約束することで、踏み出せなかった1歩を踏み出す決心が出来た。

傷つけるため、と言われれば、そうだと答えるしかない。

一番辛いのは俺?

そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

むしろ、事実を知らない眞子のほうが俺よりよっぽど辛いかもしれない。

心に負う傷の大きさなんて、当人以外にはわからないことだ。

けれど、そう……。

傷ついても、傷つけても――

向き合ったもの同士でいられますように。

願わずにはいられなかった。









〜変わったもの、変わらないもの〜










どんなことがあろうと、世界は変わらない。

朝になって、昼を過ぎて、夕焼けに暮れて、夜になる。

そして、また陽は昇る。

当たり前のことだが、残酷なことのようにも思える。

人は変わっていくし、人が営む社会もまた同様だ。

だというのに、人が生きるこの世界だけは変わらないのだから。

「……明日、か」

俺自身はどうなのだろうか。

眞子と出会う前、出会った後、恋人同士になってから。

変わったのか、変わらないのか。

強くなったのか、弱くなったのか。

わからない。

「俺は……」

上手く言葉にならない。

「しっかりしろ、俺」

明日という日。

どんな意味であれ、特別な日になる。

迷いを捨てることは出来ない。

割り切れるほど、俺は大人じゃない。

自分に正直になろう。

そう、自身に言い聞かせた。








<<<  前へ戻る  >>>