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フィンランドで木造建築といえば一般的に丸太組積造(※)を指す。
木造建築の欠点はどれも水に弱いことで,丸太組積造においては丸太の接合部分やノッチ部分の腐敗が建物に決定的なダメージを与える。このため丸太の壁面やノッチ部全体を板材で覆って耐久性を高める工夫がなされた。この板材の張り方には大まかに分けて2種類あり,張り方を見るとおおよその建築年代が分かる。
水平に積まれた丸太壁に対して板材を垂直に張ったものは1700年代に造られたものに多い。この時代のものは,ノッチ部分が外側に出っ張っているため,出っ張ったまま板材を張りつけている。
一方板材を水平に張ったものは1800年代以降に造られたものと見なすことができる。ノッチの造り方が工夫され,外壁外側への突起がなくなり,すっきりとした仕上がりになっている。
左の赤茶の家と右側の家は縦に羽目板が貼ってある。
<(※)丸太組積造>
この言葉は,直接ご本人からお聞きしたところによると長谷川清之氏の造語である。氏の著作「フィンランドの木造民家−丸太組積造の世界−」(井上書院 1987年ISBN:4-7530-1431-2 C3052)に詳しい。