(17/02/18)

 投資法:その2

 ①ソロス ”Soros”  ロバート・スレーター 著  1995年11月30日発売 早川書房
 ②ソロス ”Soros”  マイケル・カウフマン 著  2004年6月3日発売 ダイヤモンド社








(黒字:本から抜粋)
 ソロスの天才的なところは、ある種の規律(注:ルールのことか?)を身に着けていることだ。 彼は市場をきわめて現実的に見つめ、株価に影響を与える要因を理解することができる。 市場には論理的な側面と非論理的な側面があることを理解している。(①P014)

(青字:コメント)
 論理的な市場と非論理的な市場、 自分の強みはどちらにあり、どちらの市場で主に勝負するの決めなくはならないと思います。 例えば、成長する企業の株が上がるという論理的な市場に参加し、 イナゴが集うマネーゲームには参加しない、という風に。その逆でももちろんかまいません。 イナゴのエネルギーを巧みに逆手にとって成果をあげている投資家もいます。

 また、時と場合によって、論理的な市場が支配的になったり、逆に非論理的な市場が支配的になったりします。 後者の典型が1999~2000年のITバブル、すべての株が徹底して売られた2008年のリーマンショックですね。 自分の得意な市場に積極的に出ていくべきで、そうでないときは見送る勇気も重要です。




 彼は、つねに自分が正しいとは思っていない。正しいと信じた時は、機会を逃がさず積極果敢に攻め、 間違っている時には、損失を減らそうとする。 自分が正しいと確信したとき、彼はすさまじいい信念を持つ。 1992年のポンド危機が、まさにそうだった。(①P014)

 ソロスはポンドのカラ売りでイングランド銀行を打ち負かした男として注目されました。 この時は自己資金の数倍のポジションを持ったといわれています。 イングランド銀行の挫折はソロスにとっては自明の理だったようです。 なお、この事件がきっかけとなり、イギリスはユーロに参加できなくなりました。 それが幸いだったかどうかは、まもなく答えがでそうです。



「3億ドルの債券を買いたいから、5000万ドル相当を、まず売ってくれ。」とソロスは言う。
「まず、市場の感触をつかみたい。もし簡単に売れるようならば、 簡単にこれらの債券がさばけるようならば、もっと買いをいれたい。 だが、売りに苦労するならば、買い手に回るべきかは疑問だ」(①P111)

 市場の感触をつかむため、これから投資したい反対のポジションから始めることもあるらしいです。 そういえば最近、海外投資家の空売りが入ったあとに急騰する小型株がたまにありますが、 それもこの方法を用いているのかも知れません。 空売りが入った銘柄には注目です。



 彼らは「肥料の解決法」や「週刊繊維」など、30以上の業界紙を購読していた。 一般紙にも目を通していた。場合によっては、社会や文化のトレンドが役立つことがある。

 ファンドのファイルには、1500社以上のアメリカや海外の財務報告書が保管されていた。 毎日ロジャーズ(注:ジム・ロジャーズ。ソロスの同僚)は20から30社の決算報告書に目を通していた。 企業活動の興味をひく展開や、長期トレンドの兆しを発見するためだった。
 -それは、他の人々にはとても発見できないものだった。

 ソロスがたゆまなく探した「それ」とは、突然の変化だった。 ソロスは、まだ誰も気が付いていない変化を探した。(①P123)

 やはりたくさんの多様な情報に接しないとインスピレーションは働かないのでしょうね。 人がまだ気が付いていないヒントは、そう多く落ちているわけではないからでしょう。 また、決算短信をたくさん読むことは、基本の「キ」なのです。 ソロスやジム・ロジャーズでも、このような地味な作業に多くの時間を費やしているのですから。

 また、自分なりの深い読み方を身に着けることも大切です。 どのようにしたら「変化」を読むことができるか。 市場で試しながら読み続けるカット&トライを繰り返し精度を上げていくしかないでしょう。




「そうです。(補足:ジャガー社の)株は絶対に上昇するでしょう。」と、 ラファエル(注:ソロスの部下)は同意した。
「もっと買いをいれろ」
ソロスはこう続けた。
「もし株があがったら、もっと買え。 ポートフォリオの中で、その株の持ち高がどのぐらいを占めるかは気にしなくてもいい。 正しいと思ったら、買うんだ。」(①P157)

 ドッケンミラー(注:ソロスの部下)はドイツ・マルクに対して大きな空売りポジションを張った。 それがうまく行きだすと彼は満足してしまった。
「そのポジションはどのぐらい大きいのかね。」とソロスは尋ねた。
「10億ドル」ドッケンミラーは答えた。
「それでポジションといえるのか?」とソロスは聞き返した。 その問いは、ウォール街の伝説となった。(①P232)

 すごい会話です。天才投機家ソロスの面目躍如、憧れます。 しかし一般凡人投資家は、これをマネしないほうがよさそうです。



 「重要なことは、正しいか、間違っているかではない。 正しい時にいくら稼ぎ、間違っている時にいくら損するかだ」(①P232)

「利はできるだけ伸ばし、損はできるだけ早く確定させ、確信なきときは大きなポジションを持たない」
昔から言われていることですが、天才ソロスといえどもこの原則からは逃れまれません。






 ◎ソロスの天才的な投機法を知りたいなら①がコンパクトでより適切です。 ソロスの生涯の背景やその哲学までをを学びたいなら②です。 ここでは投資法を中心に書くので①から抜粋しました。

 なお、本としては②の方が面白いと思います。例えばこんなことが書かれています。
…ソロスの父親ディヴァダールはオーストリ=アハンガリー帝国の兵士として第一次世界大戦に参加し、ロシア軍の捕虜になった。 しかし、シベリアの収容所を抜け出し、広大なロシアの大地を逃げまどい徒歩で故郷ハンガリーに戻った。

 その時の体験を子供のころから父親に何度も聞かされたソロスは、サバイバルするための最も重要な教訓を学んでいた。 人生には、勇気、名誉、同情といった美徳を捨てる必要がある場合がある





 さて次回はウォーレン・バフェット、 そしてその次は日本国内の最近になって成功している投資家を取り上げたいと思っています。 誰にするかまだ決まっていません。





 ※以上は個人的な見解です。株の売買は自己責任で行うようお願いします。



(17/01/21)

 投資法:その1 ピーター・リンチ ”Peter lynch”著

株で勝つ(ミレニアム・エディション) ”One up on wall street”
2001年3月8日発売 ダイヤモンド社








(黒字:本から抜粋)
 株式投資で成功するために必要なのは、大幅に値上がりするいくつかの銘柄であり、 それらによるプラスは多くの期待外れ銘柄の損失を埋めてあり余る。(P14)

(青字:コメント)
 まったくその通りだと思います。 2倍になる大当たり銘柄が1年に2銘柄もあれば、その年の投資成績はまずまずになります。 したがって、いかに大当たり銘柄をゲットし、それを継続できるかが勝負の分かれ目ですね。

 ただリンチ氏は、2倍などとセコイことは言わず「テンバーガー(10倍株)を狙え」、と書いています。




 プロの投資家は、「IBM」ならば失敗しても厳しく問われない。 しかし、「ラ・キンタ・モーター・イン」なら「君は頭がおかしいのか?」と言われる。 だから、有望だと思っても買わない。(P65)

 「ラ・キンタ・モーター・イン」はリンチ氏にとってテンバーガー株だったそうです。
実は私は、イリノイ州シカゴ近郊のラ・キンタ”La Quinta”(英語は「クゥィンタ」のように聞こえました) モーター・インに10連泊したことがあります。 残念ながら観光ではなく、毎日仕事でしたが。 この本を買ったのもラ・キンタの経営についてページを割いて書いたあったからです。

 リンチ氏は、「くだらない名前の、誰も注目しない銘柄を探せ」と繰り返し書いています。 その理由はプロの投資家が買わないので、割安に放置されている銘柄が見つかるからです。




 よい銘柄さえ選べば全体相場は気にしなくてもよい。 買いに入る最良のシグナルは、気に入った会社を見つけることがすべてである。 良いと思ったら、早すぎる遅すぎるは関係ない。(P103)

 景気動向や株価位置、タイミングなど無視しなさい、と言っています。 驚きです。 しかし、高くなった銘柄を買ってもいいという意味ではないでしょう。 なぜなら、リンチ氏が推奨する銘柄は「くだらない名前の、誰も注目しない銘柄」なので株価が高すぎるはずはありません。



 銘柄は以下の6つのタイプに分けて考える。(P124)

① 低成長株
② 優良株
③ 急成長株
④ 市況関連株
⑤ 業績回復株
⑥ 資産株

 このように分類することによって、例えばPERによる割安/割高の判断も多様になります。 ①低成長株や②優良株にはPERが有効に働きます。 お馴染みの「小さなPERで買い、大きなPERで売る」というやつですね。

 しかし、③急成長株のPERはとんでもない値になるのが普通で、割安かどうかの判断には使えません。 この場合は事業の将来性を的確に判断できるか、あるいはキャッシュのショートを防ぐ手立てを持っているか、 などが判断材料になります。

 ④市況関連株や⑤業績回復株では、基本的には「PERが高いうちに買い低くなったら売り」が有効です。 特に④市況関連株は、その性格上長期投資が難しいので、市況が底を打ったら、できるだけ早く(赤字でも)買いに入り、 最高益の決算で売ることが有効です。 ⑤業績回復株は支援者の動向に目を配るべきで、長期投資が有効です。



 ⑥資産株の場合、B/Sに正確に表されていない資産を見つけ出す能力、調査力が重要であるとリンチ氏は述べています。 この場合、PERは四季報などに書かれている値ではなく、隠れた資産を含めて計算しなければ有効とは言えません。

 このように見ていくと、全銘柄のPERを低い順から高い順に並べて割安度を判断するのはナンセンスということになります。 低PERは買いの場合も売りの場合もあるからです。

 またリンチ氏によれば、テンバーガーは①低成長株や⑤業績回復株の中から出ることが多く、 すでに株価が十分に高い②優良株や③急成長株がテンバーガーになることはまれとのことです。



 さて、私が得意としている電気、機械、化学などは④市況関連株です。 また、私がほとんど興味がないのが②優良株と⑥資産株です。 私がいつも損をしているITやバイオは③急成長株(急成長が期待されている、という意味)です。 ただし、リンチ氏によれば③急成長株は必ずしも急成長産業の中にあるのではなく、そうでない場合が多いそうです。

 私は、④市況関連株に加え、今後は⑤業績回復株も手掛けようと思います。 ①低成長株や⑥資産株も検討します。




 銘柄を選ぶなら無成長産業がいい。 競争がないからニッチな独占企業が見つかる。(P160)

 日本の産業はほとんど無成長もしくはマイナス成長が多い。 リンチ氏にとって日本株はチャンスの塊か。 ほんとかな?
銘柄を選ぶ時、「ニッチな独占」をキーワードに考えたいと思います。




 ④市況関連株や⑤業績回復株はストーリーの組み立てに数時間費やす。 その業界について専門知識があれば有利。(P199)

 ストーリーの組み立てはある程度実行しています。 しかし、もう少し詳しいストーリーを作るようにチャレンジしたいと思います。 ストーリーから外れた時がその株の売り時です。(利益確定/ロスカット)
専門知識がある分野への投資は実行しています。




 テンバーガーを見つけ出す有効な方法は、 会社訪問、株主総会、実地検証である。(P219)

 インターネットがない時代の話かな、とも思います。 もちろん、これらの有効性は認めます。 ただし私は会社に電話やメールをしたことはありますが、まだ訪問したことはありません。 チャレンジしたいです。





 ◎ 「株で勝つ」は例が豊富で親しみやすい本でした。 読んだだけで儲かるような気になります。

 さて次回はジョージ・ソロス、次々回はウォーレン・バフェット、 そしてその次は日本国内の最近になって成功している投資家を取り上げたいと思っています。 誰にするかまだ決まっていません。





 ※以上は個人的な見解です。株の売買は自己責任で行うようお願いします。





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