「なに、幽霊騒ぎだと?」
廊下に響き渡る低い声。
「はい、最近南東に発見された新しい遺跡で幽霊が出ると報告を受けました」
幽霊騒ぎを報告しに来た若い兵士が敬礼しながら答える。
「ふむ、分かった。私も後で行ってみよう」
兵士はその言葉を聞くとそのまま礼をし、足早に去っていった。
その兵士の後ろ姿を見て、彼……ユージーン=ガラルドは思案した。
……きょうび、幽霊など……バイラスの居るこの世界で、か……
「所詮、何かの見間違いだろう」
彼はそう結論付けるとそのまま踵を返し自身の部屋へ向かって歩き出した。
言の葉の欠片
「幽霊騒ぎのある遺跡はここか」
その日、彼は報告のあった遺跡に居た。
見渡してみるが別段変わったことはない。しかし、そこに居る兵士や技術者はどこか浮き足立っているように見える。
「現状を報告しろ」
彼は手近に居た兵士を捕まえて状況を問いただす。
「あ、隊長。ほ、報告します。現在、遺跡内にて謎の現象が起こり、作業が難航しています」
兵士はいきなり彼が現れたことに驚きながら端的に報告する。
「謎の現象?」
彼は兵士の発した単語を訝しむ。
「は、はい。機材が突然停止したり、突然兵士や技術者に原因不明の昏睡が起こったり……」
兵士はその時の状況を思い出したのか、少し震え始める。
「状況は分かった。すぐに兵士と技術者を遺跡内から撤退させろ」
「し、しかし……」
「早くしろ!」
「は、はい!」
彼の一喝に兵士は慌てて駆け出した。
「ふむ……確かに神秘的な雰囲気ではある、が……」
大して気に止まるようなものはない。
彼は今、謎の現象が起きると言われている場所に一人で居る。
……異常はなしか?
ためしに臨戦態勢に入ってみるがやはり何も起こらない。
「やはり、何も起こらんか……」
彼は臨戦態勢をとく――刹那……
妙な気配がその場を包む。
「これは、フォルスか?」
その気配は彼が常日頃実戦のときに身を置いている気配だった。
「なるほど、これならば一介の兵士や技術者には原因が皆目見当もつかないだろうな」
彼は臨戦態勢のまま自らのフォルスを高めていく。
しかし、彼のフォルスが臨海に達する寸前に何者かの声が聞こえた。
『あなたは……私の声が聞こえているのですね?』
透き通った声色。
瞬間的に声の方向に攻撃を仕掛ける。
が、そこには何も居ない。
『声が聞こえているのならば、どうかそのフォルスをお納め下さい』
「声が聞こえていようがなかろうが、この異様な気配の中で相手の姿も見えないのにフォルスを抑えることは出来ん」
ユージーンは叫び、そのまま辺りを窺う。
『ならばそのままでもかまいません。この世界に危機が迫っています』
「何故そのことが分かる。何をもって危機と言う」
『私のフォルスは”未来”。世界の危機とは二種族の対立とそれに伴う諸悪の覚醒です』
「”未来”だと? そんなフォルス聞いたことなどない」
『当然です。このフォルスは太古に消滅し、私ですらこの姿になってから時たま未来を押し付けられるだけなのですから……』
今まで、透き通っていた声が少しだけ沈む。
「……その未来、信ずるに値する理由は?」
『残念ながら、何もありません。ただ、誰かに伝えたかっただけなのです』
「…………」
『ふふふ、そんなに考えることはありません。未来がどうなるかなんて結局誰にもわからないのです。あなたに話したからあなたが頑張らなければならない訳ではないでしょう?』
「未来を守れ……と?」
『ごめんなさい。あなたを惑わすつもりはなかった……けれど、あなたには出会いがある。だから……そう、話しておきたかったの』
「出会い……?」
『ええ、とても素敵な……』
その言葉を最後にフォルスの気配が急激に衰えていく。
「……! まて、その出会いは……!」
彼の最後の言葉に反応したのか、一瞬だけ空気がやわらかくなった気がした。
――それは、彼がマオという赤毛の少年と出会う二月前の物語――
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あとがき
緊急事態発生! ワケワカンネェ!
つか、ごめんなさい。
RPGものはムズイです。うん、マジで。
なんだろうか? この訳分からん展開は。
ユージーンってあんなキャラだったかしら?
ああ、もう感想とかは掲示板とかで。
ではでは〜w(批評の方が多いんだろうな……
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