「ふーん。そんなことがあったんだ」
自己紹介みたいなことをしてから、いろいろと話をした。
主に俺と眞子のことではあったが……。
「音夢はどうなのよ。せっかく本土のほうに行ってるんだから、恋人の1人くらい作りなさいよ」
「勉強が忙しいから無理だよ」
2人の会話を聞きながら、お茶を啜る。
予想外ではあったが、暇がつぶれてよかったなと思っていた。
始まった夏休み
〜後編〜
「ただいまー」
朝倉が帰ってきたらしい。
けれど、足音が2人分あるのは気のせいだろうか。
そう思って尋ねると、
「兄さんは、今日はデートらしいですから」
と、音夢は答えた。
「ああ、だからお姉ちゃんいなかったんだ」
「「は?」」
俺と音夢の声がかぶる。
「あれ、言ってなかったっけ?」
「「聞いてないけど」」
再びハモる。
「それでも、透也はわからなくてもしょうがないけど、音夢が知らないのは驚いたわ」
まあ、たしかに身内にくらいになら交際相手を紹介してもよさそうなものだ。
「さすがは朝倉」
普通は言うだろ。
「まあ、あんなことがあったから予想できないわけでもなかったけど」
と、音夢は唸るようにつぶやいた。
それから、帰ろうかという時間になって、
「晩御飯一緒に食べていきませんか?」
と言う音夢の言葉に、俺たちは遠慮しておいた。
「でも……」
昔の(と言っても、一年も経ってないが)友達と久しぶりに会ったからか渋る音夢に、
「なら、今度みんなでお泊り会しようよ」
と眞子が提案した。
と言うことで、次の日曜日に、と約束して解散した。