魔法先生ネギま!SS

おまじない(後編)

作者:山上 創助

--------------------------------------------------------------------------------

 翌朝。

 中国拳法の修業を終えたネギは既に寮へ戻っていた。

 キッチンで調理しているこのかのネギが挨拶をする。

ネギ「おはようございます、このかさん」

このか「おはようネギ君、朝ご飯もう少しで出来るでぇ」

ネギ「はい、このかさんの料理はいつも美味しいですから楽しみですよ」

このか「もう、ややなぁ、ネギ君。そないな事言われたら照れちゃうじゃない」

 ゴツンとどこから取り出したのか、

 このかはトンカチでネギの頭に突っ込みを入れた。

 ネギのかなり痛かったようだがあえて表情に出さずにご飯を待つ。

 すると新聞配達のバイトから戻ってきた明日菜がやって来た。

ネギ「ア、アスナさん。おはよ……」

 ネギの挨拶をムスッとした様子で無視して学校の準備をする明日菜。

 近寄ろうにも殺気のようなオーラが出ていてネギは近づくことが出来ない。

ネギ(あうぅ〜、やっぱり怒ってるよぉ〜)

 ネギは涙ぐんでしまうが、このかがご飯が出来たということで朝食となる。

 明日菜はいつも以上に手っ取り早くご飯を食べてどこへともなく去っていく。

ネギ「このかさん、やっぱりアスナさん怒ってますよぉ〜」

このか「ん〜、ウチから見れば照れてるだけに見えるけどなぁ」

ネギ「ううっ……とにかくアスナさんと早く仲直りしたいです」

このか「せやね、ネギ君、アスナのこと好きやしね」

ネギ「なっ、す、すすす、好きじゃないですよ!! 別にぃーーー!!」

このか「あんっ、ネギ君、顔が真っ赤やで」

 ムキになって否定するネギにこのかは楽しそうな表情を浮かべる。

 ネギにとってはかなり深刻であるが、

 このかと話をしていく内に気が紛れたようだ。

 そんなこんなで学園の方へと登校していくのであった。



 麻帆良学園のお昼休み。

 校庭の方でダッシュして追いかけっこする者がいた。

明日菜「ちょっとついて来ないでよ!!」

ネギ「待って下さい!! アスナさん!!

   お願いですから話を聞いてください!!」

明日菜「うっさいわね!!

    アンタみたいなエロガキの話なんて聞く気ないわよ!!」

ネギ「うわーーーん!! 誤解ですぅーーーー!!」

 明日菜の脚力は予想以上に素早くネギは追いつけない。

ネギ「あうっ!!」

 思わずネギが足をつまづかせて転んでしまう。

 明日菜は後ろ向かずにずっと前ばかり見ていたのでネギがこけた事を知らない。

 そのまま明日菜はどこへともなく走り去っていった。

ネギ「ううっ……」

 転んでうつ伏せのままのネギをまき絵が発見する。

まき絵「あれっ? ネギ君、大丈夫? 転んじゃったの?」

ネギ「あっ、まき絵さん」

まき絵「ほらっ、ネギ君。もう痛くないよ、だから泣かないで」

 優しくネギを起こして頭をクシャクシャと撫でるまき絵。

ネギ「うっ、うわーーーーーーん!!」

 ネギはまき絵の胸に飛び込むように泣き出してしまう。

まき絵「はいはい、もう痛くない痛くないですよぉ〜」
 
 まき絵は嬉しそうにネギの頭を包み込むようにナデナデしている。
 
 しばらくするとネギも落ち着いたのか恥かしそうにまき絵から離れる。

まき絵「泣いてるネギ君も可愛いね♪」

ネギ「はうっ……」

まき絵「もう痛いのは消えた?」

ネギ「あっ、はい……あ、ありがとうございます」

??「ふぅ〜ん、やっぱりエロガキね」

 ネギの背後から聞こえてくる怒ったような声。

 恐る恐るとした感じでネギが振り向く。

まき絵「あれっ? アスナ、どうしたの?」

 まき絵の言葉にお構いなしに明日菜がネギを睨みつけていた。

 ネギの背後にいたのは明日菜だったのだ。

明日菜「ふんっ、心配した私がバカだったわよ」

ネギ「ちょ、待って下さ……うわっ!!」

まき絵「きゃっ!!」

 激しく動揺していたネギは地面に捨てられているバナナの皮
で足を滑らせた。

 ネギの体は近くにいるまき絵の方にぶつかり倒れそうになる。

 反射的にまき絵が新体操に使う長いリボンを取り出し、

 引っかかりそうな場所目掛けて放った。

 だが、ネギがぶつかってることで手元が狂い、

 それでまき絵の腕に変にバタバタさせてしまいリボンの方向
も狂う。

 数秒後にはネギとまき絵がバタンと倒れ込んでいる。

 リボンは網のような感じでネギとまき絵を絡め取っていた。

ネギ「いたたた……あっ、まき絵さん、ごめんなさい!!」

 慌てて離れようとするネギだがリボンが絡まってて身動きが取れない。

 変にネギが動いたせいでまき絵の体が変に締め付けられて痛がってしまう。

まき絵「痛っ!! ネギ君、動かないで痛いから」

 そういわれてしまうとネギはジッとするしかなかった。

ネギ「ううっ、アスナさぁ〜ん、助けて下さ〜い!!」

 情けない声を出すネギに明日菜はさらに機嫌が悪そうになっている。

明日菜「知らないわよ。一生そうやってくっつき合っときなさいよ」

 明日菜は今度こそ知らないとばかりに二人に背中を向けて歩いていく。

 いつの間にか明日菜の肩にカモが乗っており声を掛けた。

カモ「姐さん、ヤキモチで……があっ!!」

 無言で明日菜がカモをお空に目掛けて殴り飛ばしていった。
 
 一方、リボンでがんじがらめとなったネギとまき絵は……。

まき絵「アスナ、行っちゃったね」

ネギ「そんな……あうっ……」

まき絵(んっ?……ハッ!?

    ネギ君の大変な部分が、私の太股に当たってる!?)

 悪戯心旺盛のまき絵はからかうように太股を震わせてみる。

ネギ「うっ!? んんっ……はふっ……んっ……」

 目を固く瞑って茹ダコのように赤くなり身悶えするネギ。

 そんなネギを見たまき絵は悪戯心にさらに火がついた。

まき絵(ネギ君、可愛い♪ もっといじめちゃおかな♪)
 
 小悪魔のようなまき絵にネギは潤んだ眼差しを助けを求めた。

 すると楓とクーフェイが二人の姿を発見する。

楓「どうしたでござるか?」

クーフェイ「ネギ坊主にまき絵アルよ」

ネギ「はうっ……楓さぁ〜ん、クーフェイさぁ〜ん。助けてぇ!!

   うっ……ちょっと動かないで……まき絵さん……むんっ……」

まき絵「えぇ〜。仕方ないよぉ〜、私だって苦しいもん♪」

 といいながら太股でネギの大事なところを悪戯するまき絵。

 ネギが赤面しながらイヤイヤと首を振っていた。

クーフェイ「おおっ、楽しそうでアルな!!」

楓「んーー、とりあえず、ほどくのが先決でござるよ」

 そう言って楓の手によってようやくリボン網から解放されるネギ。

 まき絵の悪戯によってかネギの顔は汗ダラダラである。

楓「10歳のネギ坊主においたは良くないでござるよ」

まき絵「だってぇ〜、ネギくんったら可愛いすぎるもん♪」

クーフェイ「にゃはは、今度は私も混ぜて欲しいアルよ」

ネギ「ううっ……僕、教師なのにぃ〜……」

 そんなこんなで明日菜の険悪ムード(?)はさらに増していくのであった。



 教室内でアスナは不機嫌そうに席に座っている。

 このかと刹那はそんなアスナをなだめるかのように声をかけた。

このか「なぁ、アスナ。そろそろ仲直りしてもええんちゃう?」

アスナ「フンッ、あんな馬鹿のことなんてもう知らないわよ」

刹那「でも、ネギ先生、とても寂しそうでしたよ」

このか「せめて話ぐらいでも聞いてええと思うけどな。

    ネギ君が理由もなしにアスナを怒らせるような事はしないと思うし」

刹那「そうですよ」

アスナ「二人ともあの馬鹿のこと肩もちすぎよ」

 その時チャイムが鳴って授業が開始されていく。

 このかも刹那も授業をする体勢に戻っていった。

アスナ「わかってるわよ……そんなこと……」

 ボソッと呟くアスナの声は誰の耳にも届かなかった。



 授業中、明日菜は考え事をしていた。

明日菜(おまじないを吹き込んだのはどうせエロガモでしょ。

    そんなことわかってるわよ……全くしょーもない事するんだから)

 明日菜はノートを取りながらため息をついた。

明日菜(どうかしてるわ……ガキ相手に何ムキになってるんだろ?

    たかが額にちょっとキスされただけじゃない。

    アイツはおまじないとしてやっただけだし、別に深い意味はないわよ。

    なのに……どうしてこんなにムキになるの?)

 自分で自分のことがわからなくなる。

 明日菜はまさにその状態にあった。

 明日菜にとってのネギは世話のかかる弟という認識が多かれ少なかれある。

 それでもネギは男の子であり、異性としてドキッとする瞬間もある。

 明日菜の好きな人は別にいるのにネギのことを気にしている事も多い。

 感情が複雑に絡み合い、どうしたらいいのかわからない明日菜。

 素直になろうにも自分の気持ちが整理できてないだけに無理があるのだ。

 そのためネギに対しても避けてしまい、変にムキになってしまっている。

明日菜(本当にしょーがないわね、あの馬鹿は……)

 ネギに責任転換する感じで明日菜は授業に集中していった。



 エヴァとの修業。

エヴァ「今日の修業はこれまでだ」

ネギ「はい!! ありがとうございました!!」

茶々丸「……ネギ先生」

ネギ「はい? 何ですか茶々丸さん?」

茶々丸「今日のネギ先生は以前よりも一点集中しています。

    まるで何かを忘れようとするかのような感じだったので」

ネギ「うっ……そ、それは……」

エヴァ「フッ、明日菜との仲違いでもしてるんだろ。

    お前と明日菜には辛酸を受けてるからな、いい気味だ」

チャチャゼロ「イイゾ、モットヤレ」

ネギ「ううっ……」

茶々丸「ネギ先生、元気出してください」

ネギ「あ、はい……」

 そう言ってエヴァの家を出た瞬間。

明日菜「……」

ネギ「えっ? アスナさん?」

 明日菜が無言で立っており、何も言わずにネギの右手を掴む。

ネギ「あわわっ」

 転ばないように明日菜と一緒に歩いていくネギ。

 寮に向かって進んでいく明日菜とネギ。

 何も言葉を交わさず、手を繋いだまま帰り道を進み続ける。

ネギ(アスカさん、お迎えに来てくれたのかな?

   でも何か声かけずらいよぉ〜)

 長い沈黙でネギは緊張しっぱなしの様子。

 そんなネギを知ってか知らずかおもむろに明日菜が重たい口を開く。

明日菜「アンタ、いつも無茶ばっかりするからね。

    夜道って何かと危ないし、仕方なく帰ってるだけだから誤解しないでよ」

ネギ「ご、ごめんなさい……」

明日菜「別に謝んなくていいわよ、私こそ大人気なかったし」

カモ「良かったッスね、アニキ」

 ネギの肩に乗ったカモに対して明日菜が無言で掴み取る。

カモ「ぎゃあ!! いきなり何するッスか、姐さん!!」

明日菜「アンタでしょ? ネギにしょーもない事吹き込んだのは?」

カモ「いやぁ〜、アニキのおまじないなら姐さんに効果あるかなぁっと……」

明日菜「このエロガモォーーーーーーーー!!」

カモ「ぎゃあああああああああああああああ!!」

 サッカーボールのようにカモが蹴っ飛ばされてお空の星となった。

 そんなやり取りにネギはひたすら「あわわ」状態になるばかりである。

 こうしてネギと明日菜は部屋へ戻っていく。

明日菜「ただいま」

ネギ「ただいまです」

このか「お帰り、アスナ、ネギ君。ちゃんと仲直りできて良かったね」

ネギ「はい♪」

明日菜「フンッ別に。ただコイツ危なかしいから世話してるだけよ」

このか「素直じゃないな、アスナ」

明日菜「私、明日も配達で忙しいからもう寝るわ」

ネギ「おやすみなさい、アスナさん」

明日菜「おやすみってまた潜り込まないでよ」

ネギ「はい、もう一人で寝れますから大丈夫です」

明日菜「ふぅ〜ん、夜中にシクシク泣いたりしてるのは誰かしら?」

ネギ「あうっ!! このかさんの前でそんなこと言わないで下さいよ!!」

このか「あらあら、ネギ君って寂しがり屋なんやね」

ネギ「そ、そんな事ないです、僕だってもう子どもじゃないですよ!!」

明日菜「10歳のアンタなんてガキよガキ」

ネギ「むぅ〜!!」

 頬をふくらませて拗ねた様子でネギは自分の部屋であるロフトに移動する。

このか「本当の姉弟みたいに見えるなぁ」

明日菜「このか、ちょっとやめてよ、あんなヤツが弟なんて」

このか「そう?」

明日菜「……もう寝るわ」

 肯定も否定もせず明日菜はシャワーを浴び、

 パジャマに着替えてベットに入った。

 電気を消して就寝タイムとなり、

 熟睡している明日菜のベットにネギが潜り込んでいたことは言うまでもない。
 

前編へ戻る


END


<あとがき>
 
 こんにちは、山上 創助です。

 ネギに対して一番身近にいる明日菜はから彼の行動は予想で
きると思う。
 頭でわかっても感情では納得できないというのもあるだろう

 明日菜の感情は思ってる以上に複雑な部分があるように思え
る。
 素直じゃないのも確かだけどネギという存在は明日菜を変化
させるかもね。
 そんなこんなで何とか自然(?)に仲直りしてめでたしめで
たしだ^^
  
 では、また。(^^/



感想は下のメールアドレスへどうぞ
yamakamisousuke@yahoo.co.jp
作成日:2004年12月12日(日)