Side ONE
転校初日の通学路。
初めてあいつと出会った。
その出会いは、角を曲がったときにぶつかったという、どこかの恋愛小説のようだった。
まさかクラスメートになるなんて思わず、思い切り文句を言った。
それが、始まりだった。
〜素顔のままで〜
あいつといると、乙女であろうと肩肘張らずに、ありのままの自分でいられた。
だからかもしれない。
あいつのことを好きになっていたのは。
もちろん、異性としてじゃなく友達としだけど。
それでよかった。
あいつの心の中には瑞佳がいたから。
辛いだけの恋なんて、したくはなかったから。
けれど、いつの間にかあいつはいなくなった。
あたしの、思い出からさえも。
瑞佳に教えてもらうまでまったく思い出せなかった。
それに、瑞佳自身でさえも忘れていたらしい。
あたしたちの記憶から、大切な思い出からでさえも消えてしまう。
そのことが、ひどく哀しかった。