みんなでクリスマス!
「メリークリスマス!」
パン、パン!
たくさんの声とクラッカーの音が水瀬家に響く。
みんなでパーティーをしようということになり、こうして集まったのだ。
残念ながら、北川はバイトで来れなかったが。
「にしても、すごいな…」
俺は思わずつぶやいた。
ものすごい量の料理が並べられている。
…一部料理と呼べない色彩のものがあるが。
「これは…?」
近くにいた名雪に聞く。
「ああ、あゆちゃんと真琴が作ったんだよ」
やっぱりか。
「祐一さん、どうぞ」
佐祐理さんが飲み物を差し出してくる。
「ありがとう」
受け取って一口飲む。
「酒ですか、これ?」
「はい」
頷く佐祐理さんの顔が少し赤い。
酔ってるな。
見回すと、他のメンバーもそんな感じだった。
「まあ、いいか」
クリスマスだし。
そう思い、再びグラスに口を付けた。
パーティーが始まってから二時間――
「祐一〜」
「祐一さん〜」
「…」
みんな完全にできあがっていた。
ちなみに、無言なのは舞だ。
お子様達(あゆ、真琴、栞)は酔い潰れて眠っている。
残っているメンバーは、名雪、香里、舞、佐祐理さん、そして、天野だ。
天野の場合、酒に強いのではなく飲んでないだけだが。
「お前は飲まないのか?」
「ええ、苦手ですから」
無理に飲ませようと思っているわけではないので、特にすすめはしなかった。
「あははーっ」
佐祐理さんのテンションは最高潮に達したようだ。
その隣では、無言で舞が飲み続けている。
「すごいな、あのふたりは」
「そうよね」
いつの間にか俺の隣にいた香里が同意する。
「あれ、名雪は?」
香里と一緒にいたはずだが、姿が見あたらない。
「リタイア」
「…なるほど」
その一言で俺は納得した。
時計の針は十一時を指している。
「名雪にしてはがんばったな」
俺はつぶやいた。
眠っている名雪、栞、真琴、あゆ。
飲み続けている佐祐理さんと舞。
話しをしている香里と天野。
今まで過ごしたどんなクリスマスよりも騒がしかったけど、楽しかった。
みんなを見ていると、本当にそう思える。
特別な人とふたりっきりのクリスマスもいいけど、大勢でワイワイやるほうがずっと楽しい。
この街に帰ってきてから最初のクリスマスは、こうしてふけていった。
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あとがき
どうもー、黒犬です。
今回はいつもより短くなってしまった。
だからどうしたというわけでもないですが。ALLキャラは苦手なので、これが精一杯。
正月SSもこんな感じになりそうです。それではまたお会いいたしましょう。黒犬でした。
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