2012.10.5 一生忘れられない魚!!
*** ヨメゴチ ***
 
    

 青く澄んだ海中から腹ビレと背ビレを広げてスーッと足元に寄って来た姿は、今でも目に焼き付いている。

 その魚とは全日本サーフの大物対象魚種の中でもマニアック&難易度の高さでは1、2を争うレア魚の「ヨメゴチ」である。

 私はそれまで写真でしか見たことがなかったが、2か月程前にクラブメンバーのS君がDランクを釣ったとのことで、運良く現物を見せてもらうことができた。

体長の半分近くを尾ビレが占めており、その尾ビレを開いてみると独特の模様がある。エラ近くにある角も瀬戸内で釣れるノドクサリと形状が違っており、「ほー!!これがヨメゴチけぇ。」と感動したものである。

 まさに狙ってもなかなか釣れないターゲットではあるが、行ってみないことには始まらないのでS君と高知を目指す。

 早朝に松山を出発し、夜も明けたAM6時前に現地に到着すると天気はまずまず。今回は「違うポイントも探ってみよや。」ということで私もS君も初めて入るポイントで、深場のノーマル&レア底物がターゲットである。

 日差し避け用に持参したビーチパラソルをセットし、傘の下に入ってタックルのセッティングに取り掛かる。

 ポイントは深場なのでうなぎ針13号2本針仕掛けのチモトにはケイムラソフトビーズと夜光ビーズを装着している。準備のできた竿の下針にアオムシ、上針にゴカイを付けて第1投。

 約80メートル沖に着水。道糸をサミングしながらカウントすると仕掛けは30カウントで海底に着底したので、約35メートル前後の水深である。

また、仕掛けをさびくとズズッとした感触なので砂泥底の模様。さびいたオモリがグーッと重くなったカケアガリをやや過ぎた所に仕掛けを止める。一方、S君が投入した中距離エリアはやや水深が物足らないとのこと。

 そこで2本の竿を遠投主体とし、中投、近投併せて4本の竿を出して糸フケを取りつつ竿先に集中する。潮は丁度満潮で足元にはアジやグレがたくさん見えている。

初めてのポイントだけにどこで何が食うか見当がつかないので、沖に見える地形を目印としてその左右、角度、距離を変えながら仕掛けを打ち返す。朝食と水分を補給しながら手返しを続けていると、アタリは無いが時々エサが取られているのでエサ取りはいるようだ。

 日差しが強くなってきたのでビーチパラソルの日陰に入って暑さを凌ぐが、風がほとんど無いので汗が止まらない。そして満潮から引きに入り潮目がくっきりと見えだしたので、「そろそろアタらないかんのやけどのー。」などと話していた時、並べた竿のどれかから「ジャー。」とSPパワーエアロ独特の音がする。

 「I丸さんのじゃ!!」とS君もドラグの音ですぐに分かったようだ。しばらく様子を見ていると竿先がモゾモゾしているのでアワセを入れてみる。何か乗った感触がしたが、リールを巻き始めるとすぐにゴリゴリッと障害物に掛かってしまう。ここで無理をせず、道糸を緩めて竿立てに置いて魚が出るのを待つ。しかし何度か繰り返してみたが結局ハリス切れ。

 残念ではあるが、魚の食いが活発化してきたと感じたのですばやく仕掛けを交換して手返しを続ける。すると、小さなアタリが出てランク切れのソコイトヨリが食ってくる。

 そしてその時がやってきた。時刻は満潮から3分程度引きに入ったAM9時20分。フル遠投をかけていたアタリも無かった竿をエサ交換のため一応カラアワセを入れる。と・・・微妙に重みを感じる。「ん、何か掛かったか?」と思いながらリールを巻き始めると「クイッ。」とした引きが手元に1回伝わってきた。

 さらにリールを巻き続けていると再度「クイッ。」と生体反応。「何かおるんは、おるのぉ。」と確信を持ちながら、慎重にリールを巻き続ける。感触としては30センチクラスのアナゴを掛けた感じである。

 そして、あと20メートル位のところで一旦グーッと重みが増した後、力糸が見えてきた。すると青く澄んだ海中に茶色の細長い魚が!!頭が三角だったので一瞬ウミヘビかと思ったが、よくよく見るとまさかまさかのヨメゴチ。

 おもわず「やった!尾長じゃ!尾長じゃ!タモタモー。」と叫んでしまう。海中で尾ビレが開いてユラユラと揺れているのが見える。それを見たS君も「おーっやっとるー!!。」と言いながらタモを取ってくれる。

 タモ入れは一発で決まったが、危ないことに護岸に上げるとヨメゴチは針からはずれていた。「ヨッシャ!ヨッシャ!」と言いながら自然とガッツポーズが出る。こんなに嬉しいのは全日本サーフに入会してから初めてかもしれない。

S君からも「やったですねー!おめでとやんした。」と祝福されながらがっちりと握手。興奮冷め遣らないなかで改めてその魚体を見てみると全てのヒレが開いており、一番頭に近いヒレには黒い紋様が見え、そこからは2本の糸状のヒレが伸びていて優雅なその姿にほれぼれする。

また、触ってみた感触ではネズミゴチほどの粘液も無い。ワクワクしながらメジャーをあてると39センチを超えており、魚拓ではDランクとなりそうなので嬉しいことこのうえない。

 ここで普段なら絞めて新聞紙に包んでクーラーに収納するのだが、尾ビレが乾いてサイズが縮むのを防ぐためと、釣った余韻に浸りたかったのでクーラーに海水を汲んで生かしておくこととする。そして釣れた近辺に竿を集め、クーラーの海水を時々汲み替えながらヨメゴチを何度も観察しながら手返しを続ける。

 が・・・、その後はあまり釣りに集中できず、めぼしい釣果もないままPM1時に納竿とした。そしてクーラーに海水を汲んだまま自宅に帰るとヨメゴチはまだ生きており、ハイテンションで「これが幻の魚よ!」と嫁さんに見せたもののいまいち感動が伝わらない様子。

なにか拍子抜けしたが、気を取り直して慎重に魚拓を採ると拓寸40.3センチのDランクで大物号数も1号UP。これこそ、私にとっては生涯忘れることのできない1匹となったのは間違ないのである。

 

  

タックル等
竿 シマノスピンパワー425AX-T
リール シマノPAスピンパワー
道糸 ナイロン4号
天秤30号
ハリス 5号
うなぎ13号2本針仕掛け
エサ アオムシ、ゴカイ