お泊り会以降、眞子とはなんとなく疎遠になっていた。
忙しかったということもあるが、一番の理由はそうじゃない。
……朝倉と萌先輩、眞子の間にあった出来事を知ってしまったから。
「はあ」
ため息をつく。
どんなことがあっても信じる、と俺は言った。
けれど、本当にそうできるだろうか?
自信が持てないでいた。
〜終わりの始まり〜
夏休みがあけて、新学期が始まった。
ほとんど顔を出すことがなかった部活に、俺は久しぶりに赴いた。
「あ、牧野君。久しぶり〜」
「そうだな」
同学年の部員に声をかけられて、苦笑しながら答える。
しばらく雑談していると、先生がやってきた。
「お、今日は牧野来てるのか」
そんな皮肉めいたことを言いながら、各部門に指示を出す。
どうやら、まだ今日は眞子は来ていないようだった。
「……」
それにほっとしている自分がいた……。
それは突然だった。
「ぐっ」
指が動かなくなり、腕全体に鈍い痛みが走る。
表に出したつもりはなかったが、
「どうしたの?」
いつの間にか練習に来ていた眞子は気づいたらしい。
心配そうな顔をして近寄ってくる。
「いや、何でも……ぐぅっ」
「透也!?」
悲鳴を上げる眞子。
「どうした!」
慌てて先生が近寄ってくる。
「だい……っ」
もう、俺は声を出すことすらできなかった。
ただ必死で激痛に耐えるのみだ。
胡乱な頭で、思った。
――限界は、もうそこまで迫っているのだと……。