春休みがあけて、またいつもの毎日がやってきた。
「おはようございます、秋子さん」
台所で朝食の準備をしている秋子さんに挨拶する。
「おはようございます、祐一さん」
秋子さんは春休み中に退院することができ、以前と変わらない生活を送っている。
そして――
〜変わったものと、変わらないものと〜
〜in the Kanon〜
「おはよう、祐一君」
「うにゅう〜…」
俺が席に着くのとほぼ同時に、二人が入ってきた。
「おはよう。名雪、あゆ」
秋子さんの退院から遅れること数日。
まだ少し私生活に支障は残るものの、こうして俺たちと一緒に暮らしている。
「そういえば、秋子さんの知り合いが今度引っ越してくるんでしたっけ」
「ええ。今夜には着くそうよ」
以前から何度か聞かされていたのだ。
秋子さんはいろいろと謎に包まれているので、その人がどんな人間なのか全く想像つかない。
「そろそろ時間だよ、祐一」
ようやく朝食を終えた名雪が言う。
「おう。んじゃ行くか」
かばんを持って玄関へ向かう。
「「行ってきます」」
と言って扉を開ける。
「「行ってらっしゃい」」
秋子さんとあゆの声を背に、歩き出した。
「それにしても、どんな人なのか楽しみだね」
「ああ。秋子さんの話では、保母さんをやってるって言ってたけどな」
昼休みになると、みんなで他愛のない話をする。
「あゆももうすぐ通えるようになるらしいしな」
「そうなの?」
「本人がそう言ってたんだし、間違いないだろ」
「あゆって、相沢君の彼女のこと?」
香里が割って入ってくる。
「……なんで知ってるんだ?」
俺は誰にも話した覚えはないんだが。
「名雪に聞いたの。それに、栞もデートしてるの見たって言ってたし」
「まあ、な……」
――キーンコーンカーンコーン
「昼休みも終わりだな」
北川の声を合図に、片付ける。
「んじゃな」
そして、それぞれの教室に戻った。