「本当に同じクラスになれるとは思わなかったよ」
隣に座る観鈴に話しかける。
「そうだね」
笑いながら答える観鈴。
「あら、相沢君はこの子と知り合いなの?」
「お母さんの友達の子で、最近隣に引っ越してきたんだよ」
名雪が答える。
「じゃあ、折原君も?」
「さすがにそこまでは……」
「ん、俺がどうかしたのか?」
名前が出たからか、当人が反応する。
「なんでもないわよ。ただ、転校生って名雪のが多いから」
香里のいうことももっともだ。
俺は名雪のイトコだし、観鈴は秋子さん繋がりだ。
「もしかして、水瀬さんの娘か?」
「……知ってるのか、秋子さんを」
「ああ。俺が世話になってる伯母さんの知り合いに、確かそんな名前の人がいたような……」
「水瀬ってすごいな」
北川が乱入してきた。
「そうね」
話がてら、簡単に自己紹介する。
授業のことでいろいろ質問を受けたりした。
内容だけでなく、学校のこととか、本当にいろいろなことを。
「昼休みだな」
「俺たちは中庭に行くんだが、お前はどうする?」
「俺も弁当だし、ついていっていいか?」
「ああ」
他愛ない話をしながら、中庭に向かう。
そこには、すでに天野と栞が待っていた。
「遅いですよ、祐一さん」
「今日はしょうがない」
観鈴と浩平のことを紹介する。
4人は軽く自己紹介して、広げてあったシートに座る。
栞、天野、観鈴、折原は弁当持参。
俺のは名雪が、北川のは香里がそれぞれ作ってくれる。
俺の方は言うまでもないが、北川の方は、理由がちゃんとある。
「北川よ」
「なんだ、相沢」
「愛妻弁当は旨いか?」
からかってやる。
「……殴るぞ」
「ははは……」
2人は、なんと付き合っているのだ。
顔を真っ赤にする純情青年の反応に笑いながら、弁当を開ける。
「そういう相沢君はどうなの?」
香里のほうから仕返しがきたか。
「いやー、以前作ってもらったんだが、酷い目にあったからな」
あいつが作るものは食い物じゃない。
「とか言ってるけど、ちゃんと全部食べたじゃない」
「そんなの、当たり前だろ」
今日はいつもよりも盛り上がり、本当にあっという間に過ぎた。
そして、放課後になると、俺はいつもの場所に向かった。