〜Lovers day?〜
「おはようございます」
いつものように挨拶をして、席に着く。
「おはようございま…ふぁ〜」
これは名雪。
「おはよう、二人とも」
にこやかに返す秋子さん。
「今日が何の日だか知ってますか?」
そう言われて、日付を確認する。
今日は2月14日…。
「あ、バレンタインデー」
「当たりです」
微笑みながら、チョコレートを渡される。
「ありがとうございます」
お礼を言う。
「あ、わたしも今渡しておくよ」
名雪からも渡された。
「別に後でもいいだろ」
「けど、今日は部活あるし、帰るの遅くなりそうだもん」
それに学校で渡すのは恥ずかしいしね、とつぶやく名雪。
「…サンキュ」
俺は、もらった二つのチョコレートを部屋に置いてくる。
そして、そのまま玄関で待っていた名雪とともに学校へ向かった。
「はいっ、祐一くんっ!」
「…唐突だな、あゆ」
差し出されたチョコレートを受け取りながら言う。
「わたしも渡しておくわ」
横から現れた香里からも、同様に受け取る。
…北川の視線が痛いが、気にしないようにしよう。
「サンキュ、二人とも」
「相沢君も大変ね…」
意味深な発言をする香里。
「どういうことだ?」
「いずれわかるわよ…」
それだけ言って、自分の席に戻った。
――1時間目の休み時間。
「先輩、受け取ってください」
顔も知らない後輩がチョコレートを置いていった。
「…」
しかも複数。
――2時間目の休み時間。
「相沢君、これあげる〜」
やっぱり顔の知らない、しかも上級生がチョコレートを置いていった。
クラス中の野郎の視線が集まるのを感じる。
――3時間目の休み時間。
他のクラスの女子が、やっぱり同じようにチョコレートを置いていった。
「…はっ!?」
気づけば、怒りや憎しみの視線を一身に浴びていた。
――昼休み。
「祐一さん、受け取ってください」
栞から。
「相沢さん、どうぞ…」
天野から。
「あははー、モテモテですね」
冷やかされながら、舞と佐祐理さんからそれぞれ受け取る。
「ありがとう」
なんて言ってるが、内心あまり嬉しくなかった。
――放課後。
「相沢ーーーーー! 出て来いーーーー!」
鬼ごっこが始まった。
「なんでこんな目に…」
必死になって逃げ回った。
捕まったら死ぬ。
結局、夜中まで鬼ごっこは続いた。
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あとがき
オールエンドの悲劇(やなネーミングだな)。
バレンタイン記念は、ほのぼのにはなりませんでした。
可哀想に…(書いたの俺だけど)。
あと、そろそろマジで記念以外の短編も作ろうと思います。
思っているだけでネタはありませんが…。
ぼちぼち頑張ります。
では、黒犬でした。
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