ヒスイヒメハナカミキリ
Pidonia (pidonia) tsutsuii Kuboki,1996
体 長 6.0 〜 8.5mm
出現時期 5 〜 6月
タニウツギに飛来したヒスイヒメハナカミキリのオス
北安曇郡小谷村 2011.6.09(以下同じ)
長野県北部の小谷村、旧戸隠村、栄村など新潟県境のごく限られた地域に生息するヒメハナカミキリです。ナガバヒメハナカミキリに酷似し、DNA解析による遺伝的な差異もないようです。
小谷村の生息地のひとつに6月訪れました。深い沢に沿った山道を熊よけの鈴と撃退スプレーを腰に携えいざ出発です。周辺はブナやミズナラが生い茂る森ですが、目立った花はほとんどなく、急斜面に満開のミズキがところどころあるものの近づくことすらできません。
2Kmほど進むと谷側に花をつけたタニウツギが4,5本まとまって生えている場所があり、ここに的を絞って飛来を待つことにしました。
午前10時過ぎからシロトラカミキリやセスジヒメハナカミキリなど普通種の飛来が多くなり、本種と思われる個体もぽつぽつ飛来するようになりました。撮影後直ちに捕獲して腹部をルーペで確認します。
ナガバヒメハナとの識別点は、オスについては頭部と前胸の腹面中央部に黄褐色部が現れる(ナガバヒメハナのオスは一様に黒色)とのことですが、捕獲した3頭だけでも黄褐色部が大きくはっきりしたものから小さいものまであり、かなり個体変異があるようです。またメスは腹部側部の黄褐色部がより広いとのことですが、1頭のみの確認であまり自信が持てません。
帰宅後各地で撮ったナガバヒメハナの写真を改めて見たところ、前胸が相当角張って見えます。それに対し本種はあまり角張らず丸みがある印象です。
タニウツギでは、ひとつの花での吸蜜時間が数十分と長く、吸蜜後は反転した状態で休息に入るケースが何回か観察されました。
タニウツギの葉上を歩行するメスと思われる個体
吸蜜中(左)、反転して静止(右)するオス
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