(03.01.11)
ウォール街 FXBA-1653 (DVDビデオ)
ウォール街、そこは資本主義のメッカ。
知力を尽くした戦いの場。
世界からカネに魅せられた魑魅魍魎が吸い寄せられる街。
投資家ゴードン・ゲッコーのマイケル・ダグラスは1987年度アカデミー賞主演男優賞。
ゴードン・ゲッコー …マイケル・ダグラス
バド・フォックス …チャーリー・シーン
カール・フォックス …マーチン・シーン
ダリアン …ダリル・ハンナ
ルー …ハル・ホルブルック
ワイルドマン …テレンス・スタンプ
制作 …エドワード・R・プレスマン
脚本 …スタンリー・ワイザー、オリバー・ストーン
監督 …オリバー・ストーン
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若い証券営業担当のバド・フォクスは数十回のアプローチが実り、
有力な投資家ゴードン・ゲッコーに面会できました。そこでバドは父親が労組代表をしている
ブルースター航空のインサイダー情報をゲッコーに教えます。
大儲けしたゲッコーはバドを可愛がり使い走りをさせますが、株式投資の成功術も実践を通して
この若い弟子に教えこみます。財産を築く方法を身につけはじめたバドは、
ゲッコーと組んでブルースター再建を目指して経営権を握ります。
父親も協力してくれる思惑でした。
ところがゲッコーの本当の意図はブルースターを解体して売り飛ばし、美味しいところだけを
自分のものにすることでした。怒りを覚えたバドは株式市場でゲッコーに戦いを
挑みます。しかし、そこには証券取引監視委員の影が…。
この映画には、投資家ゲッコーの投資に対する考え方がいたるところに出てきます。例えば、
ゲッコー曰く、
”この世で最も貴重なものは情報だ。情報は集めるものだ。証券マンが儲からないのは、机の
上でグラフをながめているだけだからだ。
孫子の「兵法」を読んでみろ。勝敗は戦う前にすでに決まっているのだ。”
”ハーバード出タイプはダメだ。成功するのは貧しくハングリーで冷淡な奴だ。
アップ・ダウンが有っても戦い続ける奴だ。友達を持ちたいなら犬を飼え。”
”誰も損も得もしないことに何の意味がある?欲望は善だ。”
映画では、投資家ゲッコーや金持ちになったバドの行動や生活環境、特に家具や装飾品、美術品を
成金で品位のないものに描いています。「こころある人」からみれば、いくらお金をかけたものでも
貧しく見えるのでしょう。バドも美しい女ダリアンを得ることはあっても、心を許せる友人は
いなくなりました。すべてにカネがからむ様になったからです。
一方、ひとつの会社に長く勤め上げ労組の委員長までになったバドの父親は、
年収がゲッコーの1日の儲けにも遠く及ばないでしょうが、
人々に慕われ、頼りにされ、尊敬されています。
病気で倒れると多くの人が心配します。
しかし、FLはそれでもゴードン・ゲッコーに成る方を望みます。
そうなってからはじめて、”カネなど、ただカネにすぎない”と言うことができると思います。
正義、建前を犬の遠吠えのように繰返すだけの人間にはなりたくないのです。
「こころある人」になるのはもう少し先でもいいでしょう。
(02.10.19)
風と共に去りぬ DL-50284 (DVDビデオ)
全世界で永遠の記憶に残る、マーガレット・ミッチェル原作の不朽の名作。
南北戦争の時代を力強く生き抜いたスカーレットの物語。1939年(昭和14年)
アカデミー賞10部門独占。
スカーレット・オハラ …ビビアン・スー
レット・バトラー …クラーク・ケーブル
メラニー …オリビア・デ・ハビランド
アシュレー …レスリー・ハワード
制作 …デビット・O・セルズニック
原作 …マーガレット・ミッチェル
監督 …ピーター・フフレミング
アブラハム・リンカーン率いる北軍に南軍は破れ、かなりの富豪だったスカーレッ・オハラト一家は、
故郷タラの土地を除いた資産をすべて失ってしまいます。母親は死に、父親はもぬけのカラのようになり、
姉妹や召使達の生活はすべて長女であり、お嬢様だったスカーレットの肩にかかって
きます。
ふわふわした恋や、美しい宝石や服、美味しい食べ物や賑やかなパーティー、乗馬などに
取り囲まれて育ってきたスカーレットですが、もう逃げ場はありませんでした。
現在のような社会保障精度などはなく、明日からは自分で生きる糧を得なければなりません。
スカーレットは家の前の荒れ果てた畑で、天に向って誓います。
神よ、私は誓います。
二度と泣き言はいいません。
そして家族が二度と飢えに苦しまないように私がします。
そのためにはどんな事でもします。人の物を盗むかもしれません。
もしかしたら、人の命さえ奪うかもしれません。
神よ、それでも、私をお許し下さい!
スカーレットは、故郷タラで家族の先頭に立って苦しい農業を始め、当面の窮地を脱します。
そして、事業を行うことを目的とした政略的な結婚もします。また正当防衛だったとは言え、
本当に人も殺しました。
FLの勤務する民間企業でも、大きな割合の人員整理を行うリストラがありました。
会社に残るかどうか随分迷いました。会社に残ったところで、会社そのものが生き残れない
可能性もあります。しかし、会社をやめ、好きな道とはいえ株で生きていくことなど、
できるでしょうか?
株で生きていくためのシュミレーションを何度も行いました。
「元金を数千万円に増やし、最初の5年は平均25%/年の利益を稼ぎ出し、
6年目からは平均10%/年でよい」
がその結論でした。
過去4年間、FLの実績は平均30%/年ですので、数字上だけでは達成できる可能性
は充分にありました。しかし、運用額が数百万だった頃と、一桁多くなる将来とでは、
同じ割合で利益を出せるとは限りません。それ以上に絶対失敗できない
プレスチャーに耐えられるでしょうか。
ところで、会社の残るとFLが決めても、会社側の意向で「お前は要らない」と判断される可能性も
ありました。迷いに迷った挙句、「お前は残れといったら残り、要らないといわれたら
そうする」という他人任せの結論しか出せませんでした。
いよいよ会社の意向が個人個人に伝えられる前日、とても不安でいたたまれませんでした。
「要らない」と言われた時の覚悟が、まだ充分固まっていませんでした。そして、気持ちを紛らせようとDVDで
「風と共に去りぬ」を見ていました。
そして、スカーレットの神への誓いが突如FLの琴線に触れたのです。
涙が出て止まりませんでした。そう、その通りだ、こんなことで心を乱してはいけない、
血みどろになっても生きていかなくては…
そして、映画が終るころには、どちらになってもよい覚悟が決まりました。
それからこころは平静になり、次の日には淡々とした気持ちで会社の意向を聞く事が
できました。会社の意向をを聞いた時も、嬉しくも悲しくもなく、ただひとつの事実として受け止めた
だけでした。
FLは今でも淡々としています。しかし、密かにアシュレーではダメ、レッド・バトラーのようになるぞ、と
夢見て、また行動しています。
(02.10.12)
AMADEUS アマデウス DLS-36218 (DVDビデオ)
1984年アカデミー賞8部門獲得。光と翳が交錯する天才作曲家モーツァルト
のウィーンでの後半生を、当時のライバル、アントニオ・サリエリが語る。
アントニオ・サリエリ …F・マリー・シェファー
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト …トム・ハルス
コンスタンツェ・ウエーバー …エリザベス・ベリッジ
原作、脚本 …ピーター・シェーファー
監督 …ミロス・ファアマン
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AMADEUSは最高に好きな映画です。これまでに映画館で4回、TVやDVDでも何度も
繰返し楽しんでいます。
その中でも好きな場面は、モーツァルトの妻コンスタンツェが
宮廷作曲家サリエリに会いに行く場面です。コンスタンツェは、皇帝ヨーゼフ二世の姪、13歳の
エリザベートの音楽教師に夫を取りたててもらうようにと、サリエリのところに
楽譜持参で出向きました。
サリエリはそこで初めてモーツァルトの自筆譜を見て仰天し、そこに神の意志を確信してしまいます。
その音楽はこれまで聞いた事のない至高の美と気品あり、しかも神の声をそのまま書き
写した如く、その楽譜にはまったく修正の跡がなかったのでした。
その時、サリエリが最初に見た楽譜は、「フルートとハープのための協奏曲K299」第二楽章でした。
この曲はフルートとハープという他に例のない組み合わせですが、フランス風の非常に美しい曲です。
しかし、モーツァルトの手にかかると、まるでこの組み合わせで使われるために楽器が
作られた如くに溶け合って、陶酔的に響きます。
次は「交響曲29番イ長調K201」 第一楽章です。17才のモーツァルトが作曲した
チャーミングな青春の音楽です。後期のモーツァルトに現われる深い陰翳は第二楽章にその萌芽を
聞くことができます。そして、ハ短調のミサ曲K427と続きます。
神が作らせたとしか考えられないほど深く美しい音楽に、
サリエリは絶望的な気持ちに陥ります。その絶望と憧れと嫉妬の表情は忘れることが
できません。
一方その時、可愛らしいコンスタンツェは”夫の作品は先生の目にかなうかしら…”と不安そうに
サリエリを見つめたり、また目の前にある甘いお菓子をつまんで食べたりしています。
しかしサリエリは怒りも覚えました。神は自らの声をこの世に伝えるために選んだのは自分ではなく、
あの品性賎しい小男、モーツァルトだったことに。これまで神をたたえ、神の僕として誠実に仕えてきた
者ではなく、人を小ばかににし、しょっちゅう女を追いまわしている者になぜ神は才能を
ふきこんだのだ。これが後にサリエリが神への復讐を企てる
最初の切っ掛けでした。
モーツァルトは20代半ばからハプスブルグ帝国の都ウィーンに定住して、自由人となりました。
現代の基準に照らし合わせてもモーツァルトはクレージーな人だったようです。
女性、お金、美しいものなら何でも欲しがり、また下品なことも大好きでした。
一般的には知られていないのですが「僕のお尻を舐めて」という曲もあります。
モーツァルトは宮廷や貴族のためにオペラ等を作曲しました。しかし、
「フィガロの結婚」の楽しさ、美しさ、哀しさ、新しさは当時の耳の肥えた貴族でも、信じられないことですが、
なかなか分からなかったようです。
ましてや「ドン・ジョバンニ」の情念の濃さは享楽的な人々には無理かもしれません。しかし、
モーツァルトのオーケストレーションはもはや至芸の域で、人類が滅びるまで新しい命を
吹きこまれ続けることでしょう。
映画ではこのオペラのラスト部分が約十分間もあり、劇場で本物の松明を使用する等、
凝りに凝った演出がなされ後半の見どころとなっています。
民衆のために作曲した最後のドイツオペラ「魔笛」で、モーツァルトは所属する秘密結社フリーメイスン
の儀式の一部をばらしてしまいました。そのためモーツァルトはウィーンの有力者
に怒りを買い、生活に困窮し病気になりました。
映画では、最後の曲「レクイエムK626」の作曲をサリエリは無理に手伝い、モーツァルトが亡くなったことに
なっています。これは事実とは異なるのですが、そんなことはどうでもいいほどこのレクイエムは
美しい。コンフターティスの力強さから、死の直前作曲されたラクモリサへ。
いままで何度感涙をながしたことでしょうか。
モーツァルトの音楽を聴く度に、FLはこの世に生まれてきてよかったと思い幸福感に包まれます。
「死とはモーツァルトを聞けなくなることである」
相対性理論の物理学者、A・アインシュタイン博士の言葉です。
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