Side ONE
ここに来てから、もうすぐ一年が経とうとしている。
先にここに辿り着いたシュンには逢うことができ、共に行動している。
だが、シュンの口振りや茜の話から、他にもここに来ている奴はいるはずだというのに、なぜだか全く見かけない。
『この世界はとても広くて、とても複雑なんだ』
とシュンは言うが、俺にはさっぱり分からない。
「どうしたんだ、浩平?」
「いや、考え事してたんだ」
俺は曖昧に答えた。
自分でもよく分からなかったから。
「…さて、そろそろ行くか」
「そうだね」
立ち上がる。
そして、歩き出した。
〜遠い日の約束〜
不都合があるわけではなかった。
何かに困るわけでもなかった。
それでも、俺は拒んだ。
あの日に交わした永遠の盟約など、もう必要なかったから。
たくさんの大切なもの、かけがえのないものが、俺にはできたから。
だから俺は、歩き出した。
あの世界に帰るために。
「それにしても、お前はよかったのか?」
「何がだい?」
「こうしてここにいることだよ」
「ああ…」
シュンも、ある意味では俺と一緒だった。
そして、シュンにはこの世界を拒むだけの理由がなかった。
「いいんだよ」
シュンは答える。
「たったひとつでも絆があるのなら、それは理由になるんだ。そして、理由があるのならここはもう居場所ではないんだよ」
笑顔で言う。
「そうか…」
あの世界にいるには、人との繋がりが必要だった。
その繋がりからうまれる絆が。
だから、みんな忘れてしまうんだ。
「浩平もそう思っているから、あの世界に戻ろうとしているんだろう?」
「そんなたいそうなものじゃないさ」
俺はただ、あいつの傍にいたいだけだ。
帰るって約束したから。
それだけだ。
そして、俺達は出会った。