Side AIR
いつもと同じ夏のはずだった。
終わることのない夢の中で、ただまどろんでいるだけの。
そんな夏になるはずだった。
〜夢の後に〜
「いってきます」
「いってらっしゃい、美凪」
お母さんに送り出されて家を出る。
みちると呼ばれた最後の夏に、大切な人達と出会った。
「国崎さん。観鈴……」
男の人を呼び捨てするのは気が引けるが、観鈴や佳乃のことはできるだけ呼び捨てにしていた。
それは、自分にとって大切な人である証のようなものだから。
あの子……みちるのように。
「…………」
国崎さんや観鈴、みちるがいなくなって、当然だけど悲しかった。
お母さんは事情も聞かずに、
「辛かったら泣いてもいいのよ」
と言ってくれた。
けれど、みちると約束していたから、そうすることをしなかった。
たとえ約束していなくても、泣かなかったかもしれないが。
「また、逢えますよね?」
答えなんてないのはわかってる。
それでも、答えてほしくて問いかける。
「あ……」
もしかしたら……。
「迷っていても、仕方ないよね」
こういうときは、思うままに行動すればいい。
そう、教えてくれた人たちがいるから。
大事なのは、後悔しないことだから。
あの場所に向かって、歩き出した。