数合わせ。「ヒストリー」はパンフレットにもあったものだけ
 ど、それなら歴史まで収録しておいて欲しかった。「ロケ地紹介」にしても場所の地名とホテル
 名前だけでなくそのロケしたホテルの外観やらデータ的にもっと収録しても良かった筈のモノ
 はあろうし、画面左上で再生される本編が汚いんじゃぁなぁ…

 「キャスト」もヤッツケっか数合わせ。ただの23人分のプロフィールだけの静止画コンテンツ
 では、その役者さんの人となりや役柄の設定等を三谷監督が音声解説をしてくれるという
 『みんなのいえ』と比べると見劣りします。せめてこのDVD版発売によせてのコメントくらい
 とっておいても良かったんじゃぁないんですか? っと愚痴も言いたくなります。

 「ギャラリー」も ヤッツケっか数合わせ。「フォトギャラリー」は撮影中とオフショットは別カテゴ
 リーにするべきではなかったのかと。「映画評」は初出が無いし多分、完全版でもないし…
 わざわざ収録する必然性が感じられません。

 「スタッフ」は… 微妙。「オールスタッフ」はEDにスタッフロールがあるのに何故ここに収録
 しなければならなかったのか。「メインスタッフ プロフィール」もただの静止画コンテンツです
 し、旧版だとここに隠しトラックがあって三谷氏からのメッセージがあったものですが今回は
 それも無し、では… まぁ最新データ収録に意義があるのやもしれませんがネットの時代に
 果たしてその為だけのコンテンツを収録するのはどうか? っとなると微妙かと。



  …っと、非常に残念な出来でありました。

 これならわざわざ2枚組みにしなくても収録出来たんじゃぁないの? ってくらいに短い、食い
 足りないコンテンツばかりでこの特典を観ての発見とかってのはほぼありません。特に劇場
 で観てパンフレットを購入した私からしますと非常に食い足りませなんだ。無駄に数と量が
 多いのも困りますし、某オヤジ向けブルセラ映画のようにワケわかんねぇ色々な版の乱発
 も願い下げですが、やはりわざわざ2枚組みでリリースする以上は特典ディスクにも凝って
 もらいたいんですよ… 勿論、海外作品の特典ディスクだってやっつけ仕様は珍しくはない
 んですがしかし、本作を購入しようと思う人に対して、こんな内容&収録時間では一体どれ
 だけのセールス・アピールになると言うのやら。ぶっちゃけ、確かに酷い出来ではありますが
 本編の音声解説以上のモノがこのSPECIAL DISCにあるのか? ったら、殆どありませんか
 らねぇ… って事で、私としましては購入なされるのならば、この版の値崩れ待ちよりもスタ
 ンダード・エディション版の方がスリムですし何せ安いのでオススメしますよ。この版との差額
 なんてケース代が殆ど、って言ってもいいんじゃぁないんでしょうかね。


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