Side Kanon
「そうですか…」
神妙な面持ちで頷く栞ちゃん。
ほかにも、香里や北川君、それに美汐ちゃんも来てくれた。
「でも、それなら俺らでどうにかできることなのか?」
北川君の疑問ももっともだと思うけど、やらなきゃならないんだと思う。
「できるかどうかなんて関係ないわ。あたしたちにしか出来ないことをやればいいのよ」
「でもなあ……」
「わたしは、やります」
決然と、栞ちゃんは言う。
「だって、祐一さんとあゆさんのおかげで、わたしはこうしてるんですから」
「そうね。あたしも、相沢君がいなかったら……」
「わたしも、そうです」
「決まりだね」
その言葉に、みんな頷いた。
〜君のために出来ること〜
「ねえ、祐一」
「どうしたんだ、みんな揃って」
相談が終わった後、タイミングよく帰ってきた祐一に話しかける。
「話があるんだけど、いいかな?」
「……わかった」
そうして、みんなでリビングに移動した。
「で、なんだ話って」
「祐一さんのことです」
栞ちゃんが答える。
「俺のこと?」
「はい。最近、なんだか元気ないから……」
「気のせいだろ。俺はいたって――」
「それが空元気にしか見えないから言ってるんだよ」
北川君が言う。
「なら何だってんだ? みんなには関係――」
わたしは、祐一が怒鳴りそうなのをこらえてるように見えた。
「関係ないって、本当に思ってるの?」
いつになく冷たい口調の香里。
「…………」
黙り込んでしまう祐一。
「どうして、何も言ってくれないんですか?」
普段あまり口を開かない美汐ちゃんまでが、攻め立てるように言う。
相談したときはこんなはずじゃなかったんだけど、みんなヤキモキしてたようだった。
1人で抱え込んでる祐一を、励ますんじゃなくて怒ってるように見える。
「そうやって1人で抱え込んで、みんなに心配かけないようにか。お前、何様のつもりだ?」
北川君が厳しい口調で言う。
「何だと…」
「あの時みたいにすればいいだろ」
あの時……。
――天使の人形を探すのを手伝ってくれ。
相談に乗ったりしてくれた祐一が、一度だけわたしたちに頼んだ。
支えてくれた祐一が、頼ってきた。
「水瀬さんにくらい相談してるかと思えば、家の中でもそうして演じてる」
「じゃあどうしろってんだよ!?」
今にもつかみかかりそうな勢いで言う。
「初めからそう言ってればよかったんだ」
静かに返す北川君。
「……は?」
「俺たちはみんな“友達”だ。心配かけたくないからとか、そんなの気にする必要ないんだよ」
「だけど……」
「そんなの、他人と変わらないよ…」
「名雪……?」
「友達なのに。家族なのに。傍にいるのに遠慮なんかされたら、他人と何も変わらないよ」
酷いことを言っているのだと、自分でもわかる。
嫌われるかもしれない。
けれど、そんなのは今はどうでもいい。
誰よりも祐一を想い続けたあゆちゃんのために。
そして、何よりもわたし自身のために。
この想いにけじめをつけれるように。
わたしは、言葉を投げつけた。