オイル交換


最初のオイル交換は、買ってから500km走行後にしました。空冷短気筒エンジンはオイルの劣化に対してシビアなので、早めの交換がコンディションを保つ上でも重要です。500kmというのは、通常の交換サイクルよりも早めですが、しばらく動いていなかったことと、黒煙を吐いていたことなどから、早めに交換することにしました。


まずは、エンジンを暖めるか、暖まっている時にドレンプラグから古いオイルを抜きます。暖まっていないとよく抜けないのですが、火傷などしないように注意が必要です。ドレンは17mmのメガネレンチやボックスレンチ等を使って緩めます。ある程度緩んだら、下に廃油を受ける容器を用意します。SRXのように横向きのドレンだと最初は横方向に勢い良く出て来る可能性があるので、それを考慮した配置にします。

ある程度抜けたら、オイルを注入する口を開けます。ここ開けると、更にドレンからオイルが抜けることがあるので、廃油を抜き終わるか、ドレンを緩める前に開けておくようにします。オイルは完全には抜けないので、少しの時間放置してポタポタとオイルが垂れる間隔が長くなるまで待ちます。
金属製のバットで抜いたオイルを受けました。これは台所用などのモノでも代用は出来ますが、一度使ったら専用にした方がいいでしょうね。抜いたオイルは見ての通り、500kmしか走っていない割にかなり汚れていました。早めに交換して良かったです。廃油は手持ちのペール缶に漏斗を使って溜めておきます。一杯になったら、クルマでガソリンスタンドなどに捨てに行きます。給油のついでなどに頼むと大抵は無料で捨ててくれます。ペール缶などがない場合は、市販の廃油処理ボックス(300円位)を使うと、燃えるゴミとして処分できます。サーキットに行く人は、サーキットの廃油捨てに捨てることも出来ますよね。
古いオイルを抜いたら、今度は新しいオイルを入れます。入れるオイルはメーカー指定の物を基本にして、自分の走りや季節、予算、嗜好を考慮して入れます。今回はBPビスコガンマ 5w−50SJグレード100%化学合成油を入れました。これはレーシンググレードとも言えるかなり高価なオイルですが、以前働いていた会社の製品でもあるし、ストックがあったので入れてみました。オイルの注入は2つ上の写真の場所から入れます。入れる際はオイル用のジョッキを使います。今回は1Lのモノを使いましたが、バイク用で使うなら1〜3Lくらいのが使い易いでしょう。オイルは抜けた量を見てまずは少な目に入れて、エンジンを掛けたりしながらレベルをチェックしつつ徐々に量を増やしていきます。入れすぎると抜くのが大変だからです。

オイルを入れたら、交換時に付いた油汚れをきれいにして、ドレンや注入口がちゃんと締まっていることを確認します。それが出来たら、少し試運転してみましょう。きっと交換直前よりもエンジンの調子が良くなっている感じがしますよ!そして、試運転が終わったら再びオイルのレベルをチェックしましょう。もし少なければ足して、大丈夫そうならそれでオイル交換は終了です。

※今回は、古いオイルを抜いたあと、一旦安いオイルを半分くらい入れてエンジンを少し掛けて、すぐに抜き取るという作業(フラッシング)を行いました。オイルは普通に交換しただけでは完全に新しいオイルには変わらないので、こういった作業を行うことで古いオイル少しでも少なくなるようにするとより新油の効果が発揮され易くなります。フラッシングは専用のオイルもありますが、前回の交換時に余ったオイルなどで十分なので、専用のモノを容易する必要は通常ではありません。余程汚れが溜まっていて、少しでもキレイにしたい場合などに専用のモノを使うと良いでしょう。その場合はなるべくエンジンオイルと成分的に違いの少ないモノを選んだ方が良いようです。でないと、フラッシングがエンジン内に残った時に悪影響がある可能性が考えられるからです。

※※通常メーカー指定のオイルは、メーカー純正の10w−40SF〜SJグレードの鉱物油というのが一般的です。価格でいうと1Lで1000円程度です。普通に乗るだけならそれで十分ですが、エンジンのフィーリングをより滑らかにしたい、とか燃費を良くしたい、とか熱ダレが気になるなどのイロイロな要望がある場合はブランド品(BPやカストロールなど)を使って見るのも良いでしょう。

◆オイルの選び方

●粘度:粘度とはオイルの粘り気、つまり堅さのことです。これは10w−40などの数字で表されます。メーカー指定はバイクだと大抵は10w−40の指定が多いようです。左のwの付く数字は低温時の粘度を表し、数字が小さいほどオイルが冷えている時の粘度が柔らかいオイル、ということになります。冬場などはこちら数字が小さい方がエンジンの始動性が良くなりますし、エンジンが暖まりきらないうちのレスポンスなども向上します。下は0wから、上はエンジンオイルでは20wまであります。右側の数字は高温粘度と言って、オイルが100度の時のオイルの堅さを表します。こちらも数字が大きいほど堅くなります。こちらは20から60までの数字があります。通常は40程度で十分ですが、エンジンを回し気味にして走る人や、暑い時期、オイルの減りの激しいエンジンなどでは大き目の数字のオイルを入れると良い場合がありますが、必要以上に堅いオイルを使うと、燃費やレスポンスの悪化などが起きる場合もあるので、注意しながら選ぶと良いでしょう。よくわからない場合は10w−40のオイルと選ぶと一番無難です。

●規格:オイルには品質別に規格(グレード)が分けられています。バイクの場合はSF〜SJくらいが多いうようですが、最近はSLやSMといったグレードがあります。左のSというのはガソリンエンジン用の規格ということで、右のFとかJ、Mというのはアルファベットが進むほど新しい規格となります。新しければ良いかというとそうでもなく、クルマ用としては新しい方が良いのですが、バイクの場合は新しいとクラッチが滑り易い傾向にあります。ですが、余程パワーのあるバイクやクラッチの消耗をしているバイクでない限りは極端に滑ることはないと思われます。

●材質:オイルの材質には、原油を精製して作られる鉱物油と、化学的に合成して作られる合成油があり、それを混ぜた部分合成油があります。細かく分けると鉱物油の精製過程で水素化精製という過程を伴う水素化分解油という高度に精製された鉱物油もあります。通常の走行では鉱物油で十分ですが、レースなどの過酷な条件での使用や、オイル交換のサイクルを長くしたい場合などは鉱物油よりも部分合成油や化学合成油を使うと良いです。しかし、オイルの価格は大まかに言うと、この材質によって決まると言えるので、やはり高性能な合成油は鉱物油に比べるとかなり高価になってしまします。