・『トゥルーマン・ショー (1998)』


 原題:The Truman Show
 製作国:アメリカ
 製作年:1998
 字幕: 戸田奈津子 トダナツコ
 吹替翻訳:桜井裕子

 販売元:
 パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
 発売日: 2003/12/05
 時間: 103 分

 音声仕様:
 英語 Dolby Digital 5.1
 日本語 Dolby Digital 2.0 Surround
 字幕: 日本語
 画面サイズ: ビスタ

 ・映像特典
  ・オリジナル劇場特報、予告編

・この映画、IMDbでも「Comedy」にもカテゴライズされているし、実際私もComedyでもあるとは
思うけれど、どうも日本では

き‐げき【喜劇】
 1 こっけいみや風刺を交えて観客を笑わせながら、人生の種々相を描こうとする演劇。
 2 思わず笑いだすような、こっけいな出来事。
                                (Yahoo!辞書-大辞泉 調べ)


 のうちの「2」の方の印象が強いようで、この映画に対しても「笑えない」といった評があるのも
仕方無いのかな… とは思うが、そういう見方から離れて「メディアとそれを享受する視聴者へ
の批判」とか「自己存在確認の物語」「父と息子の寓話」とか多面的に考えれるこの映画をそん
な一面的にするのも勿体無いよなぁ… 私は物語の構造とかで安部公房の『箱男』を思い出し
たりもしましたが… ナドナド、特別出来がいい映画だとは思わないんですが私はこの映画好き
なんですよね。

 役者の人が皆巧く、安心して観てられるってのがいいんですよ。シーンに無駄が無いし、スコア
も使う場所も曲そのものも必要以上ではない分、私には実に落ち着いた気分で観れるって映画
はあまり無いんですよ。監督のピーター・ウィラーは『刑事ジョン・ブック・目撃者』『いまを生きる』
など私には苦手な人なんですが、この映画に関しては変に父権主義にも走らず説教やらが表に
出過ぎてない分、好きなんですよね…

・ってのはさておき。
 dvdソフトとしては
画質、音質共に良好な方だと思います。やや映像特典に物足りなさを感じる
のは私がこのソフトを¥4700(税別・定価)の時に買ったから(涙)で、今の価格だったらいいん
じゃぁないんでしょうかね? そりゃぁこういう売り方しやがったメーカーには恨み言はあるし忘れ
ませんが、US版では予告すら収録されてなさげな事を思えば… ってトコで。

・しかし
字幕は戸田奈津子なんであきません
宇宙モノや歴史モノなどと比べればまだマシな方ですが、この御仁の癖で変な接続詞や端折り
が多発しているのと、訳として不適切な箇所が多いので意味が解り辛かったり違う意味になって
いる部分が多いんですよね。

 例えばトゥルーマンのお約束の台詞、吹替えでは
「もし今日会えなかった時の為に… ”こんにちわ”と”こんばんわ”」
 を字幕では
「今日会えなかったら”こんにちわ”と”こんばんわ”」
 ってしてますが、こんな字幕じゃ意味不明です。
 また、クライマックスでクリストフがトゥルーマンに語っている時の台詞で
「You don't leave here」
 実に単純で、吹替えでも
「君はここを去る事は出来ない」ってなっていますし「離れる」って訳す
のもアリなんですが、戸田御大の訳は
「君はここから逃げだすことは出来まい」
 って… 意味違ってるでしょ。
あの場所が脱出不可能の監獄でこれから脱獄を挑もうとする脱獄のプロみたいな囚人に看守
が言うのならば兎も角、クリストフとしては生活環境としては理想郷と言ってもいい場所だったと
いう絶対の自信と奢りを現わす台詞なのに… 

 … って間違いやら意味不明やらがザクザクザクっと出るんで辛いですな。
長い台詞は殆ど無いし、舞台裏のシーン以外の、トゥルーマンのいる『世界』はTV番組って設定
故に使われる単語や言い回しは俗語やF-Wordが無い解り易いものが殆どなのに… 何故そう
なるのか解りませんな。戸田ババアの誤読を押し付けられているようで不愉快ですな。
 まぁその分、吹替え翻訳の方はシンプルで簡潔な訳になっているので、一度そちらを観てから
再度オリジナル音声で字幕を消して観た方がいいかもしれませんね。


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