09/04/25(STA) サブプライムローン暴落の小史


 楽観的なアメリカ人のみまらず、世界中を震撼させて、多くの人々に不幸を 撒き散らしたサブプライムローンですが、 この辺でその小史を振り返ってみます。

 ご存知のように、サブプライムローンはクリントン政権が導入しました。 比較的貧しい人々にも持ち家を、という人道的な動機が発端でした。 ブッシュ政権の時代になって、サブプライムローンは、 証券化されて世界中にばら撒かれるようになりました。日本を始め世界的な低金利化が それを後押ししました。

 サブプライムローンは問題が多いという話題は、2005年あたりから 時々耳にしていました。しかし、それは、「1万ドル手に入ったら2万ドル使うアメリカ人」 の消費行動のうちのひとつの問題、と考えていました。そして、サブプライムローンが 証券化されて世界中にバラ蒔かれていても、金融工学によってリスクが計算されてかつ 格付けされ保険まで付いているので、そう心配はない、と言われていました。



 しかし、世界の株価が高値を追っていた2007年夏、晴天の霹靂の如くひとつの 事件が起こりました。7/11に住宅関連の証券が格下げ(@)されたのです。その日アメリカ市場が 下げ、翌日の日本株も下げましたが、N225はまだ18.000円台、余裕の 株価でした。

 そしてほぼ1ヶ月後の8/9、フランスでファンドが行き詰まり(A)ました。 ヨーロッパ中銀は、すばやく動きました。翌日の日本株は乱高下して、38億株の出来高と、 売買代金は5兆円越えを記録しました。少なくない投資家が事の重大性がわかって いたことになります。

 しかし、こざらし2は「本日の市場は、 いったい何だったんでしょうか?ほとんど説明が出来ません。 何かの前触れなのでしょうか?」と記しました。何かおかしい、異常だということは分かって いても、事の重大性までは見抜いてはいませんでした。

 当のBNP Paribas のCEOでさえも、翌8/10時点ではサブプライムの深刻性には 全く気が付いていません(B)でした。こざらし2も日銀の利上の方を心配していたこと が分かります。しかし、N225は急落、 週末には15.273円まで下落してしまいました。円は111円/ドルまで下げました。 ここまでが「予兆」と言えるでしょう。



 株価は翌週からリバウンドになります。10/11までに+2.200円ほど上昇しましたが、 もはや18.000円に戻る力はありませんでした。この間、グリーンスパン 前FRB議長が、サブプライムローンを「麻薬中毒」(C)と称しました。

 N225は10/11の17.458円をピークに、ほぼ5ヶ月間の下落になりました。 アメリカでは訴訟など(D)が頻発するようになりました。そして2008年3月、 アメリカの名門証券会社ベアスターンズが事実上破綻(E)しました。

 N225は3/17に11.787円まで下落、円は100円/ドルを越えて上昇しました。 この時期になって、こざらし2は、「2003円ごろから続いた景気もどうやら リセットなのでしょう」と、サブプラムローン問題によって、金融のみならず景気も 後退するだろうと考えるようになりました。ここまでが 「1段目の下げ」と言ってよいでしょう。

   
   
 年/月/日  トピック N225(円)  当時のこざらし2コメント
 2007.07.11 @ムディーズ、S&Pなどが多数の住宅関連抵当証券を格下げ  18.049円(-203円)  アメリカ市場が大幅に反落しました。住宅と消費に対する弱い指標が同時に出て、 株価が大幅に下げ長金利も急低下しました。
 2007.08.09 ABNP Paribas(フランス)が3つのファンドの営業停止、 ヨーロッパ中銀が948億ユーロの資金注入  17.170円(+141円) ・SQでもないのに、突如出来高は38億株、
・売買代金も記録的な5.26兆円、
 本日の市場は、「いったい何だったんでしょうか?」 ほとんど説明が出来ません。何かの前触れなのでしょうか?
 2007.08.10 BNYタイムズによれば、BNP Paribas のCEOが「ファンドの1/3はサブプライム関連だが、 その資産内容の良さには疑問の余地がない」と発言していたことが判明  16.764円(-406円)  日欧米の金融当局が、協調して市場に資金を供給しています。 これで今月の日銀による利上げがなくなった、と考えるのが常識です。
 2007.09.16 CグリーンスパンFRB議長、フィナンシャルタイムズ誌のインタビューで、 「人々は高い利回りの資産担保証券に麻薬のような中毒にかかっている。 やがて危機が訪れる」と発言。  16.127円(+306円)  アメリカの景気が明らかな減速傾向になってきました。 世界各国の景気も、ここしばらく「良くて停滞」となると思います。 NY市場の株価が高止っているのは、FRBによる利下げ期待に他なりません。
 2008.01.16 DAFGの取締役などを相手にCDS発行契約に絡む集団訴訟が提起される。  13.504円(-468円)  東証1部の新安値銘柄は1.200を越え、25日騰落レシオは60%を割れ、 いくらなんでもリバウンドかと思われました。
 2008.03.13 Eベアスターンズは連銀に、『資金不足に陥り、他に調達する手段がなければ 明日連邦破産法11条を申請しなければならない』と伝えてきた」事を明らかに、 事実上の破綻  12.433円(-427円)  ドルはあっさり100円を割り込みました。 一方、原油は110ドルを越え、 ゴールドも998ドルまで上昇しています。更に中国とインドの株価が急落しており、 2003円ごろから続いた景気もどうやら「リセット」なのでしょう。
 2008.04.08 FIMFの報告書によれば、世界の金融機関の損失は約9.000億ドル  13.250円(2日で:-42円)  円もドルに対して102円前後で落着いています。 サブプライム問題は最悪期を過ぎたといわれていますが、 実態経済が悪くなるのはこれからです。しかし、中国などでよほどの混乱にならない限り、 今回のリセションは軽いかも知れません。
 2008.09.15 Gリーマンブラザース証券破綻  11.609円(-605円)  これで終わりなどと考えるのは、かなり楽観的過ぎる、と私は思います。 この問題は、上記3社だけの問題ではなく、アメリカの経済のあり方の問題だと思うからです。 すなわち、基軸通貨のドルを世界中に垂れ流し、 政府も個人も過大な借金をして消費を続けるという、やり方が限界になってきたのが 今回の危機の根本にあります。




             ○内の数字は、上記の表と下記のリストとリンクしています。




 N225は3/17の11.787円を底に「最初の反騰」が始まりました。 6/6には14.489円まで上昇しました。こざらし2の株式資産もこの頃に 過去最高値を更新しています。また、IMFは世界の金融機関の損失が9.000ドルと はじき出し(F)ましたが、これは甘い予想だったことが後で分かります。 こざらし2も、「今回のリセッションは軽い」などという甘い予想をしています。

 N225は6月以後、だらだらと下げ始めました。そして、9/15にはついにリーマン が破綻(G)してしまいました。こざらし2もこの時期になって、 事の重大性に気が付いています。当時のコメントからは、この危機は構造的な 問題で根深いことを認識していたことが分かります。



 2008年10月は歴史に残るきわめて稀有な月でした。この先100年間は絶対おこらないような 暴落の連鎖が、世界の株式市場を襲いました。まずは10/8、N225は-952円安(H)の9.205円で 節目の10.000円を大きく割り込みました。それ以後、今日に至るまで10.000円を 一度も回復していません。こざらし2は、この日以下のように記しました。

狂乱です。
常識をはるかに超えた下げに、
ただただ

唖然、呆然、慄然、

とするばかりです。

 しかし、こんなものでは済みませんでした。 1日置いた週末の10/10には、-881円安(I)の8.276円まで下げました。 N225先物にサーキットブレーカーが発動されました。株式資産はこの日には20.000.000円を 割り込みました。しかし、翌日は+1.171円も上げたN225のおかげで株式資産は節目を回復 しました。

 翌周は木曜日の10/16に最大の下落がやってきました。N225は-1.089円も下げ(J)、 この日の下げ率は1987年に起きた「ブラックマンディ」に次ぐ、 歴代2位になりました。やはりサーキットブレーカーが発動されました。 こざらし2は、1.200円台の野村HD(8604)など金融に取り組んでいました。 この時点では、日本の金融が瀕死の欧米金融を救うと考えていました。 (これは大きな間違いでした)



                 N225暴落リスト
   
順位  年/月/日  N225(円) 下落率(%)  トピック・理由
 1  1987/10/20  21.910  -14.90  ブラックマンディ
 2  2008/10/16   8.458  -11.41 J *サブプライムローン問題*
 3  1953/03/05    340  -10.00  スターリン暴落
 4  2008/10/10   8.276   -9.62 I *サブプライムローン問題*
 5  2008/10/24   7.649   -9.60 L*サブプライムローン問題*
 6  2008/10/08   9,203   -9.38 H*サブプライムローン問題*
 7  1970/04/30   2,114   -8.69  スイスIOSショック
 8  1971/08/16   2,530   -7.68  ニクソンショック
 9  2000/04/17  19,008   -6.98  ITバブル崩壊初日
10  1949/12/14     98   -6.97  ドッジ・ラインデフレ
11  2008/11/20   7,703   -6.89 O *サブプライムローン問題*
12  2008/10/22   8,674   -6.79 K*サブプライムローン問題*
13  1953/03/30    318   -6.73  スターリン暴落の余波
14  2001/09/12   9.610   -6.63  9.11同時多発テロ
15  1972/06/24   3.421   -6.61  ポンドショック
16  1990/04/02  28.002   -6.60  不動産総量規制(バブル崩壊)
17  2008/11/06   8.899   -6.53 N*サブプライムローン問題*
18  2008/10/27   7.162   -6.36 M*サブプライムローン問題*
19  2008/12/02   7.863   -6.35 P*サブプライムローン問題*
20  1991/08/19   21.456   -5.95  ソビエト連邦でクーデター




 その後も、暴落は容赦なく襲いかかりました。 10/22の水曜日には-631円(K)も下げ、さらに金曜日には-811円も下げ(L)てN225は8.000円を 割り込んでしまいました。翌週11/27には-486円安(M)の7.162円まで下落、 ザラ場の6.997円は今回の最安値です。

 10月に6回おこった暴落の連鎖は、11月に2回(NO)、12月に1回(P)と徐々に沈静化してきました。 しかし、2009年になっても株安傾向は止らず、記憶に新しい今年3/10には7.054円の 最安値をつけました。ここまでが「2段目の下げ」と言えるでしょう。



 さて、最後に、現在進行中の「次の反騰」の継続期間を予想してみます。仮に 「最初の反騰」の3ヶ月弱と同じならば、あと1ヶ月あまり、5月一杯は反発が続く ことになります。N225の上げ幅ですが最初の反騰では+22.9%でした。 これを今回の当てはめれば、8.671円にあたり、すでにオーバーしています。 最近は上値が重いのはそのせいかも知れません。

 それよりも、N225よりも早く下げ始めた新興市場に活路を見出すべきかも知れません。 例えば、マザーズ指数はすでに6ヵ月間最安値を更新していません。これは、 この3年間では初めてのことです。2部とJAQの戻りは鈍いのですが、 N225の頭が重くなってから買われるパターンが、 今後も続くのか注目しています。





 ※ 株は自己責任で売り買いしてくださるよう お願いします。