「あ〜、ごほん。本日はお忙しい中お集まり頂いて真に有難う御座います」

「相沢〜、くだらん前置きはなしにしてさっさと始めろ」

「そこ、北川黙れ。……まったく話が逸れたじゃないか。とにかく、このクソ忙しい大晦日にみんなに集まって貰ったのは、他でもないある企画のためだ」

「で、相沢君。その企画って何なのかしら?」

「うむ、よく訊いてくれた。それは、これだぁ――」









水瀬杯争奪年越し蕎麦大食い大会










「……あたしはパスね」

「って、いきなり何でだ香里」

「そうですよお姉ちゃん。ここでやらなきゃ女が廃りますよ」

「あのねぇ、他の人だってこんなのやらな……」

「あははっー、面白そうですねー」

「……絶対、勝つ」

「うにゅ、わたしも負けないよ」

「うぐぅ、ボクだってがんばるよ」

「あぅー、あたしが勝つに決まってるじゃないのよぉー」

「私もがんばらせて頂きます」

「ふっふっふ、女だけだからって遠慮しないぜ」

 香里の言葉を遮る様に佐祐理さん、舞、名雪、あゆ、真琴、天野、北川がそれぞれ意気ごむ。

「……なんで?」

「このメンバーだからな」

 うなだれる香里にさも当然のように言う。

「さあ、お姉ちゃん。一緒に参加しましょう」

「……わかったわよ」

 栞に擦り寄られ香里は渋々了解した。









参加メンバーが決定しそれぞれが自分の席に着くとその前に秋子さん特性年越し蕎麦が並べられていく。

「ルールはいたってシンプルに一番食ったやつが優勝だ」

「あははっー。確かにシンプルですねー」

「……単純」

 佐祐理さんと舞が同調するように言う。

「制限時間は十一時までだ」

「今、一時よ。何考えてるの、相沢君は」

「長いな……これはペース配分を考えないと大変だぞ」

 香里と北川が独り言をもらした。

「そこ、ブツブツ言ってないではじめるぞ」

 そう言うとみんな謀ったように臨戦態勢に入った。

「それじゃ、レディ……ゴー」

 こうして戦いの火蓋は切って落とされた。









 開始早々から猛然とした勢いで食べ始める舞。

 それにつられてか、あゆ、真琴、栞のお子様トリオが物凄いスピードで食べている。

 ……こいつらが最初の脱落者だな。

 案の定、一時間後に食い潰れていた。

「あぅー、もう食べらんない」

「えぅー、食べ過ぎました」

「うぐぅ……」

 そんな三人を秋子さんに任せて俺は戦況を見る。

 トップは…まあ、言わずと知れた大食いクイーン舞だ。その後を、北川が近差で追っている。そしてその後を以外や以外、天野が追っていた。

 ……天野って、少食とか言ってなかったか?

 しかし、そう思ったのもつかの間、

「ご馳走様でした」

 と、天野が箸を置いた。

「何だ、天野。ギブアップか?」

「ええ、もう十分堪能いたしましたし」

「このままいけば、いいところまでいったんじゃないのか?」

「いえ、勝てないのならこのくらいでやめておこうと思いまして」

「そうか、残念だな」

 その後、天野のリタイアに続き香里と名雪、佐祐理さんが次々にリタイアした。









 そして、八時間後――

「いや〜、よくやるな。この二人」

「あははっー。舞、ファイトですよー」

「みまみま」

「北川君、いい加減やめたら?」

「ここで引き下がったら男が廃るだろ」

「安いひゅーまにずむだおー」

「名雪、とりあえず寝てろ」

 名雪のほうに視線を移してそう言ってから二人のほうを見るとあきらかに様子が変になっていた。

「……?」

「ぐあ!?」

「どうした?」

「……食べれない」

 ――ガク。

 そう言って舞が気を失った。

「相沢、何……入れ…た」

 ――バタ。

 さらに北川まで倒れる。

「まさか、何か入って……!」

 二人のどんぶりを覗くとオレンジ色の物体が入っていた。

「これは……まさか!!」

 振り向くと、秋子さんが笑顔でこっちを見ていた。

「秋子さん、何で?」

「そろそろ終ってくれないと収拾がつかない。っと言われましたから」

 笑顔でよく分からないことを言う秋子さん。

「誰にですか?」

「企業秘密です」

 香里の質問に秋子さんは笑顔で答えると台所に戻っていった。

「どうするんだ、これから」

「とりあえずは、ノーゲームでいいじゃない」

「いや、どう終ったらいいんだ?」

「秋子さんに締めてもらったらいいじゃない」

「そうだな……」

 俺は香里の助言(?)の通り、台所へ行った。

「秋子さん。最後締めてください」

 俺が開口一番にそう言うと、秋子さんは振り返り、

「わかったわ。それでは、みなさんよいお年を」

 笑顔でそういった。









「……これで終わりでいいのか?」

「いいのよ」





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あとがき

どーもー白犬でーす。
書かないとか言ってたくせにまた書いちゃいました(笑

それにしても、何でしょうね? これ
これよりだったらオリジナルの正月短編書いたほうがマシだったかも(汗
SS(と言うより書物全般)の才能ないのかな(泣

何はともあれ、SSの感想お待ちしてますね〜。
こんなSS書けやーみたいなリクエストも待ってますよ〜。
是非是非、掲示板かメールのほうへ(ここにリンク張ったほうが良い?

そんなこんなで白犬でした〜。





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