〜断たれた縛鎖〜


Side AIR







わたしは幸せだった

つらいことがたくさんあったけど、胸を張ってそう言える。

佳乃ちゃんや美凪さん。

お母さん。

そして、往人さん。

大切な人達が傍にいてくれたから。

悲しみを、呪いを断ち切ることができたから。

「ここ、どこだろう」

誰もいない。

でも、どうしてだろう?

この先に、何かある気がした。









〜断たれた縛鎖〜










何かに導かれるように、わたしは歩いている。

見たことのない風景なのに、なぜか懐かしく感じる。

「あっ」

人がいた。

それも、見覚えのある人。

たぶん間違いじゃないと思い、わたしは駆け寄る。

「こんにちは神奈さん」

わたしは言葉をかける。

「そなたか…」

「知ってるの?」

「なんとなく、な…」

神奈さんは言う。

あの終わりのない悪夢の中で、いくつもの『思念』が自分のなかに入ってくる、と。

たぶん、それはわたしたちが夢で見ているときのことだと思う。

「…そなたは、この悲しみを呪による偽りのものだと教えてくれた。束縛を断ち切る力をくれた」

礼を言うぞ、と神奈さんは微笑む。

その言葉を聞いたとたん、涙がこぼれた。

嬉しいからじゃない。

…悲しいから。

わたしはまだ、『ありがとう』って言えてない。

「この道をまっすぐ進めば、ある者と会える」

「え?」

「これが…余にできるせめてもの償いじゃ」

寂しそうに微笑む。

「償い?」

「ずいぶんと、つらい思いをさせてしまった…」

だんだんと姿が薄れていく。

「…まって!」

けれど、その言葉は一瞬だけ遅かった。

「しあわせ…だったんだよ」

伝えることのできなかった気持ちを静かにつぶやく。

わたしは、神奈さんの言葉を信じて歩き出した。



そこで、わたしたちは出会った。








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