〜cheerful party〜










「そういえば…」

「うん?」

あゆが急につぶやく。

「去年の今日だったね」

「ああ」

あゆの言いたいことに気付く。

「あの時は大変だったな」

いきなりぶつかって、そのまま一緒に逃げて…。

「それが今はこうだもん」

腕を絡めてくる。

「そうだな」

再会した日。

そして、長かった通院も今日で終わりだ。

「よかったな」

「うん!」

笑顔で頷くあゆ。

「とりあえず、行くか」

「どこに?」

「家に決まってるだろ」

「そうだね」

今はあゆも一緒に住んでいる。

というのも、秋子さんが引き取ったからだ。

あゆの父親と話し合い決めたらしい。

らしいというのは、そこらへんの詳しい話は聞かされていないから。

まあ、もともと聞く気もないし、細かいことはどうでもいい。

小雪が舞う中、俺達は帰路についた。





「ただいまー」

「おかえり。準備できてるよ」

出迎えたのは名雪。

退院祝いも兼ねて、誕生パーティーをやろうという計画だったのだ。

「準備?」

「まあ、入ればわかる」

当事者のあゆには、当然ながら知らせていない。

「…?」

いぶかしみながらもリビングの扉を開ける。

パン、パン!

「おめでとー!」

「うわぁっ」

クラッカーの音に悲鳴を上げるあゆ。

「びびるなよ…」

静かにツッコミを入れる。

「うぐぅ…」

俺はざっと辺りを見回す。

「北川は?」

「バイトだって」

クラッカーを鳴らした香里が答える。

「そうか…」

ちなみに、二人ともあゆとは会ったことがある。

一緒に暮らしているのだから、家に遊びに来たりすれば嫌でも顔をあわせることになる。

高校には通っていない。

七年も眠り続けていたおかげで、学力がないに等しいからだ。

「とりあえず、はじめましょう」

様子を見ていた秋子さんが促す。

「そうだな」

そんなこんなでパーティーが始まった。





結局、名雪がリタイヤする八時ぐらいまで続いた。

あゆも疲れていたのか、名雪のすぐ後で眠ってしまった。

「あれだけはしゃげばな…」

起こさないようにつぶやく。

「おやすみ、あゆ」

俺はそっとキスをして、部屋を出た。



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あとがき

うわぁ…。自分で書いておきながらなんか微妙…。
しかも当初考えていたものと全然違うものになっちゃったし。
まあ、気にしない気にしない。
次からはもっと真面目につくります。
黒犬でした。



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