・『下妻物語 スペシャル・エディション (2004)』


 製作国:日本
 販売元:東宝
 初公開年月: 2004/05/29
 発売日: 2004/11/26
 時間: 102 分

 音声仕様:日本語
 Dolby Digital 2.0 stereo、5.1 Surround、DTS

 画面サイズ: 16:9/LB ビスタ

 ディスク枚数: 2

 【特典】
  下記参照

 【封入特典】
  ・『下妻物語』フォトブック
  ・『下妻物語』撮影日誌完全版

 ・時は現代、所は埼玉県は下妻市。ロリータファッションをこよなく愛する自己中の桃子(深田
 恭子)と熱血ヤンキー(土屋アンナ)のイチゴの二人はひょんな事から出会って…
 って感じ
 でとストーリーを書きはじめてみたものの、どうもこの映画を伝えるのにピンときません。
 「綺麗な、カラフルな画面ですよ〜」
 「ギャグ満載のテンポがメチャいい映画ですよ〜」
  ってのも嘘じゃないんですが、それよりも… っと思う事がありまして…

 ・舞台にしろ映画にしろ、監督が意図し、やりたい事を監督の意図の通りにやってくれるスタ
 ッフと出演者がいれば成立するつくり【つくりごと】【うそっぱち】って言い方も出来ますが、
 そんじゃぁそんな【つくりごと】【うそっぱち】が何故に人を笑わせたり感動させたり心を動かし
 たり掴む事が出来るのか? と言えば、やはりそのいくらかには監督やスタッフや役者の中
 の何か… それが何かは人や場合や状況や作品によって違うんですけど… 【ほんもの】が
 あればこそ… ってのもあるんじゃぁないんですかね? って思っているんですよ、私。無論、
 てんで何もかも【つくりごと】【うそっぱち】だけ、ってのもあれば面白いとは思いますが、人が
 作り出す以上はそれだけってワケにはいかねぇんだよなぁ… っとな。
  尤も、その【ほんもの】が卑しかったりすると私はあきませんが… ってのは閑話休題。
  んで。

  この映画の監督さんはCM畑出身という事もありますが、企画の発端として獄本野ばら氏
 の原作を気に入って監督自ら脚本を仕上げたという経緯のこの映画、撮影に入る前にはもぅ
 かなりしっかりとしたビジョン、カットがあったと思うんです。それこそ物語と画面の為に、自分
 の書いた脚本通りの台詞を喋って、指示した通りの動きをする、自分のイメージに合った出
 演者ならば良かった筈で、実際に主役の桃子(深田恭子)とイチゴ(土屋アンナ)に対しては
 「役者としてどうこうではなくビジュアルや雰囲気で選んだ」
 「だから主役以外は樹木希林さんや阿部サダヲさんのように舞台や映画を一杯やっている
 ちゃんとした役者さん達で固めた」
  という事をDVD収録のインタビューで言ってた通り、あくまで『下妻物語』という【つくりごと】
 の為への割り切りがあった筈だと思うんですよ。しかし… 割り切りだけとはとてもそうは思え
 ない、主役二人への愛情が滲み出た素敵な作品になってるんですよ、この映画は。
  何気ないカットであっても、大事なカットでも、CGの特殊効果をふんだんに使った場面でも
 そうでない日常の場面でさえも。
  そうなったのは多分、深田恭子と土屋アンナそれぞれの【ほんもの】が桃子とイチゴを【ほん
 もの】にしたからではないのか。勿論、当人らそれぞれの【ほんもの】もあるんだけど、綿密な
 プランとドライな割り切りが出来上がってた現場なのに、お互いに
 「顔は知ってはいたけど一緒に仕事をした事が無かったからすごく不安だった」
  と初めて一緒に仕事を… しかも、最初から最後まで主役二人が出まくり喋りまくりの友情
 の物語、というのをする… って情況で、彼女ら二人が抱えた不安や戸惑いや寂しさや辛さ
 や悔しさや、喜びや楽しみや驚きが、桃子とイチゴという二人の【つくりもの】の役柄を越えて
 現実の深田恭子と土屋アンナという現実の二人にとっての【ほんもの】になったものがあった
 からではないのだろうか? そして、それが【ほんもの】で、素敵だったからこそ監督らも…
 って、なったんじゃぁないのか?

  …と、メイキングや音声解説を観て思うんですよね。
 多分、監督はそんな要素には殆ど期待していなかったと思うのはインタビューの言葉の端々
 にもよく出ていますが、よく出ているからこそ、そうではなかった事の現れではないのかと。

  それもまた多分、映画の偶然、奇跡だと思うんですよ。
 狙ったトコロで決してそうはならないし、同じスタッフ&出演者であっても二度と同じようには
 なれない偶然の結果だからこそ【ほんもの】で、【ほんもの】の美しさも切なさも、そして明るさ
 も楽しさにも満ちた素敵な作品になったんじゃぁないのかなぁ… って。

  実際んトコ、土屋アンナ女史は存在すら知らず、深田恭子嬢は『リング2』だかでのビックリ
 顔で死んでる女子高生役程度しか印象が無くて、女子二人が主人公のコメディなんて… と
 タカぁくくっていて、期待も特にしないで観た私ですらそう思ったんですよ。
  でも… でもですよ。
 それを言葉で説明しようとしても、それが【ほんもの】であるからこその軽さと重さも含めた空
 気や雰囲気をどうやってすりゃぁいいのか? ってなると結局
 「綺麗な、カラフルな画面ですよ〜」
 「ギャグ満載のテンポがメチャいい映画ですよ〜」
 「女の子が主人公だけど、男もグッと燃える部分のある映画ですよ〜」
  っとしか思い浮かばない己の凡庸さ加減と悪戦苦闘する事、このDVDを購入して数ヶ月も
 続けてきましたが、それで出来上がったのはここまでの文章なんでもぅ諦めます(苦笑)。

  未見の方は是非、観てください。
 好き・嫌いはあるかもしれませんし、社会的&政治的なメッセージはありませんが、そんな
 大きな話でも大きな事も無い作品ですが、そうではないからこそ伝えられる大切な事を、主演
 の二人がしっかりと伝えてくれる素敵な作品だと思いますよ。
 
 ・ってのは兎も角として、まずはDVD特典について。

 【DVD特典】
  ・Disc-1:
   ・音声解説 (2)
    ・監督&深田恭子&土屋アンナ
    ・スタッフ
   ・特報、予告、TVスポット集
   (特報(2)、予告(1)、TVスポット(5))
   ・キャスト・スタッフ紹介 (静止画(15))
   ・3つのチャプター(ストーリー・桃子のお洋服・ロケマップ)

  ・Disc-2:
   ・特典映像
    ・一角獣初恋ものがたり
    ・DVDオリジナルメイキング
    ・これって●●集? (未公開シーン&NGシーン等)
    ・完成披露会見
    ・渋谷ジャック

   ・キャスト&インタビュー
  深田恭子・土屋アンナ(クランクイン直後、クランクアップ)
  樹木希林、宮迫博之、篠原涼子、阿部サダヲ、岡田義徳、小池栄子、矢沢心、荒川良々

   ・スタッフインタビュー
    ・監督インタビュー
    ・スタジオ4℃インタビュー
    ・美術担当 桑島十和子インタビュー

   ・アートギャラリー (静止画(10))


  …って事になっていますが、ぶっちゃけ特典ディスクはあんまり中身ねぇっす。
 「一角獣初恋ものがたり」は阿部サダヲが主人公で彼らしく快演をしていますがビデオ撮り&
 脚本は多分無しのヌルイものですから余程の阿部マニア以外はあえて観るまでもないかと。
 「DVDオリジナルメイキング」「監督インタビュー」は面白く思えましたが、そこでの舞台裏の
 雰囲気や意図等は実にちゃんと映画に出ているんであえて観るべきか? っとなると微妙。
 かなり本編ディスクの音声解説で当人達が語ってるのもありますしね…
  そして「アートギャラリー」の貧弱さ(こんなんならイメージラフとか絵コンテくらい載せてくれ
 たって罰ぁ当たらんと思うんだが… )やインタビュー全体の質問の浅さと数の少なさと尺の
 短さにはかなりガッカリしましたもの。

  
画質と音質は良好でございますし、本編の音声解説で充分だと思うのでこのエディションで
 はなく本編ディスクのみのスタンダード版で充分だと思いますよ。紙製のカワイイパッケージ
 はいいんですけど、所詮はケース。浮いたお金で原作の文庫を購入した方が私は楽しいん
 じゃないかな? って思いますよ。

 

 
・『下妻物語』公式HP
 
 http://www.shimotsuma-movie.jp/

  まだwebにあるウチに、ここまで読んでもまだ観ようかどうしようか迷ってる人も既に観て
 気に入った人もチェックするべし。

 
・『Kamikaze Girls』(英語)
 http://www.kamikazegirls.net/

  アメリカ公開時に作成された海外版『下妻物語』公式HP。
 日本の風俗紹介、とかイベントでの外人さんのコスプレ写真とかも楽しいトコです。


○ EASTER EGGS − 『下妻物語 (2004)』

 特典ディスクのメニュー画面で「特典映像」を選択
後、特典映像メニュー画面で「→」を押すと右下隅のピンクの紙袋にカーソルが移動するので「ENTER」。

「桃子の忘れ物」という約2分のオマケムービーが再生されます。


日本版 映画 Index

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