鬱日記
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2003年2月4日(火)

 夜道を歩いていると、中学生とおぼしき男子が2名、向かいから自転車に乗ってやってきた。
 ここは彼らに紳士としての度量を見せつけるべきだと考えた当方は「少年たち、近頃は物騒だ。野党や追いはぎにくれぐれも気を付けたまえ。」と声をかけて変質者扱いされたというようなことは勿論なかったのであるが、すれ違った一瞬、大きな声で談笑していた彼らの会話を一瞬だけ耳にする機会を得た。

 少年1「あそこ難し過ぎ。クリアできねえだろ」
 少年2「もう主人公替えろよ。っていうかつまんねえよアレ

 アンサガだ、と即座に思ってしまった当方を、神よどうか許したまえ。
 先月半ばから3周目(ヴェント編)を中断したままの放置状態。こんなことでは全主人公でのクリアなど夢のまた夢である。



2003年1月31日(金)

 今日も今日とて一杯ひっかけて日記を綴っている勤勉な当方だ(←勤勉さのカケラも感じられませんが)。

 本日のお供は、昨日700mlの大瓶を勇者買いしてしまったためにたんまり残っているグリーンミントリキュールを、ジンジャーエールと半々で割ったカクテル、その名もズバリ『少年ジェット』

 ミントの鮮やかな香りと色が不思議なノスタルジィをかもし出す、大変爽やかで飲みやすいカクテルだ。「シンナーで溶いたクールミントガムの味」などと不粋なことを吹聴している者もいるようだが、まったくもって遺憾なことである。やはり紳士の嗜好は、一般庶民には容易に理解しがたいものがあるのだろう。


 さて、おそらくミントリキュールの『Get』という銘柄から命名されたのであろうこのカクテル、当然ながら当方のオリジナルではない。リアル友人Mがひいきにしている、とある居酒屋へ飲みに出かけた際、一日限りの日替わりメニューとして出されていたのである。

 このようないかにもウケ狙いといった風情のカクテルがメニューに入っているとあらば、万難を排してでも注文するのが紳士のつとめであるから(←紳士というより珍奇ですよそれは)、当方は颯爽と給仕を呼び、不敵な笑みを浮かべながら「少年ジェットをひとつ頂こう」と注文を口にした(※一部脚色)。それが出会いであった。

 以来、少年ジェットは当方のフェイバリットカクテルの座に燦然と輝き続けている。
 ……ああ、今「うわあ、コイツ頭の中身だけじゃなくて好みもおかしいんだ」と思った者。
 そんなことは当サイトの常識である。今更何を言っているのか。


 ちなみに、この際当方が頼んだ少年ジェットを味見した友人らは「……ああ、……ウン、なんか、懐かしい味だネ」と言葉少なに語ったきり口を閉ざしてしまったのであるが、おそらくあまりの美味に言葉を失っていたのだと思われる。
 後で判明した話によると、かつてはこの店のメニューのひとつとして 惨然と 燦然と名を連ねていた少年ジェット、「ひらたくいえばミント酒」という実情に恐れをなして誰も頼まないという絶大な人気を誇ったために二軍落ちしてしまったのだという。

 残念な話ではあるが、「メニューにないカクテルも承ります」という社交辞令の但し書きをフル活用し、毎度のように

  当方「少年ジェットをお願いします」
  若い店員「……は? 少年ジェット、ですか?」
  当方「ミントリキュールのジンジャーエール割りなのですが」
  若い店員「……あ、は、はい。いま聞いて参りますので少々お待ち下さい」

 というような店員イビリを繰り返している当方には、メニュー落ちなど痛くも痒くもない。


 よりにもよって御歳暮にGetの大瓶を押し付けられ、重石に使おうかネコ除けにしようかとお悩みの皆様は、是非一度試していただきたい次第である。

 ……ところで、カゴから出して遊ばせているセキセイインコ(8)が、先ほどから隙を狙ってはやってきてチビチビと盗み飲みをしている。大丈夫なのだろうか(←そう思うのなら早く止めなさいよ)。



2003年1月30日(木)

 今週の頭に「イカン、ここのところサイトの更新率があまりにも低い。そろそろ心を入れ替えて、開設当初の管理人魂を取り戻さなければ」と一念発起したはいいが、その直後に古本屋で『花と太陽と雨と』を2200円で購入してしまったためにこのていたらくである。
 しかも週末は、先週金曜日にリアル友人から一年半振りに戻ってきた『街』を最初からぶっ通しでプレイしていた。


 いかん。このままでは当サイトは事実上更新停止状態に陥ってしまう。
 そう危機感を抱いた当方は、心の巨匠・岡田あーみん氏にあやかり、己の執筆魂に火をつけるため酒の力を借りることにした(←いよいよクズ人間ぶりが板についてきましたね)。

 しかし「景気付けにビールを一本」などという安直なセレクトでは面白みに欠ける。折角自宅で飲む酒なのだから、ここは余所の店ではなかなか口にすることができない、オリジナリティ溢れる選択をしたい(←その独創性をどうして仕事に生かさないんですか)。


 そこで当方が真っ先に連想したのが、水谷豊主演の刑事ドラマ「相棒」の作中に登場したオリジナルカクテル『ベストパートナー』である。
 蟹江敬三扮するバーテンダーが、英国人の男性と日本人の女性の仲を取り持つために考案した設定となっており、英国を象徴するロンドンドライジン・日本を象徴する梅干し・そこにグリーンミントリキュールを加えて軽くシェイクした、緑色も鮮やかな美しいカクテルだ。蛇足であるが、現在のトップページイラストで男三人が寄り集まって作ろうとしているのもこの酒である。
 いつか飲んでみたいと思っていたので、これを機に、見よう見真似で実際に作ってみることにした。


 まずは材料調達ということで、早速ジンの小瓶(ビーフィータ・50ml)とグリーンミントの大瓶(Get・700ml)を購入し、意気揚々と帰宅する当方。やれやれ、ミントリキュールなど余程マニアックな店でないと置いていないため、探すのにも一苦労だ。

 ……なに? 梅干しは買わないのかって?
 たわけ者。梅干しぐらい冷蔵庫のどこかしらに入っているに決まっておろう。無かったらチューブ状のねり梅ででも代用すればいいのだ(←どうしてそう大雑把なんですか)。

 案の定、家の冷蔵庫を覗いてみると、うまいことに梅干しを発見することができた。
 だが毒々しいほどに赤い。おそらくシソか何かと一緒に漬けたものなのであろうが、作中で蟹江が使っていた梅干しは、もっと色合いの自然な、見るからに着色料ゼロといった趣の代物であった。大丈夫なのだろうか。

 不安に苛まれながらもグラスを取り出し、まずジンを30mlほど、続いてミントをジンの半分程度に混入。さらに、手でほぐした梅干しを混入してみる。皮の厚い梅干しを選んでしまったのがいけないのか、真っ赤な梅干しの皮が引きちぎれた風船の切れっぱしのようにグラスの底へ沈澱するさまは結構なグロテスクっぷりである。
 この時点で完全に後悔しはじめた当方であるが、もはや後には引けるはずもない。シェイカーなんてハイカラなものは当然持ち合わせていないため、とりあえず氷を適当にブッ込んでひたすらマドラーでかき混ぜる


 うわあ。綺麗なドドメ色。(棒読み)


 なんというか我が家の手前に流れている川の水をそのまますくってきたような色である。これでは「ベストパートナー」というより「世間体のため仕方なくパートナー」だ。いくら温厚な豊といえども、これを飲めと言われたら激昂必至であろう。


 ……まあ、もったいないので飲んだが。
 我に続く勇士たちよ、梅干しは着色料不使用のものを使うことが必須である(←それは基本中の基本だと思います)。


 味そのものは塩味が利いていて悪くない。ただしほとんど酒なので、少々強め。
 梅干しはケチらず入れると吉である。


※1)岡田あーみん……当方の幼少期の人格形成に多大なる影響を及ぼしたギャグ漫画家。現在は惜しくも引退。代表作は「お父さんは心配症」。
※2)花と太陽と雨と……グラスホッパー・マニュファクチュア製作のPS2用アドベンチャーゲームで「シルバー事件」の続編。センスは抜群だがストーリーは意味不明。前作以上に人を選ぶ問題作。中古販売価格相場は3500円前後なため、2000円台で購入できるのはものすごいお買い得だったんだ。仕方ないんだ。そうだろう?(←見苦しい言い訳はやめてください)
※3)街……チュンソフトから発売された実写グラフィックのサウンドノベル。サターン・PS(移植版)の2本が存在。主人公が8名存在し、各々の選択によって別の主人公の運命が変わってしまうという異色のシステムが特徴。下積み時代の窪塚洋介がAD役として登場し、裸で池に飛び込まされたりチンピラに蹴りを入れられたりしている。




2003年1月22日(水)──私こそ真の勇者だ記念特別大長編

 都心にお住まいの方はご存じかもしれないが、最近の図書館は随分と近代的になったもので、Webを利用した検索用端末が設置されていたりする。
 検索にヒットした本が区内の図書館のどこに所蔵されており、現在貸し出し中であるか否かが一目でわかるほか、読みたい本の貸出予約もできるというなかなか便利なシステムだ。

 図書館が近場にあるため、頻繁に立ち寄って当たり外れの大きいメフィスト賞受賞作家の小説やらゴレンジャー大全やら大長編ドラえもんの単行本やらを借りている知性派の当方も(←そのラインナップには知性のかけらも感じられないのですが)、時折ネット等で面白そうな本の情報を仕入れると、この検索端末で所蔵状況を調べてみることがある。

 ところが運命とは皮肉なもので、読んでみたいと思った本に限って最寄りの図書館には置いておらず、しかもどの館でも軒並み貸出中で、唯一借りられる場所が地元民でも知らないような地の果てにある遠方の図書館であったりするものだ。


 このようなとき、気の長い人は、読みたい本が最寄りの図書館に収蔵されるか、貸出中の本の返却を待つ。
 気が長く、かつ賢い人は、確実に借りるために貸出予約を入れておく。
 気は短いが賢い人は、地図を調べて遠方の図書館の場所を調べ、電車なりバスなりを利用してその日のうちに本を借りようとする。
 ある意味潔い人は、そのまま本屋に赴いて自分で買う。

 そして当方のように気が短く諦めの悪いバカは、簡略地図で適当に図書館の位置に見当を付け、自転車で2時間かけて遠方の図書館へ突っ走る

 わざわざ交通路線を調べるのが面倒なのと、最寄りの図書館まで乗ってきた自転車を家に戻すのが億劫なのが理由であるが、それにしたって往復4時間のサイクリングに比べれば些末なものだ。まあそれがわからないのがバカのバカたる所以であるのだが(←自分で書いてて悲しくなってきませんか)。

 ちなみにここで「クルマ使えばいいじゃねえかバーカ」と思った者は、自動車免許を持っている人間をすべからくブルジョワジーだと思い込んでいる当方と同レベルであるため反省するように。
 ただし自転車を「ケッタリングマシーン」と呼称するような、自動車必須地方在住の方はこの限りではない。



 ところで以前記した通り、当方は先日、ファミコン版の「シャドウゲイト」に再ハマリし、『信じるものは押しつけろ』というアメリカ式思想主義に則って、この偉大なるゲームをリアル友人Iに無理矢理プレイさせることを企てた(←それは友人のすることではありません)。

 幸い、このソフトは当方の知らない間にゲームボーイカラーに移植されている。ハード自体が文化遺産となりつつあるファミコン版と異なり、これなら「逆転裁判」の御剣怜侍に魂を抜かれている友人Iが「ゲームボーイ持ってないから出来ない」などと言い逃れをする心配も無用だ(←というか人間のすることですらありません)。


 そんなわけで、布教という名の使命感をめらめらと燃え上がらせながらゲーム店を渡り歩いた当方であるが、このGB版「シャドウゲイト」、何軒回っても在庫が見つからない。某オタク向け巨大電気街ですら発見できないのだ。
 出荷本数が少なすぎるのか、発売自体がデマであったのか、購入した者が売り払う前にドブに捨ててしまったのかは知らないが、いくらなんでも品薄が過ぎる有様である。


 さて。
 このようなとき、気の長い人は、いつかどこかのゲーム店に入荷することを信じ、とりあえずしばらくはゲームのことを忘れる。
 気が長く、かつ賢い人は、駄目元でゲーム店に注文してみるか、メーカーに在庫を問い合わせてもらう。
 気は短いが賢い人は、ヤフーオークションなどを利用して、ネット上で中古ソフトを購入することにする。
 ある意味潔い人は、ネット上のアングラサイトを探し回り、パソコンで(以下法に抵触するため削除)。

 そして当方のように気が短く諦めの悪いバカは、会社帰りに「あっ、あの店なら置いてあるかも」と思い立ち、うっかり購入した拷問具のようなブーツを履いて、3キロ離れた辺鄙なゲーム屋へ徒歩で出掛けてしまったりする。しかも後で調べてみたところ、近道をしようとして辿ったルートが思いっクソ遠回りだったために実質5キロ歩いていた

 そのような状態で「ヨーシ、もし発見できたら、お父さんお祝いにタクシー使って帰っちゃうゾ」などとうかれたことを考えながら歩いていたのだから救えない。まっとうな人間なら初めからタクシーを使う距離であるというのに、帰りも歩くつもりである辺り、シャドウゲイトの主人公と実にいい勝負である。


 だが、日頃からろくすっぽ運動していない人間が、履いた瞬間圧迫感を覚えるようなサイズの小さいブーツを履いて、一時間半コンクリートの歩道を延々と歩き続けたらどうなるか。

 そりゃあブーツも血に染まりますよ。バカですか貴方。(←全くです)

 もはや店に到着した時点で「お祝いにタクシー使って帰っちゃうゾ」どころではない。「タクシー使って帰らないと行き倒れちゃうゾ」である。そんなわけでもちろん帰りはタクシーを使ったのだが、小指の爪なんか盛大に血マメが出来てしまったせいで未だに真っ黒だ
 まあ、あまりのアホっぷりに神が哀れを思し召されたのか、無事にそこでGB版を発見することができたのが不幸中の幸いであった。

 繰り返す。
 くれぐれもこのような大人にだけはなってくれるな。未来ある若人たちよ。
 (↑あまりの長文にウンザリしているからといって前回のオチを使い回さないでください)



2003年1月17日(金)


 覆面同志のA様が、前回分の日記「靴という名の拷問具」を「という名の拷問具」と読み間違えられたのだという。

 鞭という名の拷問具を購入することにかけて他者の追随を許さないエキスパートである上に覆面マニア。

 すばらしい。この堂々たる変態っぷりはどうだ。
 これを今年一年のキャッチフレーズとすることを本気で検討しかけた当方であるが、それが災いして当方が猥褻物陳列罪でパクられた際、全国一千万の覆面を愛する乙女の皆さんに絶大な悲嘆を与えるのはあまりにもしのびない。耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶのもまた紳士の道というものだ(←いい加減にしてください)。


 まあ、若者らしいパッショネートなミステイクである。当方も幼少のみぎりには夕刊をタモリと呼んでいたものだ。こうした過ちを繰り返しながら、人は少しずつ大人へ近付いて行くのであろう。

 だが、そんなことを考えながら己の経てきた人生に思いを馳せていた当方は、ベイブレードを最近街で突然ツーッと滑り出す踵にローラーのついた靴だとつい昨日まで勘違いしていた

 てっきり湾岸地帯(ベイエリア)で流行したローラーブレードの仲間かなんかだとばっかり思っていたのだ。そして当然、ベイブレードを題材にしたアニメや漫画の中では、あの踵スニーカーをはいた子供らが、スケートリンク等で血反吐を吐きながら速さを競い合っているものだと確信してやまなかった次第である。

 アホだ。(←わかりきったことですからあえて書かないでください)


 こんなアホなことをダラダラと書いていたせいで前回の続きを書く余裕が無くなってしまったではないか。
 思わせぶりに引っ張った所で大した内容ではないのは読者諸兄も大いに御存じであろうが、大した内容でないのはいつものことなので胸を張って再度次回に続かせて頂く。
 年を取るにつれ開き直りの態度がでかくなっている当方である。前途ある方々はくれぐれも見習うことのないよう注意されたい。


※1)ベイブレード……どうやらベーゴマを現代風にアレンジしたものであるらしい。ベーゴマと大きく異なるのは平均的な自駒の直径(約6cm)に加え、専用の射出用具を用いる点。深い。
※2)踵にローラーのついた靴……正式名称はヒーリーズ。踵部のローラーに適度な回転を加えながら両爪先を上げると、ベルトコンベアに乗っているかのように前方へ滑り出すユニークな遊戯靴。見た目とは異なり案外筋肉を使うものらしい。




2003年1月14日(火)


 ここ数年、靴という名の拷問具を購入することにかけて他者の追随を許さないエキスパートとなりつつある当方。
 実は、昨年末も例に漏れず、見事なまでの自爆に花を咲かせていた次第である。


 それは、仕事納めの間近に迫った、ある昼休みのことであった。
 一年の仕事を勤勉につつがなく(←どこがだよ)終えた自分への御褒美として、当方は職場近くにある駅ビルの靴屋を物色していた。昨年の同時期に購入した革ブーツが酷使に耐えかねてくたびれかけていたこともあり、ここらで新しい物をもう一足購入せんと目論んでいたのだ。

 「金に糸目を付けない」という前提があれば決断の早い当方は、ほどなく一軒の店で、そこそこに気に入ったデザインの靴を発見する。だが、陳列してあったブーツは、どれも当方には少々大きすぎるようであった。

 靴屋のオッサン「お、それ、良いでしょう。ちょっと履いてみます?」
 当方「あっ、そ、そうですね。……ちなみに、もう少し小さめのサイズのは置いてありますか?」

 思い起こせば、ここで突然話しかけてきたオッサンにビビって気のある返事をしてしまったのが当方の不覚であった。

 少なくとも当方のような庶民が利用する靴屋は、店頭に陳列してある靴(箱入りで積まれている物も含む)が在庫のすべてであることが主である。
 嗜好は治安維持法に引っかかりそうなほどマニアックだが風貌体格は平凡極まりない当方にぴったりのサイズの靴、要するに最も需要の高い靴を靴屋が店頭に陳列しておかないはずはなく、それが無いということは、要するに在庫そのものが無いことなど、小学生にもわかりそうなものである。

 オッサン「悪いねぇ。今、それより小さいのは、××cmしか置いてないなぁ」

 案の定それは、当方が認識している自分の靴サイズを2ランク下回る小ささであった。そして、どうひいき目に見ても、現状履いている靴の二回りは小さい代物であった。

 なんというかもう気分はシンデレラの鬼姉である。シンデレラの鬼姉の場合は玉の輿がかかっているから必死にもなろうが、当方の場合必死になったところでカボチャ大王にもお目にかかれないのは明白である。
 靴のあまりの小ささに恐れをなした当方は、赤っ恥をかかないうちに試し履きを諦めることにした。


 当方「スミマセン。やっぱり小さすぎて履けないようであります」
 オッサン「クツベラ使ってきちんと履いてないからじゃないのかい?
      ホラ、甲が高いから履くのが大変なだけで、サイズはピッタリだよ」
 当方「……あ、ああ、本当ですね」

(ちなみに当方はこの時「チキショウさりげなく暴言吐きやがってこのオヤジめが」と思ったのだが、紳士なので何も言い返さなかった)

 オッサン「どうかねえ、やっぱり窮屈かな(不安げに)」
 当方「うーん、そうですね……でも、革って伸びますよね?

 なぜそこで自ら助け船を出す!?

 オッサン「ああ、使ってればそりゃあもう伸びるよ(急に声のトーンが上がる)」
 当方「そうですよネ、じゃあ、これ頂けますか」


 もはやキャッチセールスのカモ同然である。重ね重ね思い返すにつれ、「革って伸びますよね」と言ってしまった自分の真意がどこにあったのかがわからない。

 まあ、そんな風に成り行きで購入してしまった革ブーツが原因で、当方は文字通り血を見る羽目となったのだが、その辺の詳細は次回をお待ち頂きたい(←昨年のことしか語っていない上に次回に続く日記がありますか)。


※カボチャ大王……ハドソンから発売されたファミコンAVG「サラダの国のトマト姫」に登場する悪の親玉。既に成人したとおぼしき息子がいる身でトマト姫をさらって妃にしようとする辺り、なかなかのハッスルぶりである。





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