2004年6月18日(金) ※白い巨塔のネタバレ注意※ |
『人間の証明』ドラマ化の決定が発表された今頃になって『白い巨塔』をビデオで観終えた旧式人間の春原である。 全然日記を更新していないので、親愛なる愛機のことえりにも名前を忘却され「貼るバラ」と変換を間違えられるのには些か寂しさを禁じ得ない次第だ。 実を言うと当方は、ドラマ化が発表された直後「どんな良作だろうとこれだけは絶対に観てやるものか」と(無意味に)憤っていた。 ドラマ化発表の一カ月ほど前、偶然にも「白い巨塔」の原作・全三巻を図書館で手に取り、読了していたためだ。 毎度己の恥を晒すようで恐縮だが、当方はアメリカ人並のハッピーエンド至上主義であり、良い人がいわれのない虐めに遭ったり最後まで救われずに終わるような物語が軒並み大嫌いである。 世界名作劇場で言うと「小公女セーラ」や「フランダースの犬」は当方内における不快な名作の決定版と言ってもよく、観ていても「そんなババアヒ素でも盛って返り討ちにしてやれ」だの「人形に弱音吐いて泣いてる暇があったら復讐手段の一つでも考えやがれ」だのという陰険極まりないことばかり考えて一人で勝手にブチ切れていたものだ(←幼い頃から最低人間だったと宣伝しているようなものですよ)。 ご存じの方も多いであろうが、『白い巨塔』は大学病院の助教授を務める天才外科医が汚い手を使って教授に成り上がって調子ぶっこいていたらウッカリ医療ミスで庶民に訴えられたので再び汚い手を使って裁判に勝とうと色々頑張る話だ(間違ってはいませんが端折り過ぎです)。 そして、この物語は主人公が原告側を返り討ちにし、医療裁判に勝利するところで終わる。 真実を明らかにするためにあえて原告側の味方についたライバル助教授は病院を追われて左遷。原告側は一家の大黒柱を通常の20倍でスピード死亡させられた上に裁判で多額の金を無駄払い、おまけに敗訴したものだから家業まで潰す羽目になってしまうのだ(まあ主人公にも同情すべき点はあるのだが)。 この後味の悪い結末を文庫本三巻読む労力と引き換えに掴まされた怒りといったらなく、電車内で最終巻を読了した当方は、9.11の惨事に直面したアメリカンヤンキーよろしく「ファッキン!」と叫んで文庫本を目の前の座席で居眠りこいていた若造の顔面に叩き付け噛んでいたガムを床に吐き捨てたようなことは紳士なので当然やらなかったが、思わず反動で戸梶圭太の小説ばかり読むようになってしまったほどだ。 しかし、最終話も近付いてきたある日、テレビガイドを流し読みしていると。なんと当方が知っている原作の結末の、さらに先の話をドラマとして放映しているではないか。 一審で原告側を叩きのめして勝ったはずの財前教授(主人公)が、第二審で負けた上にガンにかかって死ぬなどと書かれている。 実は旧文庫版の『白い巨塔』全三巻には『続・白い巨塔』という続編が二巻刊行されており、ドラマの内容はその続編にまたがって構築されていたのだ(※ちなみに最近「続」も含めて全五巻の新装文庫版が刊行された)。 当方が通っている図書館には『続・白い巨塔』が置いておらず、当方も当方でこの時は書店の平積みにさえ憎悪を覚える有様だったため、その事実に気付くことができなかったのである。 そんなわけで当方は、長いこと『白い巨塔』に続編が存在することを知らなかった。 そもそも原作者の山崎豊子だって、続編など書く気は真っ平なかったらしい。なかったのに、読者からの「この終わり方は何じゃゴラ」という反響があまりにも凄まじかったので続編を書く羽目になったのだという。当方と同じように正義が勝って終わらないと気が済まないアメリカ人のようなアホが結構いたのであろう。 かくして「その終わり方なら良いや」とスッカリ気を取り直した、アメリカ人のように単純な当方は(←アメリカ人の方に訴訟を起こされかねないのでその辺にしておいてください)、友人と連れ立って彼が主演のミュージカルへ出かけるほど唐沢寿明に傾倒しているリアル母が一話も漏らさずビデオ録画していた同作を手に取ることとなった。 確かに内容は面白かった。役者の演技にほとんど違和感がないし、演出も実に良い。というか毎回、ラストの引き方が小憎らしいほどに上手過ぎる。原作を知らない上でこれを毎週リアルタイムで観ていた方は、よくぞ一週間次回への待ち遠しさに耐えることができたものだ。 が、残念ながら最も印象に残っているのは柳原医師の煮え切らないムカつく態度であった。 なんか後半は彼が出るたびに「何やってんだヘナギこん畜生!! 死ね!!」と怒ってばかりいた記憶がある(←お前アメリカ人以下だろ)。 最後に、第十三話あたりを観ていた一週間前の当方に一言。
「へェーこの関口って弁護士カッコイイ役だな、役も良いけど俳優も目に力があって良い男だね。……あれ、どっかで見た顔だと思ったらこの人ケイン・コスギじゃん! いやー随分おいしい役を貰ったもんだね。無精髭も案外似合ってるし。やるなケイン。見直したよ」 それは上川隆也だ。
※1)人間の証明……森村誠一原作のミステリー。白い巨塔と同じく、かつて映画化され大ヒットした。
※2)『ゼノサーガep2』と『3年B組金八先生』……共に6月24日発売のPS2用ゲーム。当方は大体近所のゲーム屋で23日にフライングゲットする。 ※3)戸梶圭太……小説家。「溺れる魚」が有名。登場人物の8割が「激安人間」と称されるロクデナシの悪人であり、スプラッタ並の暴力とセックス描写、高確率でわけのわからんドッチラケな展開によりうやむやになる結末が特徴。 ※4)アメリカ人……誤解のないように申し上げておくが、当方は怪傑ゾロとX-MENを生んだ偉大なるアメリカが大好きである。アメリカ人そのものは異国人なので他と分け隔てなく苦手である。 ※5)柳原医師……主人公の財前に傾倒する一方、医師としての理想から離れていくことを感じて苦悩する医師。ドラマではとにかくアホで優柔不断な若造。後半は出てくると当方の勘に触ることしかしていなかったため、『ヘナギ』と蔑称で呼んでいた。 ※6)上川隆也……劇団出身/現役所属のベテラン俳優。『白い巨塔』では主人公に敵対する原告側の弁護士役を務めた。一般人の認識力でケイン・コスギに似ていると認められるのは色の黒さだけだと思われる。 なお、只今の当方は帰宅するとPCを見るのも嫌になるほど仕事が立て込んでいるため、掲示板やメールのお返事が天文学的に滞っている。『ゼノサーガep2』と『3年B組金八先生』の発売までには絶対確実にお返事できるよう努力するので、いましばらく御寛恕されたい。 |
2004年6月1日(火) |
今夏発売予定の『幻想水滸伝4』に備えて前作(3)を最初からやり直し、80時間かけてコンバートデータを完成させた直後、幻水4にはコンバート機能が付かないという情報を知って絶望に打ちのめされている春原である(←また更新サボってると思ったらそんなことに現を抜かしてたんですか)。 しかも遥か昔に自分が名付けた旧作の主人公や城の名前がオタ臭かったりパクリ放題だったりして気に入らなかったため、わざわざ1の最初からやり直し、 主人公の持つ紋章 主人公(一部除) 本拠地 1 ソウルイーター ソール ミガニシ城 2 輝く盾の紋章 テッタ シルド軍(スフェンディ城) 3 真なる火の紋章 カジ ボーボボ城 という完璧なるダジャレ名前で統一した超コンバートデータを作成した直後だ。よりによって。 特に3の炎の英雄の名前の由来が「梶」でも「舵」でもなく「火事」なのは一歩間違えばダジャレであることにすら気付いてもらえない、当方にとって十年に一度あるかないかのネーミングセンスの発露であり、城の名前が鼻毛真拳伝承者っぽいという事実を一瞬にして払拭するほどに見事な命名であると自分で思っているあたりがイタイ事この上ないのであるが、まあそんなわけでこれが嘆かずにいられようか(←社会人のくせにどうしてそんなに暇なんだよ)。 しかも今は『ナルティメットヒーロー(やっぱり買ったのか)』に夜も休日もぶっ通しでハマっており、データコンプリートのために既に40時間を費やしているていたらくで、要するに相変わらず進歩がない。 このゲーム、敵から攻撃を受けると恐慌状態に陥り滅多矢鱈にボタンを連打する癖を持つ当方(格ゲー初心者)でもなまじ勝ち進めてしまう操作性と難易度であるものだから、つい限度を知らずに攻略を進めてしまう。 これが昨今の格闘ゲームにありがちな、必殺技を出すのに『気力ゲージがMAXの時に十字キーを左へ一回転右へ半回転させ素早く下へ戻し△・□・×と入力した後L1ボタンとL2ボタンを交互に連打しながら○を押す』というような複雑な操作を必要とする激難ゲームであったなら、当方は三日で挫折して放り出していたに違いないのだが(←そんな昨今の格闘ゲームは貴方の脳内にしか存在しません)。 関連ゲームまで購入していることからも分かる通り、当方のロック・リー熱はここに来て加速する一方で、最近は増川洋一の切羽詰まった声にさえどうしようもなく萌えてしまう程の末期症状である。 しかも2名のリアル友人から 「よりによってNARUTOの、しかもリーにハマるとは(どういう感性してやがるんだこのバーカバーカ)」 「しかし考えてみると(もはや魂のレベルで色物嗜好が刻み込まれているこの変態なら)確かにリーにハマったことも頷ける」 という温かい励ましの言葉を貰ったことにより、一層萌えに歯止めがかからなくなっているから始末に負えない。 リーたんのガイ先生に対する依存度の高さにもう死にそうだ。嬉しい時にも悲しい時にも技を出す時にも敵にやられて死にそうな時にも恩師の名を呼びまくり挙げ句の果てに必殺技まで手伝ってもらう依存ぶり(※ゲーム内)。なんだこの13歳。ガイ先生の名前を呼ばなきゃ布団の上げ下ろしもできないのか。そんなことで社会に羽ばたいていけると思っているのか。そう何度も見ていて下さいと連呼したところで先生にだって先生の人生があるんだから四六時中お前のことばっかり見ちゃいられねえよ畜生め(←興奮するのはいいですがもう少し意味の通じることを書いてください)。 しかし、こんなどうしようもないサボリ管理人の当方に、ここへ来て新顔のお客様が次々と嬉しい感想を下さったり、当方から見ると神話の領域にお住まいとしか思えない絵師であるT様がもんのすごい色男のロビンイラストを2枚も下さったりと次々身に覚えのない大幸運がもたらされることを考えると、つくづく神は死んだとこの世の無情に溜め息を付いてしまう次第である。 これ頂き物として飾っちゃっても宜しいんでしょうかT様。っていうか当方ここのところ皆様から頂いたイラストすらサイトに飾らず個人で眺めてフフとか笑ってる罰当たりなんですが(死ね)。 すみません。働きます。(←その決心が何秒続くかが見物ですね) 蛇足であるが、新作たる幻想水滸伝4の主人公と本拠地の名前は、勿論主人公の所持紋章が発表された1年前から当方の心の中で確定している。 どんな名前だか当てることが出来た貴方にもれなく当方から粗品プレゼント、としたいところであるが、正解者多数で自分の首を絞めることが目に見えているため企画倒れとする(妥当)。 あの紋章じゃあなあ。全国に同じ名前付ける奴3万人は居るぜ。なあ。
※1)コンバート……前作や同シリーズのセーブデータを読み込み、その一部のデータを引き継ぐことができる機能。幻想水滸伝シリーズでは旧作の主人公や本拠地の名前などを読み込むことができる。
※2)80時間……どうしてこんなに時間が掛かったのかというと、『ゲーム序盤でキャラを通常の何倍も簡単にレベル99に出来る裏技』を試すのに30時間以上費したため(本末転倒)。 ※3)紋章……身体に宿すと種類によって様々な魔法の力を持つことができる不思議な力。幻想水滸伝シリーズのキーワードといっても過言ではなく、代々の主人公はこれの特に凄い奴を作中で所持する羽目になる。 ※4)ナルティメットヒーロー……少年漫画『NARUTO』を原作とするPS2の対戦格闘ゲーム。 ※5)増川洋一……アニメでロック・リーの声を演ずる声優。常にいっぱいいっぱいの状態で演技をしているように聴こえるのは、多分当方の耳がどうかしている為である。 ※6)あの紋章……最新作で主人公が所持する紋章は「罰の紋章」である。ああ、それ以上言わなくていい。正解が分かっていても口をつぐむのが良識ある大人というものだ。 |
2004年5月13日(木) |
↑『ボクとお付き合いしましょう!! 死ぬまでアナタを守りますから!!』時の顔 彼の名はロック・リー(13)。 一言で表すなら 色物 努力家。 忍術が全く使えないにもかかわらず、立派な忍者になることを夢見て日々努力を重ね、エリートたちにひけをとらない力を身に付けた愛らしくも健気な少年だ。 作中で年端も行かない少年少女がこんな目に遭うくらいなら死んだ方がマシだと言わんばかりの闘いを繰り広げたり物理法則を完全に無視したスポーツの試合を行っていたりする少年漫画雑誌、週刊少年ジャンプで連載中の忍者風格闘漫画『NARUTO』に登場する人物である。 ↑『まったく! 青春してるなー! お前らーっ!!!』時の顔 そして彼の名はマイト・ガイ(26)。 一言で表すなら 色物 熱血漢。 情に厚く涙もろい、永遠の青春時代を生きる気さくな男にして、その実体は見かけに似合わぬ手練の忍である。先に紹介したロック・リーとは親子ではなく師弟であるため注意されたい。 ハマった。 それは先月末、とある休日のこと。 ここのところ、親愛なる友人Iが『PAPUWA』という漫画に御執心の様子であるため、非常に暇であった当方は(←そんな暇があるなら少しはサイトの更新をしてください)件の漫画がいかほどの面白さであるのかを確かめたくなり、地元の漫画喫茶へと足を運んだ。 半年前にはカラオケボックスでもないのに「30分お願いします」などと店に入った直後に利用時間を申告したり、指定席制なのに気付かず適当な席へ腰掛けて店員を引かせていた漫喫初心者の当方だが、今更そんなミスなど犯すはずもない。余裕の表情を装って店内を物色する。 が、仮にもT都とはいえ極東の僻地に存在する当方の地元で細々と経営されている漫画喫茶の蔵書ラインナップなど多寡が知れたもの。生憎その店に、目当ての『PAPUWA』は置かれていなかった。 仕方がないので代わりに手に取ってみたのが、有明夏冬の祭典で名前だけは知っていた『NARUTO』だった。 ふと気付くと現在の我が家には、この師弟が出ばっている巻の単行本十冊とアニメDVD三本と『すごいよ!マサルさん』が連載終了して以来手に取ることすらなかった週刊少年ジャンプ数号が山になって積み重なっている。 いい歳こいた立派なキャラ萌えオタがここに完成した。 もうね、今年のゴールデンウイークの2/3はガイ先生とリーたんのことばっかり考えてましたよ。 時折隣の若夫婦が大ゲンカした際に窓から飛び込んで来るオプティックブラストとフェニックスフォースに戦慄しつつ、給仕の気弱なあんちゃんと癇に触ることばかり言うシーラカンス仮面の客をマスターと一緒にからかうことを楽しみにシーホークでパート仕事に励み、すごい濃い老け顔の夫と正義マニアの長兄と努力フェチの次男の四人で全員違う辛さのカレーを囲めるのなら一生マトリックスで暮らしても良いかしらとか本気で思ってましたよ(←目を覚ましてください)。 そんなわけで、実に一年振りの重い腰を上げ、勢い余って描きはじめたトップ絵に半月を消費(一日平均三時間)。 その場でサッサッと萌えを形に出来てしまう人が本当にうらやましい今日この頃である。
※1)PAPUWA……月刊少年ガンガン誌上で柴田亜美が連載中のギャグ漫画で、かつて同誌で大人気を博した「南国少年パプワ君」の続編。
※2)忍者風格闘漫画……忍者っぽい扮装をした奇人変人が、隠密行動など知ったことかと言わんばかりに白昼堂々とドンパチ格闘戦を繰り広げている展開の漫画。 ※3)有明夏冬の祭典で名前だけは知っていた……あの分厚いカタログのせいで、漫画を読む前の当方には「主な登場人物はナルト・イルカ・カカシの3名であり、イルカとカカシは非常に仲が良い」という微妙に間違った知識がインプットされていた。 ※4)時折隣の若夫婦が(略)……ここに挙げた人物全員の名前が解るようなら、貴方はもはや当サイトの日記有段者である。 |
2004年4月13日(火) |
先週日曜のサガオンリーコミケでお世話になりました方々に深く感謝を申し上げます。 例によって大幅に遅れてのコメントで申し訳ない。ホント有り難うございました。すみません色々と。 当日は前日に比べて8度近く気温が低く、前後両日が晴れだと言うのに一日中小雨の降り止まなかった悪天候のエアポケットのような日であった。 家を出るなり小雨がぱらついていたにも関わらず「チキショウこの程度の霧雨ごときに何を恐れることがあるものか、河村隆一なら最高の舞台効果だと言わんばかりに反重力バリアを展開しトランス状態で六曲ぶっ通しの大絶唱をしてのけるに違いないわ(←河村隆一にも出来ることと出来ないことがあるんですよ)」と無謀なことを考えて傘を持たずに外出し、ついでに即売会場内外でお付き合い頂いた方々相手に熱に浮かされたようなことばかり口走っていたら先週末本当に風邪を引いた当方である。 少々寝込んだだけでさほどひどい風邪でなかったのが幸いだが、おかげさまで例のイラク邦人人質事件も、微熱と偏頭痛にうめきながら耳にした次第だ。 まだ人質解放がされていないのが色々と気掛かりであるものの、とりあえずテロリストの要求が「眼鏡の似合う教師と警官と消防署員と自衛官(いずれも制服姿)と覆面の怪傑と奇抜な髪型の元勇者と目からビームが出るミュータントと水谷豊と渡辺謙と松本幸四郎を三日以内に連れてくること」でなかったのは幸いである。真っ先に当方が疑われることが明白だからだ(←そういう要求はホストクラブでしてください)。 人質事件と言えば、本日わが社に奇妙な電話が入ってきた。
当方「はい、【※当社名】です」 相手「もしもし、名刺の印刷にいくらぐらい掛かるか教えて欲しいんですけど」 しばしば書いているように当方の勤務する会社はチンケな広告製作事務所であり、個人のチラシや名刺のデザイン、印刷等も請け負っている。そして、ごく稀なことだが、このようにどこからか当社の連絡先を入手して仕事依頼をくださる方々もおられる。 したがって、名前も言わずに用件を突き付けてくる横柄な態度に違和感はあれど、このような内容の電話が当社にかかって来ること自体は不自然ではない。 だがこの際、間の悪いことに経理担当者は外出中だった。 見積のミの字も知らない当方がウッカリ「7ペソぐらいじゃないですかね」などと適当なことを答えたら会社に大打撃を与える恐れがあるため、当方は持てる応対能力を全開にし、やんわりと「また掛けて来い」という旨を相手に伝達しようとした。
当方「申し訳ありません、ただいま担当の者が外出しておりますので、生憎当方では解りかねます。 恐れ入りますがお名前を頂けますでしょうか」 その時のことであった。 相手「なんで名前を言わなきゃいけないんですか?」 なんと、当方の超ウロで曖昧な応対が癇に障りでもしたのか、電話の相手は凄まじく高圧的な口調で逆ギレを仕掛けてきたのだ。 これが自宅にかかってきた電話であれば「電話を掛けてきて名乗らずに許されるのはオレオレ詐欺だけだ! 貴様それでも帝国軍人か!!」などと出鱈目なことを言って電話を叩き切ってやるところであるが、残念ながら得意先(候補)であるからそうはいかない。 思わぬ不意打ちに動揺し、クソウこんなことなら河村隆一に弟子入りして反重力バリアの展開方法を教えてもらっておけば良かったと考えながらも(※無理です)当方は答えた。
当方「た、担当の者にお電話がありましたことをお伝えしなければいけませんので」 相手「…………」 当方「……あの、ちなみに念のためお聞きしますが、どちらにお掛けでしょうか」 相手「【※当社名】さんでしょ(ウワーこの口調で間違い電話じゃなかったよ)、 おたく名刺の印刷やってるんですよね。だから掛けてるんだけど」 当方「は、ハイ……しかし担当の者が出ておりますので、また改めて御連絡頂けますと(徐々に小声)」 相手「あっそ。じゃあいいです」 プツッ (当方の堪忍袋の緒と電話が同時に切れた音) どうやら仕事の依頼ではなく、片っ端から電話をかけて回り、名刺印刷額の相場を割り出そうという魂胆の人物であったようだ。 声から推察するに30代〜40代の女性。おそらく電話終了後「何なのかしらあの社員の対応。ホンットチンケな零細企業は教育が全然なってなくて最低だわ。名刺印刷の基本料金ぐらい末端のアルバイトにまで暗記させておくのが常識でしょうが」等と散々こぼしていることだろう。まあ当方も負け犬の遠吠えよろしく、紳士にあるまじき直接的な単語を交えて電話の相手を散々罵ってしまったのでお互い様なのであるが。 このように、世の中にはとても幸せな方々が存在している。 あまり難しいことを書くと当方も途中で何を書いているか綺麗サッパリ忘れる危険があるため適当に書くが、要するに自分はものすごい常識人だと思っており、そんな自分が頑張っているものごとは常に正しく、それに協力したり賛同したりできないものはアホか冷酷非情な悪魔かの二者以外にあり得ないので叩き潰しちゃった方が世界のためになるしそんな連中に何かしてもらったところで罪悪感を抱くどころか感謝の念すら持つ必要すらないと本気で考えているステキな方々のことだ。 したがって彼女も、別に当方に対して恨みや悪意があったわけではなく、零細企業で電話取りをしている下男に等しい若造などに敬意を払う必要などないと冷静に判断した上でああした応対をしたのであろう。そう考えると不思議に腹立ちも収まってくるものである。 そこで冒頭話したイラク人質事件に話が戻るわけだが、あの人質の家ぞ すいません。まちがいました。やっぱりいいです。(小心者) 受験に出る新聞読んでる人とか横断幕持った人とかプラカード掲げた人とか蝋燭点した人とかノーコイズミとかにいろいろ怒られるのは面倒なので御免です。
※1)河村隆一……元ロックバンドLUNA SEAのボーカリスト。反重力バリアが展開できないことだけは確か。
※2)「眼鏡の似合う(略)……『眼鏡+制服のナイスガイ数名と怪傑ロビンとアバン先生とサイクロップスと日本の三大インテリジェンスオジン俳優を三日以内に連れて来い』の意。というか無理。 ※3)電話取り……当社では、電話着信の時点で自分が一番ヒマだと自覚している者が電話に出ることが暗黙のルールとなっている。要するに今日の当方は結構ヒマであった。 |
2004年4月1日(木) |
今年度こそ真面目に更新します。(←4月1日だからってどんな嘘を吐いても許される訳じゃないんですよ) それはさておき、先日記した新入社員のT嬢が、いよいよ当方の勤務する職場へやってきた。 折しも日付は4月1日、世の正直な善男善女が唯一嘘を吐くことを許される4月バカの日である。この絶好の機会を逃がす訳には行くまいと、当社の社員は数日前から新入社員T嬢に仕掛ける罠を勤務時間中に堂々と相談し合っていた。 「黒板消しを仕掛けておく」といった古典的な悪戯を皮切りとして、 「社員全員が和服で出迎え『これが我が社の制服だ』と言い張る」 「ドアの前に『移転しました』『差し押さえ』等の紙を貼り付けておく」 「入口の表札を『ヴァジラヤーナ心霊科学研究所』と書いたものにすり替えておく」 等、社会人の発案とは到底思われないアホな嫌がらせまで様々な意見が活発に交換されたが、残念ながらひとつも実行されずに終わった。誰とは言わないが主な悪戯の発案者が紙っペラ一枚で済む小道具すら作るのを面倒くさがったからである(←誰とは言わなくても誰かはバレバレです)。 とりあえず今のところ「すみません、入社希望したの嘘です」という衝撃のオチは無いようなので一安心だ。誰とは言わないがアホな事ばかり口にして周囲を引かせているサボリが趣味の社員に愛想を尽かして逃げるようなことがないよう、末永く頑張っていただきたいと思う。 と、ここまで書き終えてその晩アップしようとしたらウッカリ新入社員歓迎の宴で飲み過ぎて息も絶え絶えに帰宅する羽目になったため、実はとっくの昔に嘘を吐いちゃいけない日になってしまっている(4/2)のだが、そもそも当方の人生は嘘とインチキが日常茶飯事であるためまあ良しとする(←全く良くありません)。 しかし今日は二日酔いは酷いし腕時計のバンドは壊れるし細木数子に頭の変な人の手相だと宣告を喰らうしで、全くもって散々な一日であった。 間違いなく前日に吐いた嘘に対する天罰であろう。おそろしいことである。
※1)頭の変な人の手相……掌の「て」部分の横線が短く、二つの線の根元が繋がっていない手相の持ち主は頭が変わった人であり、頭が変わっているためろくな人生を送れない、と先程テレビで細木数子(占術師)が言っていた。余計なお世話である。
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