Side AIR
伝えたい言葉があった。
伝えきれないほどの、想いがあった。
わたしは、とても幸せだったけど。
だけど、もっともっとみんなと一緒にいたい。
やれなかったこと、やりたかったこと。
まだ、いっぱいあるはずだから。
〜大好きな人たちに〜
「うーん…」
こっちで合ってるのかな?
それとも、あっちの方がいいのかな?
「ていうか、正解なんてあるのかな?」
いろいろとわからないことは多いが、一番の問題はそこだった。
帰り道があるのか。
ないのなら、どうやって帰ればいいのか。
「大丈夫だよね」
あの人たちは、帰れるって言ってたし。
「それに、また会おうねって約束もしたし」
だから、きっと大丈夫。
「観鈴ちん、ふぁいとっ」
大きな声を出して、気合を入れようとする。
思ったよりも声はずっと小さかったけど、元気は出た。
「しゅっぱーつ」
だから笑顔で、歩き出した。
「大丈夫そうじゃな」
多少は心配だったが、それも杞憂だったようだ。
観鈴は観鈴として、歩き出している。
もう、空に縛られる必要はないのだ。
当たり前のように、みんなと過ごしていけばいい。
その『想い』が本物なら、それは叶うはずだから。
「さらばじゃ」
聞こえないようにつぶやいて、そっと消えた。